帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「激ファイト! 80VSウルトラセブン」

「激ファイト! 80VSウルトラセブン
ウルトラマン80』制作第44話
1981年2月11日放送(第44話)
脚本 吉田耕助
監督 湯浅憲明
特撮監督 神澤信一

 

妄想ウルトラセブン
身長 40m
体重 3万5千t
サッカーの練習中に暴走族サタン党に襲われて瀕死の重傷を負った直人の暴走族に対する恐怖と怒りがセブンの人形に宿った存在。
実体が無く、怒りのオーラが全身から立ち上っている。どうやら直人の生霊が乗り移った存在らしく、ダメージがそのまま直人に現れる。
直人と同じくサッカーの要領でトラックを蹴り飛ばしていく。エメリウム光線も撃つ。
街を破壊しながらサタン党を執拗に追い詰めて80とも戦うが、80の説得を受けて苦悩した後、空へと消えていった。

 

物語
サッカーの練習中に暴走族サタン党に襲われて瀕死の重傷を負った直人。
夢の中でもサタン党に襲われる直人は手にしたセブンの人形に救いを求める。
ウルトラセブン、僕を守って!」。

 

感想
2月放送分は全ての回がイベント編になっていて、前回から新キャラクターのユリアンが登場し、今回からはセブン、バルタン星人、レッドキングと言った初期ウルトラシリーズの人気キャラクターが次々と再登場する事となった。

 

妄想ウルトラセブンは直人の暴走族に対する恐怖と怒りが生み出したので、マイナスエネルギーが生み出した存在と言えるが、怪獣ではなくウルトラマンが生み出され、その行為も悪い奴らをやっつけると言うのが興味深く、マイナスエネルギー関係の決定版と言える話になっている。
劇中見る限り、妄想ウルトラセブンがやっつけようとしたサタン党はどうしようもない悪党だったからなぁ……。

 

そのサタン党。小学生のサッカーの練習中にグラウンドに乱入して直人を跳ね飛ばし、頭から血を流して気絶している直人目掛けて「止めだ!」と言って轢き殺そうとする。
ここまできたら殺人未遂だぞ。

 

オオヤマキャップは猛に「暴走族はUGMの管轄ではない」と言いいながら「疲れているから休暇を与える」として暴走族調査に向かわせる。
今回は猛がバイクに乗ったりと、なんとなく『A』を思い出す作りになっている。『A』の「この超獣10,000ホーン?」にも暴走族が出ていたが、こちらは良心と言うものがあった。
今回のサタン党は乱入したサッカーチームが弟と戦うチームだったので、結果的には弟の為になったから感謝しろと弟に言っている。とんでもない奴だ。因みに弟はライバルの直人とは正々堂々と勝負したかったと言っている。兄が反面教師となったか。
ところでサタン党の名前や住所も分かっているのに、どうして警察は動かなかったのだろう?(どうかんがえても殺人未遂事件なのに)

 

今回からUGMの準隊員となった涼子。正隊員とは隊員服が違う。
美しきチャレンジャー」でUGMの隊員になるのは大変だと言う話があったが、涼子は城野隊員の遺言で準隊員とは言えUGMに入隊している。ジュンが知ったら怒りそうだ。
ひょっとしたら、ちゃんと入隊テストを受けているのかもしれないが、それもウルトラマンの特殊能力を使って合格していそうな気がする。

 

因みに涼子が準隊員になった経緯は劇中では語られず、予告で「城野エミ隊員の死を弔う間も無く容赦無く襲ってくる怪獣軍団! ユリアン王女は地球に留まり、新隊員・星涼子として活躍する事となった」と語られるのみであった。
7話も残っているのだから入隊する話を入れてほしかった。

 

テレパシーで会話する涼子を注意する猛。
「僕は地球を第二の故郷だと思っている。地球人以上の能力は地球人として暮していくには不必要なのだ。ユリアン、もし君が本気で地球に住む気なら地球人と同じ暮らしをする事だ。地球人と一緒に走り、笑い、泣く。それで初めて分かり合うんだ」。
この台詞は地球人の教師として地球人の生徒と分かり合ってきた猛が出した答えなのだろう。
これ以降、猛は涼子に地球で暮していく上での知恵や教訓を教えていく事となる。この展開は学園編での生徒に生きていく上での知恵や教訓を教えてきた猛の教師の部分を復活させたと見る事が出来る。

