帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「赤い靴はいてた…」

日本の童謡から 赤い靴はいてた… ーうろこ怪獣メモール ドルズ星人登場ー
ウルトラマンT』制作第45話
1974年2月8日放送(第45話)
脚本 阿井文瓶
監督 筧正典
特撮監督 矢島信男

 

凶悪宇宙人ドルズ星人
身長 52m
体重 3万t
少女時代に真理を連れて行った異人の正体。
地球攻撃用武器メモールに改造した真理を使って地球に惑星ドルズの帝国を築こうとした。
通信機から指令を送る場面にのみ登場。ウルトラシリーズでは珍しいグロテスクなデザイン。
名前の由来は「ズルイ」かな。

 

うろこ怪獣メモール
身長 54m
体重 2万5千t
少女時代にドルズ星人に連れて行かれた真理が地球攻撃用武器として改造された姿。普段は真理の姿だがドルズ星人の指令から50時間後に自動的に怪獣の姿に変わる。
口から火を吐く。手から赤い煙を出す。尻尾も強力な武器になる。
タロウはストリウム光線を撃とうとするが、思い止まって宇宙へと送った。その後、惑星ドルズに帰ったのか、それとも1億光年の彼方まで宇宙を彷徨っているのか、どこかで真理の姿に戻るのか、それは誰も知らない……。
怪獣の姿も真理の姿と同じく赤い靴を履いている。
名前の由来は「メモリー(思い出)」かな。

 

物語
赤い靴 はいてた 女の子 異人さんに つれられて 行っちゃった
ある日、赤い靴を見た北島隊員は子供時代の初恋の相手である真理の事を思い出す。次の日、北島隊員の所に大人になった真理が訪ねて来るが……。

 

感想
「日本の童謡から」では劇中に童謡が流れて、その童謡と関係した物語が展開される。
今回は『赤い靴』で、異人さんを異星人に置き換え、「今では青い目になっちゃって」の歌詞の通りに真理は青い怪獣に改造されてしまう。『赤い靴』は人さらいや人買いを暗示した歌と言う説があり、黒尽くめのドルズ星人は人さらいを思わせる姿であった。
因みに今回の脚本を手掛けている阿井さんは『赤い靴』のモデルになったと言われている少女の話に疑問を抱き、後に『捏造 はいてなかった赤い靴』と言う本を発表している。

 

今回は北島隊員の主役回で子供時代や自宅が見られる。ZAT隊員である北島隊員は郷土の誇りらしい。光太郎以外のZAT隊員の私生活が見られるのは意外と少ない。

 

少女時代にドルズ星人に連れて行かれた真理。
今まで外国に行っていたと嘘を吐くのだが、北島隊員はこの話に何の疑問も抱いていなかった。
真理だけがいなくなったのなら誘拐事件として真理の家族が騒いだはずで、少年時代の北島隊員も真理が誘拐されたと言う話を聞くはず。
真理の家族全員がドルズ星人に連れて行かれたのなら、真理の家族が突然いなくなったが後で外国に行っていたと明らかになったで辻褄は通る。
それとも、真理だけが突然いなくなったが、真理の家族が誘拐だと騒がなかったとか。その場合、どうして家族は騒がなかったのかと言う話になるが、真理の家族がドルズ星人に真理を売り渡していたとしたら辻褄は通ってしまう。

 

まさかドルズ星人が北島隊員が後にZATに入隊する事を見越して真理を連れて行ったとは思えない。それなら少年時代の北島隊員を連れて行って改造した方が早い。
なので、真理が連れて行かれた理由は別にあると思われる。ひょっとしたら、ドルズ星人は世界各地で少女を連れて行ってはメモールに改造しているのかもしれない。今回の話でドルズ星人は倒されていないので、惑星ドルズには今も地球攻撃用武器メモールに改造された少女達がいるのかもしれない……。

 

これまでの話で北島隊員が使っていたのはやはり宇宙人探知機の類だったようだ。それが真理が人間ではない事を証明してしまうのが皮肉。
初恋の少女が関係しているからか、今回の北島隊員は珍しく感情的で「ZATを辞める」とまで言っている。「人間よりも機械を信じろって言うんですか?」と言う台詞を機械専門の北島隊員が言ったのが印象的。

 

ZAT本部の見学は一週間前に申し込んで厳重なチェックを受けてからでなければ許可されないらしく、さおりさんも今までチェックを受けていたとの事。他にも待合室にいる真理のデータを密かに取っていたりとZATが意外としっかりしている事に驚く。
そう言えば、ZATは過去の特別チームと違って宇宙人に基地に侵入される話が無かったなぁ。

 

バイクに乗ったままの光太郎の変身は『仮面ライダー』を思い出す。

 

「人間誰しも大事に取っておいた想いに別れを告げなきゃならない事があるんだ……。そんなふうにして男は成長していくんだから……。お前だって今に同じ思いをするさ……」と言う北島隊員に対して光太郎は「僕はなるべく先に延ばしたいですね」と答える。
しかし、光太郎と健一君、そして視聴者にとっての大事な思い出、ウルトラマンタロウとの別れは確実に迫っていた。

 

今回の話は特撮研究所を設立した矢島信男さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。
尚、今回の話から「特殊技術」のクレジットが「特撮監督」に変わっている。

 

 

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