帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「運命の出逢い」

「運命の出逢い ー宇宙斬鉄怪獣ディノゾール登場ー
ウルトラマンメビウス』第1話
2006年4月8日放送(第1話)
脚本 赤星政尚
監督 佐野智樹
特技監督 原口智生

 

ウルトラの父
身長 45m
体重 5万t
宇宙警備隊の大隊長
メビウスに「ウルトラマン」の称号とメビウスブレスを授けて地球へ派遣した。

 

宇宙斬鉄怪獣ディノゾール
身長 77m
体重 5万t
25年と2週間振りに地球圏に現れた怪獣。
口から伸ばす断層スクープテイザーであらゆる物体を切断し、全身の外殻部から放つ融合ハイドロプロパルサーで周囲を焼き払う。
旧CREW GUYSを全滅させるが、メビウスのメビュームシュートで倒された。
『マックス』の「胡蝶の夢」に登場した怪獣の粘土原型がモデルとなっている。
名前の由来はフランス語の「ディノゾール(恐竜)」から。

 

高次元捕食体ボガール
「ボガールヒューマン」と呼ばれる白衣を着たボサボサ頭の女性の姿で現れた。
高速移動で相手を翻弄し、念動力で物体を浮かせて攻撃する。

 

物語
怪獣頻出期が終息して四半世紀。平和になった地球ではウルトラマンの存在も伝説と化していた。
そんな中、宇宙から新たな怪獣ディノゾールが襲来。CREW GUYSが出撃するも全滅してしまう。その時、新たなウルトラマンが現れた!

 

感想
前作の『マックス』でパラレルワールドとは言え復活したM78星雲設定が遂に完全復活。
第1話冒頭からウルトラの父を始めとした歴代ウルトラマン達が姿を見せてテンションが上がる。

 

『ティガ』以降のウルトラシリーズはそれぞれ独立した世界観を持っていたが、前々作『ネクサス』の不振を受けて、前作『マックス』を経てM78星雲の世界観が復活する事となった。
『マックス』ではパラレルワールド扱いで有名怪獣の再登場に留まっていたが、『メビウス』ではウルトラ兄弟の再登場に過去の話を踏まえた設定や展開とM78星雲シリーズとダイレクトに繋げられた。
この事によって、新キャラクターと歴代キャラクターを同時に売り出す事が出来るようになり、番組のメインターゲットである現在の子供達が生まれるずっと前の作品に新たな商品価値を付けられるようになった。
これは長い歴史を持つウルトラシリーズだからこそ効果を発揮できる手法で、続く『大怪獣バトル』、ゼロシリーズ、ニュージェネレーションヒーローシリーズでも続けられる事となった。又、仮面ライダーシリーズも『仮面ライダーディケイド』や春映画等で、スーパー戦隊シリーズも『海賊戦隊ゴーカイジャー』等で同じ手法を採用し、2010年代のヒーロー作品は昭和ヒーローと平成ヒーローが一緒に出るオールスター路線が一つの大きな流れとなった。

 

オープニングは前作の『マックス』がシルエットを使った昭和シリーズ前期を彷彿とさせるものだったのに対し、今作は特別チームの隊員とメカニックとウルトラマンの映像が中心になった昭和シリーズ後期を思わせるものとなっている。
怪獣紹介ではその話に登場する怪獣のシルエットが付けられている。これはウルトラシリーズ初の試みで、怪獣を印象付けるのに効果的であった。
本作のサブタイトルは「◯◯の◯◯」と言う形で統一されている。

 

メビウスウルトラの父から地球行きを伝えられる場面で、ウルトラの父は「地球人と触れ合う事でメビウスも他のウルトラ兄弟達のように大切なものを手にできると信じている」と語っている。
歴代ウルトラマンの地球にやって来た理由は、初代マンは逃走したベムラーを追跡して、セブンは特に説明無し(宇宙軌道図の作成かな?)、ジャックは地球の平和と人類の自由を守る為、エースはヤプールの侵略を阻止する為、タロウは特に説明無し、レオは故郷を失った難民、80は特に説明無し(地球から帰還するとまた別の星に派遣されると言っているので、怪獣が出現する星に派遣されているのかな?)となっている。
尚、タロウは経験を積んで成長する為に、80はウルトラ兄弟の候補生として、それぞれ地球に派遣されたと言う説もある。
と言う事で流れを整理してみると、初代マンやセブンが偶然地球にやって来た後、地球の危機を解決する為にジャックやエースが派遣され、やがて地球は色々な経験を積む事が出来るとしてタロウや80やメビウスと言った若いウルトラマン達の修業の場になったと考える事が出来る。

 

