「星人を追う仕事」
『ウルトラマンジード』第4話
2017年7月29日放送(第4話)
脚本 安達寬高
監督 坂本浩一
集団宇宙人フック星人
身長 180cm
体重 65kg
地球での栽培が禁止されている宇宙植物ルグスを保有していた為、AIBに捕獲されて地球から強制退去させられた。
変身怪人ピット星人トリィ=ティプ
地球を気に入ってしまったので、仲間を裏切って地球侵略を中止に追い込み、育てたエレキングも眠りに就かせた。
リトルスターを宿していて、目覚めたエレキングに狙われる事となる。
ジードとエレキングが戦うのを見て、エレキングとの思い出を胸にジードにエレキングを楽にしてあげてと頼む。
事件解決後はAIBに加わる事になった。
宇宙怪獣エレキング
身長 53m
体重 2万5千t
ピット星人が惑星侵略の為に用いる生物兵器。
トリィ=ティプによって眠らされていたが、眠りから覚めると裏切ったトリィ=ティプに宿っているリトルスターを狙うようになる。
モアが出した宇宙植物ルグスの催眠花粉を受けて動きが鈍ったところをソリッドバーニングのブーストスラッガーパンチで倒された。
倒された後、拡散した力は伏井出ケイによって回収され、新たな怪獣カプセルとなった。
物語
リクの幼馴染みである愛崎モアは保険のセールスをしていると言う話だったが本当は「異星人捜査局AIB」と言う星人を追う仕事をしていた。
そんな中、リクは買ったばかりの自転車を謎の女性に奪われてしまう。
感想
『ジード』には従来のウルトラシリーズにある地球人達の特別チームが存在せず、代わりに宇宙人達による組織AIBが登場している。
AIBは「地球人と宇宙人の混合の組織」「地球で起こる宇宙人事件を秘密裏に処理する」「スーツを着た二人組」と1997年に公開された『メン・イン・ブラック(MIB)』をイメージしていると思われる。
ウルトラシリーズは昭和の頃は様々な星の宇宙人達が単独で地球に襲来していたが、『メビウス』辺りから複数の星の宇宙人達が連携して地球を狙うようになった。一方で地球の平和を守る宇宙人は昔からウルトラマン以外はあまり登場していなかったが、本作では遂に複数の星の宇宙人達が連携して地球を守る組織が登場した。
宇宙の平和を守る為に活動している宇宙人がウルトラマンとその関係者ばかりなのは不自然なので、AIBのような設定は今後も使っていってほしい。
共同生活する事になったリクとライハは買い出し用の自転車を買う事になるが、リクは機能性より格好良さを追求してしまい、なんと買い物を入れるカゴが無い自転車を買ってしまう。
リクは「怪獣を斬る少女」でもシャンプーを使わず石けんで洗髪を済ましてしまう等、前作『オーブ』のガイさんとは別の意味で生活力の無いダメ人間である事が語られている。よく今まで大丈夫だったなぁ……。
謎の女性に自転車を奪われたリクは大ジャンプして先回りするが、謎の女性は手から光の剣を出してリクを弾き飛ばしてしまう。
リクは変身前でも身体能力が高い他、ライハも高い戦闘力を誇っていて、他に登場するのも宇宙人かリトルスターの影響で特殊能力に目覚めた人達ばかりなので、能力バトル作品のように出る人出る人何かしらの技を見せてくる。
伏井出ケイが物思いに耽っていたのを見た編集者の人は疲れているのかと尋ねるが伏井出ケイは「宇宙のとある場所にいる神に現状を報告していた」と答える。
編集者に説明する時の伏井出ケイは少し楽しそうであった。自分の言っている事を編集者は理解できないと分かってはいるが、それでも自分とベリアルの事を語りたい伏井出ケイにとって編集者との時間はそんなに悪いものではなかったのかもしれない。
従来のウルトラシリーズでは基本的に真実を隠しているのは主人公だけなのだが、今回の話では主人公のリクは自分がジードである事を、モアは自分がAIBに所属していて追っている女性が宇宙人である事を隠している。「怪獣を斬る少女」でもリクが自分がジードである事を隠す一方で店長も姪のエリちゃんが火を起こすようになった事を隠していたりと、本作は主人公以外の人もそれぞれ何かを隠す展開が多い。
「ジーッとしてても、ドーにもならない!」と言うリクの決め台詞は実はモアが教えた言葉である事が判明する。
後に曖昧になってしまうが、この「ジーッとしてても、ドーにもならない」と言う言葉は「ウルトラマンジード」のネーミングにも関わっていて、本作はWヒロインのうち、モアはリク側に、ライハは伏井出ケイ側に深く関わる立ち位置となる。
やっぱり、逆光は良いね。
伏井出ケイは倒されたエレキングの力を吸収してエレキングの怪獣カプセルを作る。
主人公と敵キャラが同じシステムのアイテムを持っていて、戦いが終わると共に新しいアイテムを手に入れていくと言うのは前作『オーブ』と同じ。
リクがバイトをしている銀河マーケットは「秘密基地へようこそ」でスカルゴモラに壊されてしまったが今回から車を使った移動式マーケットで再開される事となった。
従来のウルトラシリーズでは主人公は特別チームに所属しているのでレギュラーメンバーが揃うのも特別チームの作戦室である事が多いのだが、本作では銀河マーケットで集まる事が多くなる。お店が皆の憩いの場になるのはウルトラシリーズと言うより仮面ライダーシリーズに近い。店長もコメディリリーフな立ち位置が平成ライダーのおやっさん枠に近いところがあるし。
今回の話でリクを巡ってライハとモアが争う三角関係が成立する。と言ってもモアが一方的に意識して空回りしているだけなのだが……。
ウルトラシリーズはラブコメ自体があまり多くないのだが、若い男女が集まってこう言う話が全く無いのも不自然なので、中にはこう言うパターンの作品があっても良いと思う。
『ジード』のラブコメ描写に関してはモア役の長谷川眞優さんの力が大きい。「ちょっと残念なお姉さん」と言う漫画やアニメでも難しい役を見事に演じている。
2017年は『セブン』の放送開始50周年なので今回はピット星人、エレキング、フック星人、シャドー星人と『セブン』に登場した怪獣・宇宙人で構成されている。
今回から本格登場した愛崎モアはSF作家のアイザック・アシモフから、ゼナはSF作家のゼナ・ヘンダースンから名付けられた。又、今回のゲストであるトリィ=ティプはSF作家のジェイムズ・ティプトリー・Jr.から名付けられた。
『ジード』の第1話から第4話までを一本にまとめてTV放送版ではカットされた場面を加えたディレクターズカット版「運命の始まり」がBlu-ray BOXの第1弾に収録されている。