帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「円盤が来た」

「円盤が来た」
ウルトラセブン』制作第44話
1968年8月11日放送(第45話)
脚本 川崎高・上原正三
監督 実相寺昭雄
特殊技術 高野宏一

 

サイケ宇宙人ペロリンガ星人
身長 180cm
体重 80kg
強力な磁気と不透視バリアーで円盤を星にカモフラージュした。
少年に変身して、フクシンを星の世界に連れて行ってあげると言う。フクシン以外にも地球に飽き飽きした人を星の世界に連れて行っていた。
ウルトラセブンとウルトラ警備隊によって倒されたらしい。
出身地がペガッサ星雲第68番ペロリンガ星となっているが、ペガッサ星人と何か関係があるのだろうか?
制作中止になった「湖底の叫び声」に登場予定だった水棲人ピニヤの着ぐるみを改造している。

 

物語
いつも夜中に星を見てばかりいる青年フクシンはいつか星の世界に行きたいと思っていた。
そんなある日、不思議な少年と出会った事から彼は……。

 

感想
今回の話は1952年に公開されたルネ・クレール監督作品『夜ごとの美女』の影響があるらしい。

 

基本的に『ウルトラセブン』はウルトラ警備隊を中心に話が進むので今回のように一般人が話の中心になる話は少ない。

 

深夜の通報を面倒そうに受け取るソガ隊員。
電話の相手が一般市民に代わった途端に態度をコロッと変えているのが面白い。

 

「我々が無駄な働きをすればするだけ地球は平和って事だ」と言うキリヤマ隊長。逆にフルハシ隊員は通報を真面目に受け取らない事が多い気がする。

 

フクシンの隣人である源さんは悪い人ではないのだろうが迷惑な人で、フクシンみたいな人はこういう人が一番苦手だと思う。

 

ペロリンガ星人は鮮やかなデザインが話の内容とミスマッチなようで逆にマッチしている。あの声も良い。人間に変身している時の「大人よりしっかりしている少年」と言うキャラクターも面白く、『ウルトラセブン』の中でも特に好きな宇宙人。

 

専門家は常にアマチュアより正しいと思っているとして、専門家には見えないがアマチュアには見えると言う方法を採ったペロリンガ星人。これも一般市民が話の主役だから出来た展開。

 

今回の話はSFと言うよりファンタジーに近く、ウルトラセブンとペロリンガ星人の戦いは完全にイメージの世界になっていた。

 

これまでは星を見ると言う「夢の世界」のせいで隣人との付き合いや仕事と言った「現実の世界」が上手くいっていなかったフクシンだが、ペロリンガ星人が実在した事で星を見ると言う「夢の世界」が隣人との付き合いと言う「現実の世界」でのフクシンの評価を変える事となった。
でも、フクシンは隣人との付き合いや仕事と言った「現実の世界」に興味があるのだろうか? もし、フクシンの興味が星を見ると言う「夢の世界」にしかなかったとしたら、望遠鏡で見た星は実は地球侵略を企む宇宙人の円盤だったとして、フクシンは「夢の世界」にすら希望を抱く事が出来なくなったとなる。

 

今回の話は実は全てフクシンが見た夢だったと言う解釈も出来る。

 

今回の話は実相寺監督の『ウルトラセブン』監督最終作となっている。因みに前回と今回の脚本を担当している川崎高は実相寺監督のペンネームである。(実際は前回の「第四惑星の悪夢」は上原さんが、今回の話は実相寺監督が書いたらしい)

 

ウルトラマンタイガ』の「円盤が来ない」は今回の話の後日談のような話になっている。