メビウスウルトラの父からメビウスブレスと一緒に「ウルトラマン」の称号を授けられている。
ウルトラの父の説明によると「地球ではM78星雲人の事を「ウルトラマン」と呼ぶ」となっている。
『初代マン』の「ウルトラ作戦第一号」でハヤタ隊員が謎の宇宙人の事を「ウルトラマン」と紹介していて、これはハヤタ隊員が考えた名前なのか、謎の宇宙人がハヤタ隊員の口を通して自分の名前を出したのか、解釈が分かれていたが、今回のウルトラの父の説明を聞くとハヤタ隊員が考えた名前だったようだ。

 

今回のウルトラの父は台詞に合わせて口が動いていた。
ウルトラマンの顔を動かすのは『初代マン』の頃から考えられていて、平成に入っても『ゼアス2』や『ネクサス』でCGを使った表情の変化が試されている。しかし、ウルトラマンの顔は動かないと言うイメージが根強い事やイベントやショーではCGを使って表情を変化させる事が出来ないと言った問題があるからか、技術的には可能な状態になっていると思われるものの定着はしていない。

 

ウルトラの父のウルトラアレイは『A』の「奇跡! ウルトラの父」の印象で武器のイメージが強かったが今回は戦闘以外で使用している。「ウルトラアレイは神秘の力を秘めたアイテム」と紹介されているので、武器と言うよりウルトラの父の能力をサポートするアイテムなのかもしれない。

 

冒頭の場面でウルトラ兄弟ユリアンの姿が見られるが、初代マン、セブン、ジャック、エースはこの時は地球にいるので、この4人についてはイメージ映像だったと考えられる。
『T』の最終回「さらばタロウよ! ウルトラの母よ!」の影響か、今回はタロウの姿が無かった。(『レオ』の「決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟」「レオ兄弟 ウルトラ兄弟 勝利の時」でもウルトラ兄弟が集合していながらタロウの姿は無かった)

 

ミライはセブンやレオや80と同じようにウルトラマンが地球人に変身したタイプとなっている。
宇宙からの視点、大空高く飛んで行った風船、その風船を見上げる少女、その風船を持って現れる青年、と宇宙人が地球に降り立つ過程が上手く見せられていた。
因みに本作で地球人が喋った最初の台詞は、ミライに風船を取ってもらった女の子の「ありがとう」であった。

 

「ウルトラ5つの誓い」を唱えるリュウの所にミライがやって来て一緒に唱える。
「ウルトラ5つの誓い」は郷秀樹と次郎君の二人だけのものと言う印象があるが、本作ではそれを拡大してウルトラマンと地球人を繋ぐものとしている。
リュウが「上司の友達がウルトラマンから聞いたらしい」と言うのに対し、ミライは(明言はしていないが)「ウルトラマン本人から直接聞いている」と言うのが、地球人とウルトラマンと言う二人の違いを表している。

 

ところで気になるのが、リュウの上司であるセリザワ隊長の年齢。何と30歳! そんな馬鹿な!?(因みに演じた石川真さんは当時42歳。又、石川さんが『メビウス』の8年前に演じた『ガイア』の塚守隊員の設定年齢は32歳だった。何故に若返った!?)
さて、セリザワ隊長に「ウルトラ5つの誓い」を教えた人物が『帰マン』の次郎君だとすると、次郎君は1971年時点で11歳だったので2006年時点では46歳となり、セリザワ隊長とは16歳もの年の差が生じる。郷秀樹と次郎君も年の差があったので、次郎君とセリザワ隊長の年の差が大きいのも意図的なのかもしれない。二人がどのような出会いをしたのか気になる。

 

リュウの名字は「アイハラ」となっているが『80』の相原先生とは特に関係は無かった。
ウルトラシリーズはゲストまで含めるとかなりの人数が登場しているので、それら全てと被らないようにするのは困難だと思われるが、『メビウス』は過去の作品との繋がりが一つの売りになっていたし、路線変更で途中降板したとは言え相原先生は『80』のヒロインだったので、ここはもう少し配慮してほしかった。

 

ボガールヒューマンは白衣を着たボサボサ頭の女性として登場。
ヤプールのように異次元空間を出入りしたり、ヤプールの初期設定にあった悪の科学者を思わせる姿だったりしたがヤプールとの関係は特に語られなかった。(ただし、アークボガールがかつて就いていた暗黒四天王の「邪将」に新たに就くのがヤプールだったりする)

 

ディノゾールは25年と2週間振りに地球圏に現れた怪獣となっている。これは『80』の最終回から『メビウス』の第1話までの期間と同じ。『80』の最終回「あっ! キリンも象も氷になった!!」でオオヤマキャップが言った「マーゴドンは地球最後かもしれぬ大怪獣」が事実となったわけだ。
マーゴドン以来、怪獣は出現しなかったらしいが、怪獣出現の理由には環境破壊等もあるので、ある日を境にピタッと出現しなくなるのは不自然。昭和ウルトラシリーズを意識させる為の「25年と2週間」と言う台詞だったと思われるが……。

