帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「あっ! キリンも象も氷になった!!」

「あっ! キリンも象も氷になった!!」
ウルトラマン80』制作第50話
1981年3月25日放送(第50話)
脚本 石堂淑朗
監督 満田かずほ
特撮監督 佐川和夫

 

ユリアン
身長 47m
体重 3万6千t
今回は80と共に戦闘はせず、地球最後の一日を思い切り楽しんだ後、海岸で猛と一緒に変身し、地球を離れてウルトラの星へと帰って行った。
「ほんの短い間だったけれど、この美しい星、地球の事は絶対に忘れません」。

 

冷凍怪獣マーゴドン
身長 70m
体重 3万3千t
全身から冷気を振り撒いて九州南原市を一瞬のうちに氷付けにしてしまった。
地球のように炎のある暖かい星のエネルギーを片っ端から吸い取って冷凍にしてしまう地球始まって以来の最大にして最後の宇宙怪獣。
あらゆるエネルギーを吸収するのでUGMの攻撃も無力化されてしまうが、低温の物体は衝撃に弱い事からジャイアントボール作戦が発案され、オーストラリアゾーンから駆けつけたハラダ隊員とタジマ隊員が放った冷凍液を吸収して氷付けになったところをジャイアントボール作戦で粉々に粉砕された。
「マーゴドン」と言う名前はUGMが名付けた。

 

物語
地球を破滅させる程の最大にして最後の怪獣マーゴドンが出現。
UGMの危機に猛と涼子は変身しようとするが、そこにオオヤマキャップがやって来る。
「もう……80に変身しないでくれ……!」。

 

感想
「はたして、これまで怪獣を倒してきたのは我々だっただろうか?」。
怪獣が出てきてもヘッチャラさと余裕のフジモリ隊員とイケダ隊員へのオオヤマキャップの台詞。これはUGMだけでなく歴代特別チーム全てに当てはまる言葉だろう。
確かに特別チームが倒した怪獣も何体かいるが、やはり例外と言った感じが強い。「怪獣は最後にウルトラマンが倒すもの」と言う不文律がいつの間にか出来上がってしまっていた。それではいつまで経っても地球はウルトラマンの手を離れて自立する事が出来ない。
こうして昭和ウルトラTVシリーズ最後の戦いが始まった。

 

サブタイトルについては、もう何も言わない。
マーゴドンが振り撒く冷気によって温暖な九州南原市は一瞬で氷付けに……。あっ! キリンも象も氷になった!!

 

気象班として九州南原市を襲った寒波の原因を怪獣と推測するユリちゃん。
実は低温の物体は硬くて脆いと提案したのもユリちゃんだった。

 

オオヤマキャップは何かを心に決めていると感じた猛。
その後、オオヤマキャップは自ら出撃し、あらゆる攻撃を吸収するマーゴドンに対して垂直降下して接近戦を仕掛け、猛に「キャップ! それはちょっと無茶ではないでしょうか?」と問われると「人間には出来ないと言うのか?」と反論する。

 

その後、UGMは一時退却してマーゴドンを分析。
その結果を受けたオオヤマキャップは「もし地球が破滅したら、それは我々UGMの責任だ! 我々はこれまで色々な怪獣と戦ってきた。しかし、今度の奴こそ最大で最後の奴だと思う。奴に勝てばもうUGMは無敵だ!」と隊員に檄を飛ばす。
しかし、イケダ隊員とセラ広報員は「いやぁ、最悪な場合はウルトラマン80に!」、「そう! ウルトラマン80様におすがりして!」とのんき。
それを聞いたオオヤマキャップは激怒して「バカモン! ……もうウルトラマン80は現れない……!」と語ると、猛の目を見て「80の助けは要らない! 断固として、80の力を借りないで怪獣をやっつける!」と続けるのであった。

 

その後、ユリちゃんの提案を受け、イトウチーフの発案でジャイアントボール作戦が実行される。こういう作戦は『T』のZATのノリ。
マーゴドンに向けて早速実行されるが、冷気を受けてワイヤーの1本が切れ、イトウチーフとイケダ隊員が乗った戦闘機が墜落してしまう。

 

