帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「白い兎は悪い奴!」

日本の童謡から 白い兎は悪い奴! ーわんぱく宇宙人ピッコロ登場ー
ウルトラマンT』制作第46話
1974年2月15日放送(第46話)
脚本 石堂淑朗
監督 筧正典
特撮監督 矢島信男

 

わんぱく宇宙人ピッコロ
身長 210cm~61m
体重 300kg~2万9千t
ピッコラ星雲のプリンス。旅好きで、知り合いのハーシー大彗星に乗って、かねてから興味があった地球に遊びに来た。ウサギに興味を示すが、アパートの大家がウサギを毒殺した事に激怒すると巨大化して街を破壊した。
物質を瞬間移動させる能力を持ち、ウサギを瞬間移動させて大家を驚かせた。空を飛び、手にしたハンマーや鋭い刃を持つ帽子を武器とし、鼻から強力なミサイルを撃つ。
何故か煙突から地球の様子を観察する。望遠鏡で光太郎の正体がタロウである事を見抜く。地球人は腐った心の持ち主だとタロウに詰め寄るが、タロウの説得を受け、さらに疲れた事で地球人への攻撃を止める。
疲れて動けなくなったのでタロウの手によって再びハーシー大彗星に戻された。一応、お忍びの旅だったらしい。
カルロ・コッローディの童話『ピノキオ』がモデルと思われる。

 

物語
大きなふくろを かたにかけ 大黒さまが 来かかると ここにいなばの 白うさぎ 皮をむかれて あかはだか
60年に一度、地球に大接近するハーシー大彗星に乗ってピッコロが地球にやって来た。
最初は遊び気分だったピッコロだが、ウサギを毒殺する地球人を見て激怒し、巨大化して街を破壊し始める!

 

感想
今回は『因幡の白兎』がモデル。因幡の白兎が太一とプチで、大黒様がピッコロで、ワニザメが大家なのだろうが、さすがにこじつけた感じが否めない。
因みに『因幡の白兎』はワニザメを騙した為に皮を剥かれた因幡の白兎を大黒様が助けると言う話で、原典の因幡の白兎は悪い奴!と言える。

 

ピッコロのデザインにビックリし、ハーシー大彗星が喋るのにもビックリする話。
全体的にコメディタッチの話なのだが扱っているテーマはなかなか重い。

 

アパートの大家を演じるのは大泉滉さん。
「お前、一体何人やねん!」とツッコみたくなるキャラクターが実にナイス。
ウサギを毒殺すると言う物凄い悪役なのだが、どこか憎めない人物だったのは大泉さんに依るところが大きい。

 

ピッコロはタロウの事を「ウルトラ王国6番目の子」と言うが、これはウルトラの国の設定を童話風に捉えた台詞で実際にタロウがウルトラの国の王子と言うわけではなさそう。

 

ウサギが毒殺されると同時にピッコロも苦しむ。プチと意識がシンクロしていたのだろうか?
街を破壊するピッコロを見て太一は「怪獣がウサギの仇を取りに来たんだ!」と言う。確かにピッコロは太一と同じ怒りを持っていたのだが、太一がピッコロの行動をそう捉えるのにはやや無理があった。太一とピッコロの間に何らかの交流があれば良かったのだが。

 

光太郎の「怪獣は人間の心に付け込むんだ! 1人でも怪獣の味方をすると大変な事になるぞ」と言う台詞も今回の内容とはややかけ離れていて疑問。ヤプール相手に言うのなら分かるのだが……。
ところで、太一も光太郎もどうしてピッコロを怪獣扱いするのだろう?

 

光太郎に向かって「来い! ウルトラマンタロウ」と言っちゃうピッコロ。
周りの人にも聞こえたらしく、「ZATの人がウルトラマンタロウなんだってよ」と人が集まってきてしまった。これに対して光太郎は「違う。僕は違うよ」と言ってその場から逃げるが、逃げると余計に怪しまれるんじゃないかな……。もっとも、周りの人は今度は残った北島隊員に「じゃあ、あんたがウルトラマンタロウ?」と尋ねているので大丈夫だったようだ。
どうやら人々はウルトラマンが普段は人間の姿でいるとは考えていないようだ。それなら毎回いなくなってもバレないのは当然かな?

 

ピッコロの「こんな下らぬ星、腐った心の地球人。よく守っているな?」と言う問いに対してタロウは「一部には汚い心の人もいる。しかし、多くの人間は皆、美しい心を持っている。少ない悪人の為に多くの善い人を見捨てるわけにはいかないんだ!」と答える。多くの作品が長い時間をかけてやっと出すような答えを『T』はさらりと言ってのけた。
又、タロウは「その汚さも美しい心を引き立てる為にあるのだ」とも言っている。タロウは人間が善だけの存在ではなくて悪の部分も持っている事を認めているのだ。と言っても悪を肯定しているのではなく、一部に悪があるから、完全な善ではないからと言って、その存在を全否定する事は無いと言う意味であろう。
タロウのこれらの答えは一部の人間の悪の部分を人間全体に当てはめて全ての人間の存在を否定してしまう話や人間から不完全な部分を取り除いて完全な存在にしてしまおうする話と対になっている。

 

今回のタロウとピッコロの戦いは迫力ある爆発、大胆な合成、細かい街のミニチュア、夜から段々と朝焼けになっていく背景と見所の多いものとなっている。

 

因みにウサギのプチは最後に無事な姿を見せている。生き返ったのかな?

 

 

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