 

当初はディノゾール迎撃にはガンフェニックスが出る予定だったが話の流れから旧機を出す事になり、新しいミニチュアを作るのが大変だったので、原口監督が持っていた『マイティジャック』のコンクルーダーを型取りしてガンクルセイダーが誕生したとの事。
全滅したガンクルセイダーに代わって新型機ガンフェニックスが登場した事で新たな怪獣頻出期に対する地球人のスタンスの変化が描かれ、さらに『マイティジャック』の機体が関わった事でウルトラシリーズ以外の円谷プロ作品も『メビウス』に関わるのかどうかと言う考察の楽しさが増す事となった。

 

第1話で防衛軍が全滅するのは『A』の「輝け! ウルトラ五兄弟」を思わせる。この時点ではボガールもヤプールみたいな雰囲気を出していたし。
その後のディノゾールが街に降り立つ場面は『レオ』の円盤生物を思わせる演出だった。
旧CREW GUYSのメンバーはリュウとセリザワ隊長以外は紹介が無かった。ここは一人一人の紹介が欲しかったところ。今回は無理でも別の話でリュウが旧CREW GUYSの仲間達に思いを馳せる場面が欲しかった。

 

後にCREW GUYSのメンバーとなるテッペイ、コノミ、ジョージ、マリナの4人の職業は子供が憧れる職業の上位から決められたとの事。
ジョージは視覚、マリナは聴覚が優れていて、ディノゾールの断層スクープテイザーを見切る程。これまでの地球人のレベルを遥かに超えていて驚いたが、ウルトラシリーズに登場する宇宙人の殆どが特殊な能力を持っているので地球人も特殊能力に目覚める可能性は十分にある。ジョージやマリナは能力を発現させた新人類なのかもしれない。
因みに当初はコノミにも嗅覚が優れていると言う設定が付けられる予定だったらしい。
それにしてもジョージが炎をまとった「流星シュート」を放ったのには驚いた。地球人のレベルを超えすぎているぜ、アミーゴ。
怪獣が出現した中、動物を助けに危険地帯に戻るのは昔からのお約束。有名なのは『帰マン』の「怪獣総進撃」かな。この時の郷秀樹と同じくコノミ達もウルトラマンと出会う事となる。

 

リュウ。GUYSを頼んだぞ」と言い残してガンクルセイダーでディノゾールに特攻するセリザワ隊長。この時にハンターナイト・ツルギと一体化した事が後に明らかになる。
宇宙から怪獣が来て、戦闘機に乗ったまま死亡してウルトラマンと一体化すると言うのは実は『初代マン』の「ウルトラ作戦第一号」と似た展開。
因みにエンペラ星人との最終決戦ではリュウが似たシチュエーションでヒカリ=ツルギと合体する事になる。

 

メビウスが地球に降臨する場面は無音にして間を開けた演出が印象的だった。
メビウスはビルを盾にしてディノゾールの攻撃を防ぐが、実はミライの時にも岩を盾にしてボガールの攻撃を防いでいる。メビウスはまだまだ経験が足りなくて、今の自分はその星に住む生命体より遥かに大きい存在である事を自覚できていない事が分かる。だから、人々が住むビルを小さな岩と同じように盾代わりに出来てしまうのだ。
ディノゾールを倒したメビウスは意気揚々とポーズを取るが、リュウに怒鳴られて、自分の周りに廃墟が広がっている事にようやく気付く。ここも実戦経験が少ない、まだ頭の中で全てを処理しているルーキーらしい描写であった。

 

「それでもウルトラマンかよ! 何も守れてねぇじゃねぇか!」とメビウスに向かって罵声を浴びせるリュウだが、それはそのまま自分へと跳ね返ってくる。「今の地球を守っているのは自分達だ」と豪語していたリュウだが初めての実戦で街も仲間も何も守れなかった。

 

メビウスの必殺光線であるメビュームシュートは初代マンのスペシウム光線を思わせる十字型のポーズ。スペシウム光線は「スペシューム光線」と書かれる事があるが、メビュームシュートの語感はスペシューム光線に通じるものがある。

 

最初に出会った高台で私服のリュウが落ち込んでいるところに隊服を着たミライがやって来る。
ウルトラマンも帰って来たし、もうGUYSは必要無い」とやさぐれるリュウだったが、ミライはリュウをフェニックスネストに連れて行き、新生CREW GUYSの隊長であるサコミズを紹介する。
そしてガンクルセイダーに代わってガンフェニックスの配備が決定される。
大いなる犠牲を払って、新たなウルトラマンと新たな特別チームによる新たな物語が幕を開けるのであった。

 

今回の話は助監督だった佐野智樹さんと特殊メイクアーチストの原口智生さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。