「残された仲間」
『ウルトラマンギンガ』番外編
2014年2月26日放送(『新列伝』第35話)
構成 足木淳一郎
演出 村上裕介
サーベル暴君マグマ星人(SD)
身長 14cm~57m
体重 150g~2万2千t
闇の支配者にダークスパークでライブサインをリードされた事で人間大で活動できるようになった。バルキー星人に続いて復活したが、エージェントとして活動する事は無く、皆からパシリ扱いを受けていた。
周りの人間に自分は普通の人間だと思い込ませる事が出来る。自身の能力で巨大化する事が出来る。右手にサーベルを備えて戦う。
ゼットンにダークライブして降星町を破壊しようとした。ダークライブした後に分離して単独で戦闘する事も可能。健太と千草がウルトライブしたティガと初代マンを苦しめるが、そこに駆け付けたギンガのギンガクロスシュートで倒された。
戦いの後、スパークドールズはギンガに回収された。
宇宙恐竜ゼットン(SD)
身長 14cm~60m
体重 150g~3万t
バルキー星人が千草をダークライブさせようとしたが失敗し、自身でダークライブした。
瞬間移動、火球、波状光線で健太と千草がウルトライブしたティガと初代マンを苦しめる。
マグマ星人が分離した後も戦い続けたが、駆け付けたギンガのギンガクロスシュートで倒された。
戦いの後、スパークドールズはギンガに回収された。
ウルトラマン(SD)
身長 14cm~40m
体重 150g~3万5千t
千草がギンガライトスパークでウルトライブした。
健太がウルトライブしたティガと一緒にマグマ星人とゼットンから降星町を守る為に戦った。
ウルトラマンティガ(SD)
身長 14cm~53m
体重 150g~4万4千t
健太がギンガライトスパークでウルトライブした。
千草がウルトライブした初代マンと一緒にマグマ星人とゼットンから降星町を守る為に戦った。
物語
闇の支配者との戦いを終え、健太や千草は夢に向かって再び歩き出した。
一方、地球に取り残されたマグマ星人は今後の身の振り方に悩んでいた。
これはヒカルも皆も知らない冒険の物語……。
感想
『列伝』と『新列伝』で新規撮影パートを担当するスタッフによる『ギンガ』番外編。これまでも新規撮影の比重が多かった回はあったが1本丸ごと新規撮影となるのは今回だけである。
回想だが闇のエージェントが全員登場。こうして改めて見ると全員キャラが濃いなぁ。
これは元々の人格なのか、それともリードした白井先生の人格が反映されているのか、気になるところ。
バルキー星人に続いて復活したマグマ星人だったが仕事は買い出しのみ。
周りの人間に自分は普通の人間だと思い込ませる能力があったので選ばれたと思われる。
闇の支配者は白井先生がいなければ物理的に移動できないので、買い出し役と言うのは実は重要な仕事だったりする。
ところでここでマグマ星人に渡されたお金は闇の支配者の正体である白井先生のものだと思われる。しかし、白井先生は闇の支配者であった時の記憶が無いので、ある日突然財布の中からお金が無くなっていると言う怖い状況に……。
携帯電話を持っていたマグマ星人。買い出し役に必要だったので闇の支配者が持たせたのかな? 着信音が『レオ』の主題歌だったのに笑った。宿敵の歌じゃないか。
一方のイカルス星人は昔懐かしのダイヤル式電話。以前の『新列伝』の新規撮影パートでもイカルス星人は昔懐かしいTVを見ていた。どうやらイカルス星人は昭和時代が好みのようだ。
バルキー星人の写真、イカルス星人のイカ、グレイの扇子と一応は仲間の遺品を処分していくマグマ星人。特にイカは『劇場スペシャル』の頃に買っていたものだと腐っているので今回改めて買い直したと思われる。マグマ星人なりのケリの付け方なのかもしれない。
闇の支配者がいなくなったマグマ星人は今後の身の振り方を考えてバイト情報誌を買う事に。
宇宙人が街中に入り込んで普通の人間と同じ日常を過ごそうとするのは『ウルトラゾーン』を思い出す。マグマ星人で『ウルトラゾーン』だと「ヘアサロン・マグマ&ババルウ」のイメージがあるので、マグマ星人が街中を歩く場面では理髪店が妙に気になった。
結局はマグマ星人は人間社会に入り込んで生きていく事は無かったが、この後のニュージェネレーションヒーローシリーズでは人間と同じ日常を過ごす宇宙人が多く登場するようになる。
健太と千草は宇宙人に対する免疫みたいなものがあるのでマグマ星人の正体が分かるらしい。
これはかつてウルトラマンや怪獣にライブした事があるからだろうか?
