「80最大のピンチ! 変身! 女ウルトラマン」
『ウルトラマン80』制作第49話
1981年3月18日放送(第49話)
脚本 山浦弘靖
監督 宮坂清彦
特撮監督 高野宏一
ユリアン
身長 47m
体重 3万6千t
プラズマとマイナズマに苦戦する80を見た涼子がブライトブレスレットで変身した姿。
80と同じくプラズマとマイナズマの合体攻撃に苦戦するが、最後は80との合体技ダブルパワーで勝利を治めた。
弥勒菩薩をモチーフにしているらしい。
合体怪獣プラズマ
身長 60m
体重 3万t
奥多摩の仁王山に潜伏していた怪獣。
夜12時に怪電波を東京14ヶ所に発信して怪獣が全部で14体いるように思わせてUGMを撹乱させようとする。怪気流や崖崩れを起こしてUGMの調査を妨害する一方、威嚇攻撃を受けてもじっと地底に潜んで自分の位置をさとらせないようにする等、相当高度な頭脳を持っている。
ツトムのラジオが発する電波に反応して出現。仲間であるマイナズマを呼び寄せる。
角からプラス電撃光線を発し、マイナズマと合体する事で何倍もの力を引き出す。
無数の口を持つグロテスクなデザインが印象的。
名前の由来は「プラス」と「プラズマ」かな。
合体怪獣マイナズマ
身長 58m
体重 4万t
プラズマが発する1520キロヘルツの電波に呼び寄せられて出現。
尻尾で猛に重傷を負わせる。角からマイナス電撃光線を発し、プラズマと合体する。
サクシウム光線やバックルビームにもビクともしなかったが、80とユリアンの合体技ダブルパワーで倒された。
名前の由来は「マイナス」と「プラズマ」かな。
物語
相当高度な知能を持つ怪獣出現が迫っていた。そんな中、涼子は猛にある不満をぶつける。
「私達は皆に大きな嘘を吐いている……」。
感想
いよいよユリアンが本来の姿を見せる。
劇中では「別のウルトラマンだ!」と言われているが、ユリアンは女性なので正確には「ウルトラウーマン」となる。
怪獣が14体も現れたらパニックになるとしてセラ広報員にも秘密にされた緊急事態。
セラ広報員は嘘が吐けなさそうだからな……。広報がそれでは駄目だと思うが……。
ツトムは将来はUGMの隊員になりたいと考えていて、その為にはまずメカに強くならなくてはと組み立て式のラジオを買って自分で組み立てる。当時はそんな物があったのか。
ラジオで怪電波をキャッチしたツトムは猛に報告するが、猛は単なる試験電波と嘘を吐いてしまう。その後、嘘を吐いた事に罪悪感を覚える猛の所に涼子がやって来て話しかける。
「嘘と言えば私達、もっと大きな嘘を吐いているじゃない。私もあなたも本当は地球人じゃない。ウルトラの星から来たウルトラの戦士だって事……。分かっているわ。地球人を助ける為には私達は地球人の姿を借りなければならない。そうでしょ? でも私達、いずれはこの地球を出て行くのね。この美しい星を……、素晴らしい人達のいるこの地球を……」、
「仕方が無い。それが我々の宿命なんだ。だからこそ、地球人が自力で戦える時が来るまで僕か君のどちらかが最後まで戦って戦い続けなくては。……いいね?」、
猛はウルトラマンとしての宿命を理解し受け入れているが、涼子は頭で理解できても心ではそれを受け入れられていないようで、地球人に嘘を吐いている事に罪悪感を感じていた。猛と違って涼子は地球に滞在する予定ではなかったので、こう言ったものに対する心の準備が出来ていなかったのだろう。
怪獣が地底に潜んでいる事を突き止めるが攻撃の手立てが無いと言うイトウチーフ。
多くの特別チームが設定上は持っていながら劇中では無かった事にされている地底戦車が哀れだ。
一方、猛の言動を不審に思ったツトムは、UGMの卵として自分で怪獣を発見しようとする。
ラジオで電波を発信して見事プラズマを誘き出すが、ラジオって自分から電波を発信できるの?
戦いが終わった後、謝るツトムに猛は語る。
「君の勇気と向上心があれば、将来、必ず良い隊員になれる! そのかわり、これに懲りて二度と出すぎた真似はしない事! いいね?」。
そしてツトムと猛はお互いに敬礼を交わすのだった。
80とプラズマ&マイナズマの戦いは、猛の時に負った怪我がそのまま80にも現れ、尚且つ、1対2と言う圧倒的不利な状況。サクシウム光線やバックルビームも通じず、80最大のピンチが到来! そこに涼子がやって来る!
「このままでは80が殺されてしまう! 早く、早く助けなければ! 80! しっかり! 今、私が助けに行くわ!」、
「いけない! 君まで変身しては駄目だ!」、
「どうして!?」、
「今、僕がやられても、君が新しいウルトラの戦士として戦う事が出来る……! 万一、2人ともやられてしまっては地球はお終いだ……! 僕の事は構うな! いいな!」、
「80……、あなたって人は……」、
「地球を頼む! 頼むぞ!」、
80はプラズマとマイナズマを道連れに死ぬ気か? その時、涼子が叫ぶ。
「80……。ユリアン!」、
涼子はブライトブレスレットでユリアンに変身した。
涼子は「ウルトラの星から飛んで来た女戦士」で城野隊員から猛の事を頼まれているし、城野隊員に続いて猛からも託されるのはさすがに辛かったのだと思う。
ユリアンの援護で辛くもプラズマとマイナズマを倒した80だが、その場に倒れこんでしまう。
戦いが終わり、夕焼けの中、猛と涼子は……、
「あの時、どうして僕の言った通りにしなかったんだ?」、
「……」、
「僕達2人に万一の事があったら地球がどうなるか……。ウルトラの戦士である君ならよく分かっているだろう?」、
「……」、
「君! 聞いているのか?」、
猛の問いに振り向く涼子。彼女の目には涙が溢れていた。
「私……、私! 地球人に生まれたかった……」。
泣いて走り去る涼子。今まで猛の言う通りにウルトラマンとしての本当の自分を隠してきたが、もう自分を偽る事が出来なかった。心が純粋すぎた。
そして、その涼子の姿を追う猛の頬にも涙が……。猛の心も涼子と同じだった。
今回の話は山浦さんと宮坂監督のウルトラシリーズ最終作となっている。この後、山浦さんはコバルト文庫で星子シリーズを手掛け、宮坂監督はメタルヒーローシリーズを中心とした東映作品に関わる事になる。
今回の話は高野監督の『80』監督最終作となっている。