帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「あぶない! 嘘つき毒きのこ」

「あぶない! 嘘つき毒きのこ ーきのこ怪獣マシュラ登場ー
ウルトラマンT』制作第31話
1973年11月2日放送(第31話)
脚本 大原清秀
監督 筧正典
特殊技術 深沢清澄

 

きのこ怪獣マシュラ
身長 0~46m
体重 0~1万4千t
東京のど真ん中に現れたお化けきのこはZATの薬品をさらに強力な毒液に変えて街中に撒き散らしてしまう。タロウファイヤーによって倒されるが、小さいきのこが一本だけ生き残ると、植物トランシーバーで自分を助けてくれた大介の体内に入ってきのこ人間に変え、さらに団地の給水塔に毒素をばらまいて団地の人間全てをきのこ人間に変えてしまった。
目から出す光線できのこ人間を操る。
キングブレスレットのドライヤー光線で再び倒されると、きのこ人間は元に戻り、マシュラが倒された跡には今度は人畜無害の松茸が生えていた。
名前の由来は「マッシュルーム(きのこ)」かな。マッシュルームは食用の無害なきのこを指すので、毒きのこを指す「toadstool」の方が良かったかも。

 

物語
鍵っ子の大介はZATから植物トランシーバーを貸してもらい、それで干からびたきのこを助ける。
そのきのこは先日にタロウが倒したお化けきのこの生き残りだった。

 

感想
今回は「鍵っ子」の話。
大介の母親は周りと同じ生活を手に入れたい為に日夜パートに精を出す。そうしないと大介が可哀相だと言っていたが、実際は自分の願望を叶えたかっただけ。大介の父親が言ったように、ただの見栄と言える。

 

大介が失踪した事を自分のせいだと責める母親。
大介は中学生に虐められていたが、それは両親が家にいなかったから。守ってくれる親がいない子供は大変だ。
事件が解決した後、母親はパートを辞めてこれからは家にいると言うが、大介はタロウがいるから大丈夫だと答えている。『T』が放送されていた時期は「変身ブーム」と呼ばれて数多くのヒーローがTVに登場していた。家にいない親に代わって自分達を守ってくれる存在を子供達はヒーローに求めていたのかもしれない。(この時期のヒーロー作品に登場する子供は親が不在である事が多い)

 

最後に大介は「母さんはウチでじっとしているたちじゃないし」と母親はパートを続けても構わないと言う。
親はなくとも子は育つ。子は親がいなくても漫画やTVやゲームやパソコンやスマホと言った親の代わりを見付けて生きていく。

 

ZATが開発した植物トランシーバーは植物と話が出来ると言う優れ物。きのこは植物ではないのだが……。

 

今回は街中が舞台なので妖怪譚と言うより都市伝説に近い雰囲気があった。きのこ人間になった大介が団地の中に消えていく場面は思わずゾクッとした。

 

虐めをしていた中学生3人は大介にきのこを食べろと言ったのは冗談にしても、あんな事があったのに、よく平気な顔をしていたなぁ……。大介がいなくなって周りは家出か誘拐かと大騒ぎ。下手すれば警察に事情聴取されるところだったぞ。

 

きのこ人間の集団はかなりシュールな映像だった。

 

事件解決後、光太郎と森山隊員は平気な顔をして松茸を食べていたが、あんな事件があった後によく食べられるなぁと思う。きのこ人間になりそうで、自分はとても食べられない。

 

「テストの前の日に何しとった?」、
「「ウルトラマンタロウ」を見ていました」、
「「ウルトラマンタロウ」か。あれはなかなか面白い」。
教室での先生と生徒の会話で「ウルトラマンタロウ」と言う番組が放送されている事が分かる。どんな内容か気になる。
今回の話は他にも大介の両親の会話で「お隣の田口さんでも石堂さんでも、しょっちゅう一流のレストランでお食事をなさるって言うお話よ」と言う台詞もある。こう言う遊びは昭和ウルトラシリーズでは珍しく、どちらかと言うと平成ウルトラシリーズに近い。

 

今回と次回は上野隊員が登場していない。

 

今回の脚本は今まで木戸愛楽や大原清と言うペンネームで書いてきた大原清秀さんが担当している。

 

普段は本編を担当している深沢監督が今回と次回だけ特殊技術を担当している。

 

 

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