帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「エスケープ」

エスケープ」
ウルトラマンブレーザー』第11話
2023年9月23日放送(第11話)
脚本 足木淳一郎
監督 武居正能

 

宇宙電磁怪獣ゲバルガ
身長 49m
体重 2万5千t
隕石に擬態して宇宙から飛来した宇宙怪獣。
電磁パルス(EMP)で防衛隊の誘導弾を防いでアースガロンを操縦不能に陥らせた。
丸まって体当たりをする。
その圧倒的な戦力はブレーザーですら退却を選択するほどであった。

 

物語
デマーガ事件でのブレーザーの謎の行動に皆が困惑する中、宇宙から怪獣と思われる謎の隕石が飛来する。
EMPを使う宇宙怪獣ゲバルガによって防衛隊の戦力が無力化され、ブレーザーも苦戦を強いられる。

 

感想
今回は全編に亘って防衛隊とゲバルガの攻防が繰り広げられていてTVシリーズとは思えないほど大規模な作戦が展開される話となった。

 

ゲント「自分の中に別の奴がいるって分かったらアンリならどうする?」、
アンリ「え? 何ですか?」、
ゲント「いや、何でも無い」。
もしここでアンリ隊員がゲント隊長の話を聞いていたらSKaRDの中で一足先にゲント隊長とブレーザーの関係を知る事になっていた可能性がある。
ブレーザー』の後半はエミ隊員にV99関係の話があったのでアンリ隊員にはゲント隊長とブレーザーの関係に関わる話が用意されても良かったかもしれない。

 

防衛隊が宇宙空間でゲバルガを倒そうとしたのを見てふと思ったが、ウルトラシリーズは宇宙怪獣が数多くいるが地球に到達する前に倒してしまおうと言う話は意外と少ないかも。
殆どは地球に落下して、特別チームがデータを集めて落下したものが怪獣だと判断して、そこから地上で戦いが始まると言う感じになっている。
今回は防衛隊が隕石の正体が怪獣である事を最初から分かっていたので地球に到達する前に攻撃を開始する事が出来た。では、どうして防衛隊は隕石の正体が怪獣である事を知っていたのかについては『ブレーザー』の後半で明かされる事になる。

 

ゲバルガはシルエットにすると意外と普通な人型なのだが顔に当たりそうな部分の配置が変えられている事で実際に姿を見るとこれまでのウルトラシリーズに無かった異形感が出ていて新鮮だった。

 

ゲバルガの生物と機械が融合した感じは『ガイア』の根源的破滅招来体に送り込まれて来た怪獣を思い出す。自分の好きな系統の怪獣なのでこれからもこの系統は出していってほしい。

 

必死に走って逃げるアースガロンがかわいい。

 

アースガロンが操縦不能になったところでブレーザーブレスが現れてゲント隊長は「この状況じゃこれしかないか」「今日はホント頼むぞ」と言ってブレーザーに変身する。
何となくだが今回の話でブレーザーの事を一番信じられていなかったのは実はゲント隊長だったりするのかな。

 

ゲント隊長がアンリ隊員に「今すぐ離脱しろ!」と言って危険から逃がそうとしたのを見ていたブレーザーはゲバルガとの戦いで危機を察知すると戦闘続行ではなく離脱を選択した。
ウルトラマンは全ての存在の命を守ろうと努めているが肝心な自分達の命については無茶・無理をするところがあったので、個人的には自分達の命の心配もする今回のブレーザーの行動の方が自然で納得が出来るものであった。

 

「人間の子供を守る」のを見て「怪獣の子供も守る」ようになり、「仲間を命の危機から退避させる」のを見て「自分と一体化している人間を命の危機から退避させる」とブレーザーのやっている事はゲント隊長のやっている事と同じだったりする。
ゲント隊長は人間なので怪獣の命と人間社会を天秤にかけたら人間社会を優先させるし、隊長なので部下に無理はさせられないけれど自分自身は無理をする。でも、ブレーザーからしたら人間も怪獣も同じ命だしアンリ隊員もゲント隊長も同じ仲間となる。
地球人とは違う考えが出来る生命体と言うのをこういう形で描くのはこれまでのウルトラマンにはあまり無かった感じで興味深かった。

 

最初に『ブレーザー』の設定を見た時はゲント隊長は中間管理職として苦労する事になるのかなと思ったが今回の話を見るとハルノ参謀長の方がそういう苦労を担うようだ。
まぁ、立場的にハルノ参謀長の方が上層部と直接顔を合わせる事になるからなぁ……。

 

今回登場したゲバルガと「そびえ立つ恐怖」に登場するイルーゴのデザインは『戦え! セブンガー』を手掛けた川石テツヤさんが担当している。