帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「オトノホシ」

「オトノホシ」
ウルトラマンブレーザー』第9話
2023年9月9日放送(第9話)
脚本 植竹須美男
監督 越知靖

 

宇宙怪人セミ人間
身長 180cm
体重 150kg
銀河中の星に同志をばら撒いてガラモンを使って全てを奪い尽くしてきた。
60年前に地球に降り立ったグループはそこで出会った音楽に夢中になって自分達で奏でるほどになった。
演奏の音波でガラモンをコントロールしていて、アンリ隊員によって演奏を止められるとガラモンを倒された。

 

ロボット怪獣ガラモン
身長 40m
体重 6万t
多摩川に落下した隕石から現れたロボット。
ラジコンのように音波でコントロールされている。
至近距離でも相手の攻撃を避ける俊敏さとアースガロンのレールキャノンやブレーザーのスパイラルバレードも通じない強固な体表を持つ。
手を叩いて出る音で攻撃する。
コントロールの音波が止められると口から緑の液体を流して活動を停止させ、ブレーザーのダブルレインボー光輪で倒された。

 

物語
アンリ隊員は10年前に知り合った楽団からコンサートのチケットを送られる。
一方、落下した隕石からロボット怪獣のガラモンが出現。
アンリ隊員はガラモンが音によってコントロールされている事に気付く。

 

感想
ゲント隊長の左目が青く光ると無意識の状態でヤスノブ隊員のコップを取って苦手だった野菜ジュースを飲んでしまう。
実はこれまでのウルトラシリーズでも一心同体になっているウルトラマンが人間の意識を押しのけて体を動かす話はあったが、それをすると「乗っ取り」に見えてしまうからか、非常時だったり描写がさらりと流されたりとあまりハッキリと描いてはいなかった。しかし、宇宙警備隊に所属していないブレーザーには「人間の体を乗っ取るのは問題である」と言う認識が無いのか、自分の興味の赴くままにゲント隊長の体を乗っ取って勝手な行動をしてしまう。

 

これまでに比べてゲント隊長とブレーザーの繋がりが強くなったのか、ゲント隊長はインナースペースのような場所でブレーザーの意識と対面する。
ここでゲント隊長は「手を叩く」と言うコミュニケーションを使ってみる。コミュニケーションの初歩らしい手段でさらに音を使うと言う今回の話のテーマにも合っていた。

 

手を叩くやりとりの後、ゲント隊長が持っているブレーザーストーンが熱くなる。
この「熱を発する」はブレーザーからのコミュニケーション。
後に登場するファードランが炎の怪獣だったが、ブレーザーは炎や熱に関係する場所の出身なのだろうか?

 

「怪獣は待ってはくれない」として24時間以内にアースガロンの修理を完了させろと命令するハルノ参謀長。
現場を考えないムチャクチャな命令ではあるがハルノ参謀長が危惧したように怪獣ガラモンが現れ、ハルノ参謀長が急かして修理を完成させていたおかげでアースガロンは出撃する事が出来た。

 

今回は99日朝9時放送の第9話に『Q』の怪獣が再登場すると言う面白い回。(越監督によると偶然との事)
『Q』の「ガラモンの逆襲」でセミ人間がガラモンの電子頭脳を楽器のケースに入れて持ち運んでいたが今回は実際に楽器を演奏する事となった。
ツクシ達の正体が分かった上で冒頭の「セミプロ」の台詞を聞くと思わずフフッとなる。
因みにツクシ達の偽名は全てセミの名前が元ネタとなっている。

 

ツクシを演じたのは雅楽師東儀秀樹さんで他のセミ人間の人間態を演じた人達も音楽に携わっている人達となっている。音楽がテーマの回にピッタリの配役であった。

 

現代編では温和で地球への愛があるツクシだが60年前の地球に降り立ったばかりの時は侵略者らしい悪い笑みを浮かべている。短い時間ではあるがこの場面があるからこそこの後の音楽との出会いがよりドラマチックになっている。

 

ガラモンのトゲがアースガロンに突き刺さる!
突き刺さったトゲを操縦席で見る場面が新鮮だった。こういう描写はウルトラマンでは出来ないロボットならではのものであった。

 

活動を停止させたガラモンの口から緑の液体が溢れ出て、それが顔にかかったブレーザーは気持ち悪いと言う態度を示す。
こういう人間臭いリアクションはマックスを思い出すところがある。

 

ツクシがアンリ隊員にコンサートのチケットを送ったのは自分達の侵略を止めてほしかったからだと思われる。その証拠にツクシのコンサート会場に来た観客はアンリ隊員だけだった。ツクシ達は多くの人の目に留まるところでずっと演奏をしていたので彼らのコンサートに呼べる人がアンリ隊員だけだったとは考えにくい。おそらくツクシは自分達が侵略者である事をSKaRDの隊員であるアンリに気付いてもらう為に色々と用意したと思われる。

 

今回の話のテーマは「音楽」。
ツクシ達の演奏によって宇宙人のツクシ達と地球人のアンリ隊員は知り合う事が出来た。しかし、ツクシ達の演奏は侵略者がロボット怪獣で地球を攻撃する事にも使われた。
今回はその他にもゲント隊長とブレーザーが手を叩く事でコミュニケーションを取る一方でガラモンが手を叩いて出した音でアースガロンを攻撃する等、音が地球人と宇宙人を繋げる一方で侵略者の攻撃に使われる事となった。

 

ガラモンが倒されてツクシ達の侵略計画は失敗に終わる。
演奏の幕が下りたところで話が終わっているのでツクシ達のその後は描かれていないが、「皆、好きに生きてくれ」と言うツクシの言葉を聞くと、他の三人は地球人に紛れて生きていくが、リーダーのツクシは責任を取って命を落としたように思える。どこかで音楽を続けてほしいとは思うけれど、セミ人間は『Q』の「ガラモンの逆襲」でも作戦を失敗した仲間を容赦なく処刑した種族だったし……。

 

今回の話はツクシ達の演奏が10分近く展開されると言う30分番組ではかなり異例の構成となっている。エンディング曲も特別に『Q』のメインテーマが使われる等、他の話とは色々と違った話となっている。
自分はウルトラシリーズの魅力の一つに話のバラエティ豊かさがあると考えているので各作品に一回はこういう話があって良いと思う。

 

「この宇宙に音を出す生物はたくさんいる。でも、君達は、音を、音楽を純粋に楽しむ事が出来る。消えてしまわなくて良かったよ。ありがとう」。

 

 


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