ヒカルはロンドンに帰って冒険の旅に、美鈴は和菓子のコンクールに向けて準備を進め、友也は『ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』に繋がる研究を始め、そして千草はアイドルのオーディションに募集して、その写真を健太が撮ると皆のその後が語られた。
今回登場したマグマ星人は主役になれない苛立ちを周りにぶつけると言うかつての健太と千草を思わせる存在で、そのマグマ星人と対比させる事で健太と千草の成長が描かれた。『ギンガ』本編はヒカル、美鈴、友也が物語の中心になっていたので、番外編で健太と千草の物語がフォローされたのは良かった。
ゼットンにダークライブさせようとするマグマ星人の誘惑を千草は健太の言葉を受けて跳ね除ける。自信を持って夢に向かって進む人間にはダークダミースパークの誘惑など効かなかった。
ルギエルが倒されてダークスパークも消滅したのだが、マグマ星人は自分用のダークダミースパークを持っていて、さらに千草を使って新たなダークダミースパークを作り出そうとしていた。
諦めない健太と千草の前に新たなギンガライトスパークが現れたが、こちらもギンガの意思とはあまり関わりが無いように思えた。
こうして見ると、ギンガスパークとダークスパークの謎はまだまだ残っている。
『ギンガ』本編は降星小学校と裏山である降星山が主な舞台だったが、最終回で小学校が壊されたので今回の番外編は降星町が舞台になった。
美鈴や友也がいて、そしてヒカルが帰って来る降星町を守る為に戦う健太と千草。
制作面における結果的な要素ではあるが、舞台が少しずつ広がっていくのは登場人物の成長によって視野が広がっていったと見る事も出来る。
夢を諦めず、友達がいる降星町を守る為に戦う健太と千草に向かってマグマ星人は「現実を知れ!」と言って止めを刺そうとするが、そこに奇跡が起きて、ギンガが助けに現れる。
この時のギンガはヒカルがウルトライブしていないので、回想場面を除けば初めて描かれるギンガ本人による戦いと言う事になる。ヒカルは普通の高校生で戦いは不慣れだったところがあったので、ヒカルがウルトライブしていないギンガは頼りになる強さだった。
結果として初代マンとティガが敗れた相手をギンガが圧倒する事になるのだが、健太と千草と言う戦いに不慣れな人間がライブしていたからと言う状況にする事で初代マンとティガの格落ちに繋がらないよう工夫されている。
ゼットンがバリアーを展開するもギンガクロスシュートの前に破壊され、マグマ星人ともども倒される事に。
この時のゼットンのバリアーが小さい。同じゼットンでも個体差があるんだなと改めて感じる。
最後はウルトラマンにライブ出来る時間の限界が来てあわや!と言うところで夜の公園に寝転がる健太と千草の場面に。
「夢を憎むもの」と同じくウルトラマンに活動時間の限界がある事を上手く使った展開であった。
ギンガが地球に帰って来たのは取り残されたスパークドールズの回収の為であった。
実体化したままのマグマ星人やスパークドールズのままのゼットンを見るに、ルギエルが倒されて全てが元に戻ったわけではないようだ。実際、スパークドールズ劇団や他の闇のエージェント達はスパークドールズのまま宇宙を漂っていた。
因みにマグマ星人はギンガに回収された時に「これで仲間と合流できる」と喜んでいたが、実は他の闇のエージェント達は第38話「驚き! 大怪獣ラッシュの世界」以降、ワームホール(SD)に吸い込まれて色々な宇宙に迷い込んでいるので合流できなかったりする……。
この後の『新列伝』では第40話の「受け継がれる伝説! 神秘のギンガスパーク」から「秘伝の書」と言う物が登場している。
何百年も前にギンガスパークの力を感じ取って様々なウルトラマンや怪獣の姿を夢に見た者がその夢を巻物に描いて銀河神社に収めたと言う設定。この秘伝の書によって『ギンガ』本編では謎が残っていたホツマの言動に説明が付けられるようになった。
今までタロウから教えられてばかりいたヒカルはこの秘伝の書を使って自分からウルトラマンや怪獣について勉強するようになる。
因みに、この秘伝の書には何故かブースカとチャメゴンも描かれている。