帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「命を吸う音」

「命を吸う音 ーバイオリン超獣ギーゴン登場ー
ウルトラマンA』制作第51話
1973年3月23日放送(第51話)
脚本 石堂淑朗
監督 筧正典
特殊技術 高野宏一

 

バイオリン超獣ギーゴン
身長 51m
体重 4万3千t
バイオリンを嫌う春男の心が超獣を呼び寄せてバイオリンと合体した。又、息子を天才的なバイオリニストにしようとする春男の母親の執念とシンクロしていた。
美しい音色で人々の命を吸って巨大化していく。エースとの戦いでは逆に不協和音を発して苦しめた。
エースに弦を切られて弱ったところをメタリウム光線で倒され、最後は音と音符になって消滅した。

 

物語
バイオリンを嫌う春男と、その春男を天才的なバイオリニストにしようとする母親。二人の想いが超獣ギーゴンを生み出してしまう。

 

感想
『A』第4クールは怨念が超獣を生み出す展開が多いが、今回のギーゴンを生み出したのはバイオリンを嫌う春男と逆に春男を天才的なバイオリニストにしようとする母親の想いである。
怨念でなくても人間のマイナスの力があれば超獣は生まれる。この設定は後の作品にも引き継がれ、『80』のマイナスエネルギーへと至る。

 

春男の父親は天才的なバイオリニストで、春男の母親は息子を父親の代わりにしようとしていたのだろう。
遺影の父親が春男にウインクする場面があるが、果たしてどういう意味だったのだろうか?
春男もやる気になればバイオリンが上手くなると言う意味か、それとも嫌ならバイオリン以外の道に進んでも良いと言う意味か……?

 

ギーゴンは春男のバイオリンに対する嫌悪感が実体化したものと言える。途中からギーゴンと母親がシンクロしていたのは春男にとって母親=嫌いなバイオリンとなっていたからであろう。
ギーゴンの弦が切られると同時に母親も苦しみ出したので一緒に死んでしまうのかと心配したが、どうやらギーゴンと母親のシンクロが切れたと言う意味だったようだ。
それにしても星司から銃を取り上げてまでギーゴンを守ろうとした母親は凄かった。やはり人間ほど性質の悪い存在はいない。

 

最近、変身シーンでウルトラリングを合わせる場面がカットされている。

 

「子供は元気でのびのびと育つのが一番です。その上でなら学問でも芸術でも自分から進んで努力するようになります」。
竜先生のお言葉でした。

 

今回の話は『セブン』『帰マン』『A』で音楽を担当している冬木透さんがバイオリンの先生役としてゲスト出演している。冬木さんは次作『T』では音楽を担当していないので、最後の記念と言う意味合いもあったのかな?

 

今回の話は石堂さんの『A』脚本最終作となっている。