「復讐の引き金」
『ウルトラマンオーブ』第20話
2016年11月19日放送(第20話)
脚本 内田裕基
監督 冨田卓
幻覚宇宙人メトロン星人タルデ(ラウンドランチャー)
身長 2m~50m
体重 140kg~2万t
「惑星侵略連合」の生き残りで仲間達を殺したジャグラーの命を狙う。
両腕にラウンドランチャーを付け、ジャグラーの蛇心剣を奪って戦う。
オーブとの戦いでは円盤を使って挟み撃ちをするが、オーブオリジンのオーブウインドカリバーで円盤とぶつけられ、最後はオーブスプリームカリバーで倒された。
地球の自然を愛していて、地球に迫る危機を仄めかしていた。
物語
タルデに蛇心剣を奪われて窮地に立たされるジャグラー。
逃げた先にいたナオミに助けられるが、ジャグラーはその助けを拒もうとする……。
感想
ジャグラーから蛇心剣を奪ったタルデ。
ダークリングを失っていくつかの能力を使えなくなったとは言えジャグラー本人もかなり強いのに、そこから蛇心剣を奪って後少しで倒せるところまで追い詰めるとは凄い。
タルデはあまり戦うイメージが無かったが今回は両腕にラウンドランチャーを付けて戦っている。ひょっとしたらラウンドランチャーは銃器を扱っていたナグスの形見なのかもしれない。
オーブとの戦いでタルデはオーブオリジンに変身したオーブに向かって「姿を変えても無駄だ!」と言っていたが、そのタルデの方が両腕にラウンドランチャーを付けると姿を変えたのにオーブに敵わなかったのが悲しい。
今回の隠されたサブタイトルは『セブン』の「円盤が来た」。
又、答えではないがタルデの台詞にあった「他人の星」も『セブン』の「盗まれたウルトラ・アイ」のタイトル候補であった。
ジャグラーによって語られるガイとジャグラーの因縁。
かつてガイとジャグラーは同じ勢力に身を置き腕を競い合ってお互いを高め合っていた。実力はジャグラーの方が上だったが、光に選ばれたのはガイの方であった。光から見放されたジャグラーは銀河を彷徨う中で闇こそが光に勝る力、自分には光など必要無かった事に気付く。
この辺りの話は『オリジンサーガ』と『ウルトラマンオーブ完全超全集』の「ウルトラマンオーブクロニクル〈年代記〉」で語られている。
前回の「私の中の鬼」でナオミの中にもジャグラーと同じように闇が眠っていたとし、今回の話では「誰の心の中にも光があって闇がある」と言う言葉からジャグラーの中にも光が眠っているとした。
残念ながら今回の話では見えなかったが、後にジャグラーの中にも光が残っていた事が分かってくる。
今回のタルデの狙いはジャグラー一人で地球人やガイを巻き込むつもりは無かった。
ガイは「たった一人でも誰かの平和が脅かされるのなら俺は戦う……!」と言ってジャグラーを守る為にタルデと戦ったが、まだナターシャの生存を知らなかった「復活の聖剣」以前なら、ガイとタルデが力を合わせてジャグラーと戦う展開もありえたように思える。
第10話の「ジャグラー死す!」で惑星侵略連合が壊滅した後、タルデが復讐を誓ったのが第13話の「心の大掃除」で実際にジャグラーを追い詰める事が出来たのは第20話である今回。タルデの行動を遥かに上回る早さでガイ達の状況は変わっていたのだった。
巨大化したタルデに振り落とされながら変身するガイ。
昔は時々あったけれど最近はあまり見なかった気がする。
タルデが倒されて蛇心剣を取り戻すといきなり元気になるジャグラー。
闇の笑顔の場面は青柳尊哉さんの演技が実にゲスくて最高!
ジャグラーが笑っている時、ナオミは立ってジャグラーを庇っていて、ガイはタルデを押さえていたので、タルデだけがジャグラーの闇の笑顔を見る事が出来たのかな。
「弱った男の身の上話を聞かされればお前みたいな女はいちころさ」とナオミを煽るジャグラー。でも、後の『Z』だと逆にそう言う男を殴りそうなキャラになっているところがジャグラーの面白いところ。
気のせいか再登場キャラの中でもメトロン星人は過去の作品のオマージュが込められている事が多い。
今回も夕焼けを舞台にした戦いが『セブン』の「狙われた街」のオマージュであるが、その他にも復讐が目的なのは『A』の「怪獣対超獣対宇宙人」「太陽の命 エースの命」、地球の自然を愛しているところは『平成セブン』の「地球星人の大地」を思い出す。又、今回の話ではないが『マックス』の「狙われない街」の眠兎龍茶も使われていた。
今回の話は内田さんの現時点でのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。