「美しきチャレンジャー」
『ウルトラマン80』制作第25話
1980年9月17日放送(第25話)
脚本 阿井文瓶
監督 湯浅憲明
特撮監督 佐川和夫
変身怪獣アルゴン
身長 2m~55m
体重 90kg~3万t
謎の宇宙人が送り込んだ怪獣。改造されているせいか知能はかなり高い。
2機の宇宙船でUGM基地を攻撃するが、フォーメーション・ヤマトによって1機は撃墜される。しかし、撃墜を装ってリュウと言う地球人に変身してUGM内部に潜入する。
事前に綿密な調査をしていて、エイリアン反応が出ないように肉体の組織を改造していた。
特殊な電波でもう1機の宇宙船に情報を送る。
ジュンの優しさに恩を感じたふりをして偽情報を与え、UGMの戦力を分散させる事に成功。怪獣の姿に戻り、口からの光線でUGM基地を攻撃するが、80のハンドアップ光線で倒され、残った宇宙船も80のイエローZレイで撃墜された。
「魔の怪獣島へ飛べ!!(前編)」「魔の怪獣島へ飛べ!!(後編)」のラブラスの着ぐるみを改造している。
「地球の破壊の為に窮屈な思いをして縮んでいたよ。僕の本当の姿をお目にかけよう!」。
物語
訓練生のジュンは焦っていた。「怪獣に殺された兄の仇を討つ為に1年以内にUGMに入隊する。もし出来なければ田舎に帰る」と母と約束していたからだ。
ジュンは1人で手柄を立ててUGMに特別入隊させてもらおうと考える。
感想
『セブン』の「栄光は誰れのために」の女性版と言ったところだろうか。
今回の話で地球防衛軍は総勢2000人、うち3割が女性隊員で、UGM極東エリア支部唯一の女性隊員である城野隊員は女性訓練生の憧れの的である事が分かる。
いつもはどこか頼りない感じがする城野隊員だが、ジュンとの剣道の勝負や飛行訓練を見ていると実は凄かった事が分かる。やはり幾多の実戦経験を積んできただけの事はある。
ジュンがUGMに入隊するのは怪獣に殺された兄の仇を討つ為。
あと20日で兄が死んで1年になるらしいが、確か第1話以前は5年間は怪獣は現れなかったはず。
しかし、ウルトラシリーズは1年の放送だから劇中の時間も1年経っているとは限らない。例えば『ティガ』や『ダイナ』は1年の放送でも劇中では3年経ったとなっている。おそらく『80』も第1話から今回の話までで1年以上経っているのだろう。
ジュンが言うには、イトウチーフは地球防衛軍の見習い隊員だった頃、単独で宇宙人を逮捕して地球侵略計画を白状させ、UGMヨーロッパエリアに抜擢されたとなっている。
おそらくイトウチーフが宇宙人を逮捕したのは『レオ』時代の話で、その後、UGMが結成された時に、その功績からヨーロッパエリアに抜擢となったのだろう。
ジュンの話を聞いていると、UGMの隊員になるのは大変らしい。
オオヤマキャップの推薦一つでいきなり隊員になれた猛は訓練生にどう思われているのか気になる。
宇宙船を撃墜され、傷を負ったふりをしてUGM内に侵入するリュウ。
そのリュウを可哀相に思って看病するふりをして実は宇宙人の情報を入手しようとするジュン。
そしてジュンの優しさに恩を感じたふりをして偽情報を与えてUGMの戦力を分断させるリュウ。
ジュンが持ってきた情報を信じるふりをしながら、ジュンは宇宙人と接触している、情報の確実度は50%と見た方が良いとオオヤマキャップに報告する城野隊員。
リュウを安全な場所に連れて行くふりをしながら実はUGMに引き渡そうとするジュン。
この辺りの駆け引き、化かし合いが面白い。
結局は怪獣形態に変身できると言う切り札を持っていたリュウが勝利する。
リュウは特殊な電波で宇宙船に情報を送るが、UGMの電波探知機は半径5km以内、つまりUGM基地内では発信源の正確な位置は測定できないらしい。一番大事な場所で測定できないとは、やはりUGMは基地内の守りが弱い。(宇宙船や怪獣に対する迎撃システムは取り付けられたが)
今回はシルバーガルと宇宙船の空中戦が面白い。
フォーメーション・ヤマトが再登場しているが、普通の攻撃とどこが違うかよく分からなかった。
宇宙船の攻撃を受けてもビクともしなかったシルバーガルはちょっと凄い。
責任を感じたジュンは戦闘機に乗ってアルゴンに特攻をかけるが、間一髪、80が助けに入る。
今回と次回、猛は飛び降りながら変身する。
変身の直前に猛はアルゴンの光線をヘルメットに受けるが、ヘルメットは無傷だった。凄い。
最後、落ち込むジュンに向かって城野隊員は自分もジュンと同じくUGMの隊員になりたくて1人で怪獣を倒そうとして大失敗したと語る。
しかし、城野隊員は第1話時点でUGMの隊員になっていて、第1話以前は5年間は怪獣は現れなかったはず。オオヤマキャップやイトウチーフのように5年前の『レオ』時代に遡るのは無理があるし……。ジュンを励ます為の方便だろうか?
訓練生に「隊員服は暑くないのか?」と尋ねられた猛と城野隊員はUGMの科学がつめられていて外気が1500度から零下100度になっても隊員服の中は常に26度に保たれていて、放射能等の有害物質からも守ってくれるし何より動きやすいと答えるが、実際に役者さんに聞くと夏暑くて冬寒く通気性も悪くて動きづらいらしい。
「ジュン、勢いあまってやりすぎてしまうのは若さの特権だぜ!」。
落ち込むジュンを慰めたり、ジュンへの対応に困っている城野隊員にアドバイスをしたり、訓練生に訓練時の注意事項を説明したりしている猛を見ていると、やはり教師が合っているよなぁと思ってしまう。
今回は女の戦いと言った話。
城野隊員とジュンの話もそうだが、城野隊員とユリちゃんも密かに火花を散らしていた。
ちょっとムッとした感じで「ユリちゃんとずいぶん親しいのね」と猛に言う城野隊員。
後にユリアンも登場するし、何故か猛の周りにはいつも女性がいる。
ユリちゃんの今日の天気予報。爽やか。