UGMの危機に猛と涼子は作戦室を飛び出して変身しようとするが、猛がブライトスティックを取り出して「80!」と叫ぶ瞬間、背後からオオヤマキャップがやって来る。
「これまでウルトラマン80には随分助けられてきた……」。
猛を見て語り出すオオヤマキャップ。ここで「ウルトラマン先生」のクレッセント戦、「テレポーテーション! パリから来た男」のザルドン戦、「魔の怪獣島へ飛べ!!(後編)」のギマイラ戦、「惑星が並ぶ日 なにかが起こる」のゴモラⅡ戦、「怖れていたバルタン星人の動物園作戦」のバルタン星人(5代目)戦、「恐れていたレッドキングの復活宣言」のレッドキング(3代目)戦が回想シーンとして登場する。
「これまでのお礼を言うよ……。ウルトラマン80」。

 

ショックを受け、しばらく黙っていた猛だったが、やがて笑顔で答える。
「やはり、知ってたんですね。僕がウルトラマン80である事を……」、
「うむ……。私とイトウチーフは知ってしまった。と言っても、ついこの間だ。矢的、いやウルトラマン80。君には感謝している。しかし、いつまでも宇宙人である君に力を貸してもらう事に悔しさもある……。地球はやはり地球人の手で守らなければならん……!」、
「広い意味では地球人も宇宙人です。宇宙人同士力を合わせて敵に向かうのは当たり前じゃありませんか」、
「いや、君の方に事情がある事も知ってしまった……。ウルトラの星に戻らなければならないのだろう? それに今度の戦いで君は傷付いてしまった……。もう……80に変身しないでくれ……! ……俺は行くぞ!」。
そして猛と涼子を残してオオヤマキャップは出撃。猛の手にはブライトスティックが握られていた。

 

これまで『初代マン』を除いた全ての作品で最終回に主人公の正体が明かされる展開があった。その殆どが主人公側からの告白であったのに対し、今回はオオヤマキャップが主人公の猛に告白すると言う逆の展開になっている。
その為、他の作品では地球人達がやや受動的に自分達の力で戦わなければならないと奮起したのに対し、今回のオオヤマキャップはあくまで自分から80の力を借りずに戦おうと動いた。

 

ところでオオヤマキャップが猛の正体に気付いたのは「ついこの間」となっているが、少なくとも「怖れていたバルタン星人の動物園作戦」では正体を薄々感じているような発言をしている。
自分は第1話の「ウルトラマン先生」の時点で既に猛の正体に目星を付けていたと考えている。おそらく変身する所を見る等と言った決定的な確証を得たのがついこの間と言う事なのだろう。
猛の正体に目星が付いていたら涼子の正体は自ずと分かる。バレバレな言動だったし。
もし仮に正体を薄々感じていながら猛をUGMに入隊させたとなれば、80に一番頼ろうとしていた、80に一番頼っていたのは実はオオヤマキャップ自身だったと言う事になる。
だからこそ、オオヤマキャップは80の力を借りずに戦おうと心に決めたのだろう。

 

マーゴドンとの決戦の地に辿り着くオオヤマキャップ。
再びジャイアントボール作戦が実行されるが、オオヤマキャップが来るまでの間、ずっと待機していたフジモリ隊員の戦闘機の燃料が切れてしまう。その時、オーストラリアゾーンに転任していたハラダ隊員とタジマ隊員が駆けつけて空中給油を行う!
BGMに『レッツ・ゴー・UGM』が流れてメチャクチャ盛り上がる!
「キャップ! いい所でやって来たでしょ?」。
そしてハラダ隊員とタジマ隊員が放った冷凍液を吸収して氷付けになったマーゴドンに対して三度ジャイアントボール作戦が行われ、遂にUGMは勝利を治めるのだった!

 

戦いが終わり、基地に帰って来たオオヤマキャップの前に現れたのは城野隊員!……そっくりのアンドロイド。ユリちゃんとセラ広報員がこっそり科学班に作ってもらっていたらしい。これにはオオヤマキャップもさすがにビックリ。
アンドロイド・エミはエコーのかかった声がちょっと怖かった。
それにしてもUGMにアンドロイドを作る技術があったとは驚き。「裏切ったアンドロイドの星」のファンタス星人の技術を応用したのだろうか? 
ハラダ隊員とイケダ隊員の救援とアンドロイド・エミの登場によってUGMのレギュラーが全員揃った。昭和ウルトラシリーズは役者の降板や交代が多いが、今回のように最終回に降板した人も合わせて全員出ると言うのはウルトラシリーズ以外を見ても大変珍しい。

 

