帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「AQUA PROJECT」

Episode11 AQUA PROJECT」
ULTRASEVEN X』第11話
2007年12月14日放送(第11話)
脚本 小林雄次
監督 八木毅

 

物語
この世界が政府によって管理されている事を知ってしまったジンは真実を知るべく行動を開始する。しかし、DEUSはエレアをエイリアンだとしてエージェントに捕獲を命じる。
世界全てが敵に回ってしまったジンとエレアの運命は?

 

感想
MEMORIES」の続き。
前回に続いて今回もセブンXの登場が無い。
ウルトラシリーズに限らず全ての特撮ヒーロー作品は1話の中に最低でも一回はヒーローの出番を作っている。あの『ネクサス』でさえネクサスが登場しなかった話は無かった。
しかし、1話30分と言う短い時間の中に何度も戦闘シーンを入れるとドラマに割ける時間が少なくなってしまうし展開もパターン化してしまう。
特撮ヒーロー作品のさらなる発展の為にこの状態を打破しようと言う試みは分かる。が、ヒーローの登場を無くするのなら、それに代わる何かを用意しないといけない。『SEVEN X』では役者による生身アクションがそれだったのかもしれないが残念ながらセブンXの出番の代わりになる程のインパクトは無かったと思う。

 

この世界が政府によって管理されている事をジンは訴えるがDEUS司令は取り合わない。と言うか、この状況ならDEUSも政府の手先になっていると考えるべき。前回と今回はジンの行動がやや間抜けで残念。

 

ある建物でジンはエレアと再会するのだが、この建物は一体何だったのだろうか?
記憶を失う前のジンが知っていた場所なのだろうが、そこに記憶を失ったジンが辿り着けた理由が分からない。
ここでエレアは記憶を失う前のジンが自分に色々な真実を教えてくれた事、自分とジンは恋人だった事、そして記憶を失う前のジンがエレアに「俺がこの世界を救ってみせる。約束する。だから、俺を信じてくれ」と言っていた事を明かす。
これらを踏まえて第1話を見返すとエレアの謎の行動にも色々と合点がいくようになる。(ただ、まぁ、職員の一人に過ぎないエレアがどうしてあんなに神出鬼没に現れる事が出来たのかと言う新たな謎が生まれてしまうのだが)

 

DEUSはエレアを侵略者の尖兵だとして捕獲の為にエージェントを差し向ける。ケイとエスにもそのミッションが伝えられるのだが、ジンを信じるエスは難色を示す。それに対してケイはジンを信じる事はDEUSの指令が嘘だと認める事、今まで自分が信じてきたものを否定する覚悟があるのかと問う。
主人公達が特別チームに反旗を翻す展開は『ガイア』『平成セブン』『ネクサス』等にもあった。どちらか言うと対象年齢を上げた作品に見られる展開である。

 

YOUR SONG」でエイリアンのナタルと恋に落ちたエージェント・ディーはそのままDEUSから離れたが、今回のジンとエレアがDEUSに追われる展開を見ると、ディーにはそれしか選択が残されていなかった事が分かる。

 

ケイはミッションを遂行するべくジンと敵対すると思われたが、ジンは初めて会った時に記憶を失った自分にケイが言った「少なくとも俺はお前の味方だ」と言う言葉を今も信じていると告げ、それを聞いたケイは自分には本気でジンと戦うつもりは無くてジンの本気を試していただけだと答える。
そこはさすがに3ヶ月近くコンビを組んでいた仲である。ただ、その一方でジンとケイの本気対決も見てみたかったところがある。今回はセブンXの戦闘シーンが無かったが、もしジンとケイが戦っていたらその代わりになれるだけの十分なインパクトを残せたはず。

 

エレアによって遂に明かされるAQUA PROJECTの全貌。
最初は水に特殊な波動を加える事で新たなエネルギー資源に変換する計画で、実現すれば原子力に変わる強力なエネルギーを確保できるはずだったが、実験の最中に波動を吸収した能朱湖に異世界へのゲートが開き、自分達の住む世界の隣に並行する世界がある事が判明した。それを知ったある存在は並行世界にも支配の手を伸ばそうとしたのだった。

 

自分達のいる建物がエージェント達に囲まれた事を知ったエレアは自分がエイリアンでジンを騙していたと言って建物を爆破してしまう。しかし、これは全てを見ていたある存在の目を眩ませる為の演技であった。
う~ん……。エレアが嘘の告白をしてから爆発まで数秒しか時間が無いのだが、その数秒でケイとエスの誤解を解いて逃げると言うのは難しくないだろうか?
それにある存在が全てを見ていたとするなら、エレアが嘘の告白について説明する部分まで見られていたと言う事にならないかな?(実際、エージェント達は数分後にはエレア達が逃げ込んだ場所に乗り込んでいる)
瓦礫の山から地下への通路を見付ける時間を計算に入れたら、エレアの嘘の演技にエージェント達が引っかかっていたのはほんの数秒と言う事になる。インパクトを出す為の一種のサプライズであったエレアの嘘の告白だが、あまり意味があったようには思えない。(まぁ、本人も「わずかな時間稼ぎ」と言っているが)

 

建物を爆破してジン達を自分の拠点に連れて来たエレアはこの世界を支配しているある存在を倒すべく作戦を発表する。
AQUA PROJECTの施設と世界中の情報をモニターできる管理施設の場所を割り出して爆発物まで用意していた。元は一般の女性であるエレアが殆ど一人でここまで用意した事に驚く。

 

と言う事で次回「NEW WORLD」に続きます。