 

ところで猛はウルトラの星の王女なのにユリアンを呼び捨てにしている。文化の違いかもしれないがこれはちょっと違和感を覚える。(そう言えば、『ドラゴンボール』のナッパも王子であるベジータ相手にタメ口だったっけ)

 

サッカーの練習中もセブンの人形を持っている直人。さすがに練習の邪魔だと思うが……。
今回はセブンの紹介として「湖のひみつ」のエレキング戦、「明日を捜せ」のガブラ戦、「消された時間」のヴィラ星人戦が『セブン』のテーマ曲と共に映し出されている。
全てアイスラッガーで勝負を決めているのに妄想ウルトラセブンアイスラッガーを使わなかったのはちょっと残念。

 

夢の中でもサタン党に襲われる直人。
セブンの人形を手に「ウルトラセブン、僕を守って!」と叫ぶと直人はセブンの人形と共に本物のセブンに変身する。(初代マンや80と似た変身ポーズ)
そして現実でも「ウルトラセブン。お願い、聞いて……。僕の命をあげるよ……。だから悪い暴走族をやっつけて……」と言う言葉と共に直人の涙がセブンの人形に零れると、セブンの人形は勝手に動き出して巨大化、妄想ウルトラセブンとなった。

 

「俺達は怪獣だ! 人間の体を持った怪獣なんだ!」と言って街で暴れるサタン党。その後、怪獣退治の専門家(違うけれど)セブンに襲われる事となる。
妄想ウルトラセブンは暴走族を掴んで放り投げていたが彼は生きているだろうか?

 

襲ってくる妄想ウルトラセブンに対し、「住宅の密集地帯や路地を走るんだ! ビルや民家を壊せばウルトラセブンは犯罪者だ! UGMが退治してくれるぜ!」と言って街中を走るサタン党。こういうところには頭が回る奴らだ。
恐怖と怒りが生み出した妄想ウルトラセブンは街を破壊しまくる。夜の街を破壊しながら迫り来る妄想ウルトラセブンはかなり怖い。

 

街を破壊するセブンに戸惑うUGM。
オオヤマキャップは何か理由があると考え、フジモリ隊員やイケダ隊員も自分達が知っているセブンではないと感じた。
過去にも偽者が何体か登場しているが「気でも狂ったのか?」だけで済まされる事が多く、偽者とか洗脳とかの理由が考えられる事はあまり無かった。

 

涼子は脳波を探る事で街を破壊しているセブンがウルトラ星人でない事を突き止める。
この時の猛と涼子は「死んだはずのセブンが現れた」と言う驚きはしていないので、『レオ』で消息不明となったセブンは、その後、無事が確認されたと思われる。(『メビウス』ではセブンはウルトラの母によって助けられたとなっている)

 

「セブン! お願いだ! もう暴れるのは止めてくれ! あなたは正義の味方でしょ!」、
「80、なぜ邪魔をするんだ……? 僕は僕のセブンと一緒に悪い奴らをやっつけているのに……。80は正義の味方じゃないか……」、
「直人君。君は君以外のウルトラセブンを慕う子供達の心を傷付けるつもりか? ウルトラセブンは平和の守り神ではないのか?」。
ウルトラマンに限らずヒーローと言うのは正義の味方である。
だが、現実では正義の名の下に様々な争いや暴力が起きている。
皆の平和を守れない武力行使は正義とは言えない。それは独善と言うのだ。

 

80と妄想ウルトラセブンの戦いは悲壮感があって面白い。
妄想ウルトラセブンを攻撃すると直人も苦しむので死んでしまうのではないかと心配したが、サタン党が反省したからか、妄想ウルトラセブンが倒されても直人は死なず、最後は元気にサッカーの試合をしていた。良かった、良かった。

 

直人の試合。猛と直人のお姉さんが楽しそうに話をしているのを見てテレパシーで会話に割り込む涼子。その後も直人が点を取って抱き合って喜ぶ猛と直人のお姉さんを見てむくれてしまう。

 

脚本の吉田耕助さんはウルトラシリーズは今回のみの登板となっている。

 

今回の話は湯浅監督のウルトラシリーズ監督最終作となっている。この後、湯浅監督はブースカカネゴンピグモンが登場する映画『アニメちゃん』を担当している。

 

神澤監督が『80』で特撮監督を務めたのは前回と今回の2本のみとなっている。