オオヤマキャップによって猛と涼子の正体が明かされ、2人のお別れパーティーが開かれる。
オオヤマキャップは語る。
「これまで我々はいつも80の力を借りてきた……。我々はいつも弱かった……。それは知らず知らずのうちに80に頼ろうとする気持ちが皆の心のどこかにあったからだろう……。残念ながら私もそうだ……。しかし、私はある時決心した! 自分達の手で戦い抜かなければならないと! それはウルトラマン80が怪獣との戦いで傷付き、さらにウルトラの星に事情が出来て、星涼子隊員ことユリアンウルトラマン80を呼びに来た事が分かってしまったからだ……。今、我々は怪獣に勝った! 80の助けを借りないで! 地球最後かもしれぬ大怪獣をやっつける事が出来た! これで我々は胸を張ってウルトラマン80ユリアンにさよならを言える……!」。
UGMの地球平和宣言。後の『メビウス』では今回登場したマーゴドンが怪獣頻出期に現れた最後の怪獣とされている。

 

ここでのオオヤマキャップの台詞に「ウルトラの星に事情が出来て、ユリアンが80を呼びに来た」とある。これは「ウルトラの星から飛んで来た女戦士」の事を指すのだが、ユリアンはガルタン大王の地球襲来を告げに来たので、オオヤマキャップの話とは食い違いがある。
ひょっとしたら、ウルトラの星侵略を企んだのはガルタン大王だけではなくて、『T』の怪獣軍団のような連合組織だったのかもしれない。
息子を失ったガルタン大王はウルトラの星侵略よりもウルトラマン達への復讐を優先したが、他にもウルトラの星侵略を企んでいる侵略者がたくさんいた。そうなれば『帰マン』の「ウルトラ5つの誓い」のように出来るだけ多くの戦力がウルトラの星にも必要となる。
つまり、ユリアンは地球にいる80にガルタン大王の襲来を告げ、その後、80と一緒にウルトラの星に帰って侵略者達と戦う予定だった。しかし、城野隊員を死なせてしまった事でユリアンは涼子として地球に留まる事となった。
これなら「ウルトラの星から飛んで来た女戦士」での話と今回のオオヤマキャップの話の辻褄が合うかな。

 

80とユリアンは一旦ウルトラの星に帰り、しばらく休養すると、また別の星に派遣されるらしい。
派遣先がウルトラの星侵略を企む侵略者達に狙われている星なのか、それとも全く関係無い星なのかは分からないが、やはりウルトラマン達は地球だけではなく全宇宙の平和を守る為に戦い続けていた。

 

猛の地球人への最後の言葉。
「色んな事が一杯ありました。皆の事はいつまでも忘れません。さよならは終わりではなく新しい思い出の始まりと言います。じゃあ、皆、お元気で!」。
それを受けてのオオヤマキャップの80への最後の言葉。
「今日の別れは永遠の別れではなく、また会う時までの仮の別れのつもりでいてほしい……。本当は……、本当は……ウルトラマン80にいつまでもいてほしかった……」。

 

猛と涼子は地球最後の一日を思い切り楽しむ。遊園地で楽しそうに遊んでいる2人。戦いを離れ、UGMの隊員でもウルトラの戦士でもなく、1人の人間として楽しんでいた。
そして2人は海岸で80とユリアンに変身。地球での思い出を胸にウルトラの星へと帰って行くのであった。

 

タイムトンネルの影武者たち」と同じくエンディングのクレジットがドラムロール式になっている。
又、エンディング曲も今回は従来の『地球人だよ』ではなく『心を燃やすあいつ ー矢的猛の歌ー』になっている。

 

今回の最終回で不満点を挙げるとしたら、やはり学園編について全く触れられていない事であろう。路線変更があったとは言え、「ウルトラマン先生」で始めた物語なのだから最後もそれで締めてほしかった。(その不満を解消してくれたのが『メビウス』の「思い出の先生」。「先生に憧れて教師になりましたー!」)

 

今回の話は石堂さんのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。

 

今回の話は満田監督が単独で監督にクレジットされている最後の話となっている。

 

今回はウルトラマンが1回も戦わないと言う異色の最終回となった。(その分、回想シーンで戦っている)
こうして『Q』『初代マン』から約15年間続いた昭和のウルトラTVシリーズは最後に地球人が自力で怪獣を倒しウルトラマンから自立する事で終わりを迎えるのであった。 

 

ウルトラマン80の物語は今終わろうとしている。だが、我々の為に新しいウルトラマンがきっとやって来るに違いない。ウルトラの星がいつまでも輝き続けるかぎり……」。