帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「絶望の空」

「絶望の空」
ウルトラマンデッカー』第23話
2022年12月24日放送(第23話)
脚本 根元歳三
監督 辻本貴則

 

精強宇宙球体スフィアソルジャー
全長 不明
重量 不明
テラフェイザーに操られて三本の塔に変形すると地球からエネルギーを吸収する。
デッカーが出現するとスフィアゴモラ、スフィアレッドキング、スフィアネオメガスに変形した。

 

古代合成獣スフィアゴモラ
身長 50m
体重 3万t
スフィアソルジャーがデッカーを倒す為に変身した。
デッカー・ダイナミックタイプを追いつめるが最後はウルトラデュアルソードとデッカーシールドカリバーの二刀流で倒された。

 

どくろ合成獣スフィアレッドキング
身長 45m
体重 2万5千t
スフィアソルジャーがデッカーを倒す為に変身した。
デッカー・ダイナミックタイプを追いつめるが最後はウルトラデュアルソードとデッカーシールドカリバーの二刀流で倒された。

 

新創合成獣スフィアネオメガス
身長 65m
体重 3万t
スフィアソルジャーがデッカーを倒す為に変身した。
デッカー・ダイナミックタイプを追いつめるが最後はウルトラデュアルソードとデッカーシールドカリバーの二刀流で倒された。

 

最強スフィア獣マザースフィアザウルス
身長 88m
体重 8万8千t
時空を超えて存在するスフィアの本体。
アガムスの暗躍によって遂に地球圏に現れる。

 

ウルトラマントリガー
身長 53m
体重 4万4千t
マザースフィアザウルスと遭遇して戦いを始める。

 

物語
カナタは記憶を失って混乱するアガムスと対話をする。
その時、スフィアソルジャーが地球を襲来。記憶を取り戻したアガムスはスフィアソルジャーを利用してマザーの地球襲来を早めようとする。

 

感想
前回の「衰亡のバズド」でデッカーの正体がカナタであった事を目撃したリュウモン。
リュウモンはこれまでの話でもデッカーの正体について色々な話をしていたのでカナタへの疑いが正しかった事が分かったと言う感じかな。
ウルトラマンの正体について色々考えるキャラクターは『初代マン』のイデ隊員からいるが作品を通して何度も描写していくと言うのは意外と少ない。『ザ☆ウル』はそれをした事が終盤の盛り上げに繋がったので個人的には本作のリュウモンのようにウルトラマンの正体について考えていく人物はどの作品にも配置してほしい。

 

記憶が混乱しているアガムスと話をするのは交流が多かったカナタが適任であるとリュウモンがムラホシ隊長に進言する。
アサカゲ博士が開発したGUTSグリフォンやテラフェイザーは表向きはハネジローが操縦する設計だったのでハネジロー繋がりでカナタはアサカゲ博士とよく話をしていたと思われる。
カナタがウルトラマンである事を明かさないでカナタとアガムスを面談させる良い理由付けだったと思う。

 

記憶が混乱しているアガムスだったが設備を見て今いる場所がバズド星ではなく地球、それも過去の地球である事を理解する。
衰亡のバズド」で描かれたバズド星を見ると地球の文明と全く違う感じは無かったのだが、それでもすぐに分かる違いがあったのかな。ひょっとしたら文字を見て判断したのかもしれない。

 

ニュージェネレーションシリーズのヴィランジャグラー、伏井出ケイ、美剣サキ、霧崎、イグニス、そして本作のアガムスとそれぞれ酷く傷付いた過去があって暴走して止まれなくなった人達であった。
今回の話でアガムスは記憶が混乱した事で暴走する前に一時的に戻る事となった。暴走する前から戦いに関わるところにいたジャグラー達と違って暴走前のアガムスは戦いとは無縁な穏やかな感じであった。その事で今のアガムスがいかに平常心を失ってボロボロになっているかがよく分かった。

 

デッカーを倒す為にスフィアソルジャーはスフィアゴモラ、スフィアレッドキング、スフィアネオメガスに変身する。最後はウルトラデュアルソードとデッカーシールドカリバーの二刀流で勝利を収めたが今回のデッカーはダイナミックタイプになってもかなりの苦戦を強いられた。こういう数的に不利な時こそディメンションカード怪獣の出番だと思うのだが……。

 

昭和に比べて平成以降は怪獣の切断が減ったと言われるがニュージェネレーションシリーズではウルトラマンが剣等の武器を持つようになったからか怪獣の切断が見られるようになった。今回は真っ二つにされたスフィアネオメガスの体がズレて落ちる描写もあって令和でもこういう事が出来るのかと驚いた。

 

『デッカー』の後半の一つの軸であるアガムス関係の話だが「似たような展開が繰り返されている」と言われる事がある。
アガムスの話を整理すると「地球人が宇宙に進出した結果、バズド星がスフィアに襲撃されて妻のレリアが命を落とす事になった」「その復讐として過去の地球にやって来て地球を滅ぼす事にした」なのだが、カナタは煎餅屋で宇宙進出については「火星旅行も身近になったなぁ」くらいの感覚だったので、アガムスに「地球人が宇宙に進出した事でバズド星が……!」と訴えられてもイマイチ実感が湧かないところがあったと思われる。
なのでカナタは地球人の宇宙進出の是非についてはあまり触れないで「とりあえず今のアガムスを救うにはどうしたら良いんだ?」と言う話になって、もう自分が救われる事は望んでいないアガムスにしたら「カナタや地球人に救われるつもりは無い!」になってしまって、結果として「分かんねぇけどアンタを救いたいんだ!」「黙れぇ!」から話が進まなくなってしまったところがある。
簡単に言えばアガムスは「地球人の宇宙進出を責めたい。無かった事にしたい」が一番訴えたい話なのだがカナタにとってそれは「とりあえず横に置いておきたい話」で、カナタは「今のアガムスを救いたい」が一番訴えたい話なのだがアガムスにとってそれは「今はもうどうでも良い話」とお互いの訴えたい事がズレてしまっている。その為、ずっと対話しているのに進展が殆ど無く、似たような事を繰り返しているように見えてしまったのかもしれない。
自分としてはアガムスと対話する人物は宇宙に出る事を夢見ているイチカが適任だったと思う。実際、「衰亡のバズド」でイチカは地球人の宇宙進出の結果について色々考えていた。
「復讐」と言う感情で動いているアガムスに同じく感情で動く事が多いイチカを会わせれば話を合わせられる可能性は高かったと思う。ただ、イチカはそのままアガムスの訴えに引きずられてしまう恐れがあるので感情ではなく理屈で判断できるリュウモンもセットでアガムスと対話させれば良かったと思う。

 

 

リュウモン ソウマの場合」
『GUTS-SELECT交流記 ~帰ってきた特務3課~』第4話
脚本 足木淳一郎
監督 村上裕介

 

今回の配信日は2023年1月7日で本編は特別総集編が放送されていた。

 

今回の内容は「衰亡のバズド」の前の話となっている。

 

リュウモンの意外な一面が明らかになる話。
本編ではリュウモンは殆どギャグが無かったのでかなり新鮮だった。

 

リュウモン一族の話を聞いてふと思ったが『トリガー』『デッカー』はケンゴやユナのような特殊な生い立ちを持った人以外の家族の話が意外と少なかった。この辺りは本編が2クールなので描けるものが限られているのだろうが『デッカー』ではそこをスピンオフを使って上手く補完していた。