帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「富士盛 快進撃の秘密」

「富士盛 快進撃の秘密」
ウルトラQ倶楽部』第5話
2003年11月9日放送(第5話)
脚本 千束北男
演出 飯島敏宏

 

物語
今まで幕尻に甘んじていた関取・富士盛が突然の快進撃を始めた。
由利子達は富士盛が取組前に行うようになった「たなごころ」と呼ばれる儀式に秘密があると考え調査を開始する。

 

感想
いきなり快進撃を始めた富士盛の強さの秘密を「たなごころ」と言う謎の儀式に求める謎かけの出だしから、親方の一人娘に恋をした富士盛を新弟子時代から面倒を見てきた駄菓子屋のおばあちゃんが助ける人情話を経て、残りの寿命と引き換えに天満宮から「たなごころ」を借りたおばあちゃんの死と「たなごころ」を失った富士盛の正念場へと繋がっていく展開が見事。
今回はラジオ中継がある相撲の話だったのでラジオドラマと言う形に上手くハマっていた。

 

万城目は富士盛の勝利を「たなごころ」と言う暗示の力だと解釈し、今場所は見事優勝して親方の一人娘との結婚を果たしたが所詮は暗示だとバレる来場所は苦戦を強いられるだろうと厳しい見方をする。
しかし、ラストシーンで「たなごころ」を行う富士盛の姿を映したテレビ画面にノイズが走る事で単なる暗示ではないのかもしれない事が仄めかされる。そう考えると、駄菓子屋のおばあちゃんが亡くなった理由は寿命と引き換えに「たなごころ」を借りた事だと推測され、新たに「たなごころ」を借りた親方の一人娘の今後が気になってしまう。
結果、「たなごころ」が単なる暗示だろうと本当に天満宮の力だったとしても富士盛の行く先には不安が拭い切れなくなってしまった。こういう恐さを残した結末は第1期ウルトラシリーズから『怪奇大作戦』の頃の円谷作品の雰囲気を感じる。

 

いきなり快進撃を始めた富士盛の事が新聞で「変身」と書かれたり、一平が「虹の卵」と言う名前のディナーを出したりとあちこちに懐かしい言葉が出てきて嬉しい。