帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「いくぞブレーザー!」

「いくぞブレーザー!」
ウルトラマンブレーザー』第12話
2023年9月30日放送(第12話)
脚本 足木淳一郎
監督 武居正能

 

宇宙電磁怪獣ゲバルガ
身長 49m
体重 2万5千t
しばらく活動を休止させていたが復活すると電磁パルス(EMP)で通信施設を襲ってネットワークを汚染しインフラを麻痺させた「天然のコンピューターウイルス」。
腹部の開口部にあるEMP発生器官をアースガロンのレールキャノンで発射されたチルソナイトスピアーで破壊され、最後はブレーザーのチルソナイトソードで真っ二つにされた。

 

物語
ゲバルガのEMPによってインフラが麻痺して多大な被害が出てしまう。
ブレーザーでも倒せなかったゲバルガに対して防衛隊は様々な部署の力を揃えて反撃に出る。
一方、ブレーザーを信頼出来なくなったゲント隊長は……。

 

感想
前回の戦いの後、ゲント隊長は気が付いたら10km離れた山中にいたらしい。
新入隊員ならまだしも隊長が作戦中に消息不明になって後に10km離れた場所で発見されるのは問題。ブレーザーが敗走してからゲバルガが活動を休止させるまでどのくらいの時間があったのかは分からないが、その間のSKaRDは隊長不在で動きが鈍くなっていたのは確実だと思われるので。

 

前回の敗北を受けてハルノ参謀長はSKaRDを厳しく叱責する。
「SKaRDが単独で撃退した怪獣は一体もいない」は確かに気になるところ。
「SKaRDが単独で怪獣を撃破した事が無い」と言う事は「ブレーザーがいなかったら怪獣によって日本が滅んでいた可能性がこの数ヶ月で何度もあった」と言う事になる。
他の作品だと「ウルトラマンはSKaRDの協力者です」と言う事があるが『ブレーザー』だとこの時点では変身者のゲント本人ですらブレーザーの事がよく分からなくて信頼出来ないところがある状態となっている。
視聴者はウルトラシリーズはどういう作品なのか知っているのでブレーザーをSKaRDの味方として見る事が出来るが劇中の人物がブレーザーを人類の味方と判断するにはあまりにも材料が足りなすぎる。
そう考えるとアースガロンやSKaRDでは怪獣を倒す事が出来なくて、よく分からない存在であるブレーザーのおかげでたまたま怪獣を倒せていると言う現状は人類にとってかなり厳しいものと言える。

 

オトノホシ」に登場したガラモンの破片を特殊装備研究所が改修してチルソナイトスピアーが作られる。
かつては怪獣を力を使ったらろくでもない展開になるしかなかったが『メビウス』のメテオール辺りから状況が変わってきて、ニュージェネレーションシリーズになると怪獣の力をウルトラマンや人類が有効活用するようになってきた。

 

山が吠える」のヒラノが再登場してアースガロン用に改修されたメガショットが使われる事になる。今回はその他にも「ファースト・ウェイブ」の部隊が再登場している。こういう過去の話の設定や人物が再登場すると総力戦と言う感じがして盛り上がる。

 

SKaRDを叱責したので憎まれ役になりそうだったハルノ参謀長だがその後にゲバルガ攻略の為に色々と根回しをしてお膳立てをしていた事が明かされる。
ブレーザー』では防衛隊の失態が何度か描かれているが、一方でハルノ参謀長やドバシ・ユウを最善を尽くしていた人物としている。
問題はあくまで硬直化したシステムにあったとして安易に無能な悪人を出さなかったのが良かった。

 

一番危険な役割を自分が担おうと現場に向かうゲント隊長をエミ隊員とアンリ隊員が止めて「隊長は司令塔なんだから後ろでふんぞり返っているくらいがちょうど良いんです」と説得する。
ゲント隊長は途中でブレーザーに変身するので現場に出ても今回の話の冒頭のように作戦の途中で消息不明になってしまう恐れがあるので、変身する事を考えたら今回の「ハルノ参謀長が上層部で根回しをする」「ゲント隊長が全体を見渡せる位置で皆を動かす」「テルアキ副隊長達が現場で行動する」と言う形が一番上手く回ると思う。

 

SKaRDは戦闘機が無いので防衛隊の総力を動員した今回のゲバルガ戦は誘導弾と地上に設置した爆弾を中心にした作戦になっていて他のウルトラシリーズではあまり見られない怪獣迎撃戦となった。

 

ゲバルガのEMP発生器官を破壊する事に成功したアースガロンだったがその後の一騎打ちでは正面から戦って敗北してしまう。
怪獣の能力を無力化する事が出来てもそこから怪獣を倒すほどの火力が無いと言うのがアースガロンの無念なところ。

 

ブレーザーの記憶が流れ込んだゲント隊長は自分とブレーザーは「命を救おうとする」と言う同じ気持ちを持っていた事を知る。
分かりやすい言葉を使わないでゲント隊長とブレーザーに信頼関係を構築させたのは上手かった。

 

ブレーザーはゲバルガから取り出したチルソナイトスピアーをソードに変える。
シンプルな光の槍であるスパイラルバレードからギミックを搭載した剣であるチルソナイトソードを使うようになった事でブレーザーが進化したように見える。

 

ブレーザー』の前半はレギュラーのヴィランが登場しない昔のウルトラシリーズのような一話完結のスタイルであったがハルノ参謀長が「セカンド・ウェイブ」と言う言葉を使った事で今回の話と第1話の「ファースト・ウェイブ」が繋がって一つの大きな物語が動き出す事となった。