帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「私はハッピー」

「私はハッピー」
ウルトラマンR/B』第24話
2018年12月15日放送(第24話)
脚本 武上純希
監督 武居正能

 

超鎧装獣グルジオレギーナ
身長 65m
体重 9万1千t
美剣サキが変身したグルジオの最終進化形態。
ルーゴサイトをレイラインの終着点であるアイゼンテック社の近くで押さえ込んでレイエネルギーを使って地球ごと自爆しようとするが、ロッソとブルに自分の兄達の姿を重ねて思いとどまり、最後はロッソとブルを助ける為に盾になってルーゴサイトに倒された。

 

コスモイータールーゴサイト
身長 72m
体重 5万9千t
本来はガス状の生命体だったが湊ミオによって実体化・クリスタル化される。その後、美剣サキのルーブジャイロを利用してクリスタルから怪獣形態に変身した。
ゲネシスシールで相手の攻撃を防ぎ、ゲネシスレインとゲネシスレクイエムで相手を攻撃する。

 

物語
怪獣形態になったルーゴサイトを始末する為、美剣サキと湊ミオはそれぞれの計画を進める。
不測の事態が次々と発生する中、絶体絶命の危機に陥った美剣サキは……。

 

感想
ルーゴサイトの「歩かないでスライドする」と言う移動が目新しかった。

 

ダーリンは「AZ計画」を見る為のパスワードをミオにも教えてくれなかった。
ダーリンは皆と親しげに話をしているが、あくまでプログラムによる関係なので、主従関係が解除されたら愛染マコトでもあっさりと捨てるし、命令する権限が無ければミオであってもプログラムを教える事は無い。

 

カツミとイサミがルーゴサイトと戦って命を落とす未来を異次元で見ていたミオはカツミとイサミがウルトラマンに変身しないでルーゴサイトを始末する方法を模索していた。そして遂にミオとウシオはルーブジャイロを取り上げてカツミとイサミがウルトラマンに変身できないようにしてしまう。
あめ玉とおまんじゅう」でカツミとイサミが「ウルトラマンとしてではなく家族として家族の全てを守る」と決意したが、今回の話でミオとウシオは「家族を守る為、家族以外の人達は見殺しになる可能性がある作戦を選択する」となってしてしまった。
基本的にヒーロー作品では「家族を守る」は良い事として描かれるが、『R/B』では「家族の良さ」を描きながら今回の話で「家族を優先する為、家族以外の人達を見捨てる」と言う衝撃の展開が行われた。

 

ウシオの「何故、お前達だけが犠牲にならなければならないんだ?」と言う問いにカツミは「俺達はウルトラマンだから! この星に生きとし生きるもの全ての命を救うのが使命なんだ!」と答える。
ウルトラシリーズでは主人公が特別チームに所属している時は変身前も変身後も「皆を守る」で目的が大体一致しているので問題無いのだが、『R/B』は変身後はウルトラマンだけれど変身前は皆を守る義務が無い一般人となる為、変身前の「家族の一員」と変身後の「ウルトラマンの一人」とで目的がズレて、状況によって「家族」を優先しても「ウルトラマン」を優先してもどちらもメリットデメリットが生じる事になってしまった。その為、カツミとイサミはその時その時で「家族」として戦ったり「ウルトラマン」として戦ったりと答えがコロコロ変わる事となった。

 

アイゼンテック社のバリアーでルーゴサイトを閉じ込め、対怪獣拘束システムでルーゴサイトの動きを一時的に止める事に成功する。
やっぱり愛染マコト(チェレーザ)の技術力は凄い。こんな事を言ってはいけないが、カツミ&イサミ、愛染マコト(チェレーザ)、美剣サキ、ミオが全員力を合わせれば犠牲者無しでルーゴサイト事件を解決できたような……。

 

「AZ計画」を見る為のひみつのパスワードはなんと「めんどうくさい」であった。これは意外な答え。あの「愛染マコトの今日のお言葉」シリーズだが、ひょっとしたら本人は途中から面倒臭くなっていたのかもしれない。

 

チェレーザはハドロン衝突型加速器と言う次元転送装置を作って様々な宇宙に行ってウルトラマンとして活躍するつもりだったらしい。これはマルチバースを舞台にしているニュージェネのウルトラマン達を意識しているのかな。
『R/B』の地球には野生の怪獣は少なかったが別の宇宙には野生の怪獣がたくさんいるので、チェレーザには自作自演のヒーローごっことは別に本物の怪獣と戦う本物のヒーローになる構想もあったのかもしれない。

 

ロッソとブルがルーゴサイトの攻撃からグルジオを守る構図が1300年前と全く同じになる。そこで「お前は……生きろ」と言う兄達の言葉を思い出した美剣サキは今度は自分がロッソとブルの前に出てアサヒの兄であるカツミとイサミを庇って命を落としてしまう。
美剣サキには常に死の気配が付きまとっていたが、おそらくそれは1300年前に兄達が自分の目の前で死んだ時から始まっていて、いくら兄達が「お前は生きろ」と言っても美剣サキから死の気配を拭い去る事は出来なかった。
こうして先代ロッソと先代ブルのチームは全員死亡と言う結果になってしまった。光の国も描かれていないところで完全に命を落としてしまったウルトラマンはいただろうし、『ザ☆ウル』ではU40のウルトラ人が命を落とした場面があったが、実写でウルトラマンに変身するチームが全滅したと言うのは衝撃であった。

 

美剣サキがグルジオに変身するのはO-50の戦士の頂から与えられた力だったが、そう考えるとジャグラーの魔人態も実は戦士の頂から与えられた力だったりするのかな?

 

ガイとジャグラーの場合もだったが、O-50の戦士の頂は力やミッションは与えるが精神的なフォローは殆どしない。なので、ジャグラーや美剣サキのように思い詰めてしまう人間は自分の首を絞めていく事になる。
光の国だと先輩ウルトラマン達がフォローをしてくれそうだが、戦士の頂はあくまで力とミッションを与えるシステムなので、光の国のような人間的なフォローは出来ない仕組みになっていると思われる。

 

『R/B』では『オーブ』に続いてO-50の設定が使われたが、当時、光の国以外のウルトラマン関係の設定が再登場するのは珍しかった。
おそらく光の国やU40と言った星の設定を再び使うとウルトラ兄弟やジョーニアスと言った先輩ウルトラマン達との関係を考えなければいけなくなるので、同じ場所で力を与えられただけなので先輩ウルトラマンのオーブと面識があっても無くても問題が無くて、ルーゴサイトと戦う理由もミッションを与えられたで説明が済むと言うように色々と便利なO-50の設定が選ばれたのかもしれない。(その他に『R/B』のメイン脚本家の一人が『オーブ』のメイン脚本家でもあった中野さんだったのも理由の一つかも。50年以上前から色々な人が使っている光の国の設定より自分達で作ったO-50の設定の方が色々と自由が利きそうなので)

 

「私の名前は……グリージョ……。あなた達なら出来るはず……。3人が力を合わせれば……」。
美剣サキはアサヒに自分のルーブジャイロを託して笑顔で告げる。
「もう良いよ、もう十分……。お前達に会えて……、私はハッピー……」。
そして彼女は光となった……。

 

美剣サキの人生については『ウルトラマンR/B超全集』に収録されている「蒼い瞳の少女は灰色と名乗った」を読んでほしい。

 

今回の話は武上さんの現時点でのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。

 

 

 

 


【監督コメント付】『ウルトラマンR/B(ルーブ)』次回予告 第24話「私はハッピー」

 

 

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