帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「光の戦士よ永遠に」

「光の戦士よ永遠に ーメンシュハイト登場ー
ウルトラマンネオス』第12話
2001年5月5日発売(第12巻)
脚本 武上純希
監督 高野敏幸

 

ゾフィー
身長 45m
体重 4万5千t
グラールとの戦いで命のエネルギーを使い果たしたネオスの為に光の国に戻って命のエネルギーを持って来ると告げて姿を消すが……。

 

究極進化帝王メンシュハイト
身長 69m
体重 9万6千t
自らを「ダークマターが生み出した進化の究極の姿」で「宇宙に選ばれた者として宇宙の秩序を守り理想の未来を作り上げる権利を持つ」と語る。他の野蛮な生命体は滅ぼしても良いと語る神にでもなったつもりの存在だが、その真の姿は人類が憎み嫌っていた悪魔のイメージそのものであった。
いずれ脅威となるであろうエスラーを執拗に狙う。
指から光線を撃つ。バリアーを展開する。真の姿になった後は第三の目で相手を苦しめ、手から光弾を連発する。翼を生やして宙に浮き、強風を起こして地上を炎で覆う。
一度はネオスとセブン21を追い詰めるが、エスラーの力で復活したネオスとセブン21の連続光線で力の源たる額の角を折られ、最後はネオスのネオマグニウム光線とセブン21のレジア・ショットを同時に受けて倒された。

 

脳魂宇宙人ザム星人
身長 193cm
体重 150kg
ザム星人の少年の名前は地球で「期待する」「希望」と言う意味の「エスラー」。
仲間を蘇らせる為に自分の命のエネルギーを使って死ぬ定めとなっていた。
カグラの言葉を受け、ネオスとセブン21を復活させる為に命のエネルギーを使って消滅する。
その後、ザム星人10億人の命は地球人の手に託された。

 

物語
グラールとの戦いでエネルギーを使い果たしてしまったネオス。
一方、ザム星人の少年エスラーを巡ってHEARTと内閣情報局が対立。
そこにメンシュハイトが強襲をかける!

 

感想
宇宙からの暗殺獣」の続きで『ネオス』の最終回。

 

セブン21「ネオス、君のエネルギーの殆どは今の戦いで失われてしまった」、
ゾフィー「君を助ける為には我々の母なる星に戻るしかない。さあ、帰るのだ。光の国へ」、
ネオス「私の命は私だけのものではない。命のエネルギーを分離してしまったら、この星の青年は死ぬ」、
セブン21「ゾフィー、光の国へ戻り、もう一つの命のエネルギーを」、
ゾフィー「ネオス。君はこの太陽の下で戦ってはいけない。私が命のエネルギーを持って戻る前に戦ったら、君も、その青年も死ぬ。約束できるね」。
そう言い残してゾフィーとセブン21は姿を消す。
ゾフィーとセブン21の光がDNA情報のように螺旋状に降りてきたのはやっぱり意味があるのかな。命のエネルギーも含めてウルトラマンとザム星人の関係が気になる。
あと細かい事だが、ネオスの声が意外と野太いのには驚いた。すっかりカグラのイメージが付いていたので。

 

再び現れたメンシュハイトに向かってミナト隊長はもう脅威ではなくなったザム星人をなぜ執拗に追うのか尋ねる。
「全ての知的生命体はダークマターによる突然変異によって生み出された。ダークマターの進化こそが宇宙の意思だ。そしてその究極の姿が私、メンシュハイトだ。我々は宇宙に選ばれた者として、この宇宙の秩序を守り、理想の未来を作り上げる権利を持つ。ザム星人のような野蛮な生命体はこの宇宙の未来に必要無い」。
そんなメンシュハイトの言葉を受けてミナト隊長が呟く。
「神にでもなったつもりらしいな……」。
メンシュハイトの意外と落ち着いた声が外見とギャップがあって底知れぬ恐ろしさを出している。

 

やはり全ての生命誕生にはダークマターが関わっていた。いきなり新種の生命が誕生するのは不自然なので、ダークマターの設定を使ってその不自然さを解消できた。
そして、この話からウルトラマンダークマターによる突然変異で生まれた可能性が出てきた。と言う事は、進化の究極の姿は実はメンシュハイトではなくウルトラマンではないのだろうか?

 

ザム星人とメンシュハイトの争いはザム星内部の争いであるが、ザム星人の少年を巡るHEARTと内閣情報局の争いは地球内部の争いと言える。
いずれ地球は他の星とも関わりを持つ事になると思うが、その時には地球内部の争いは出来るだけ解決して無くしてほしいもの。
因みに光の国は星内部の争いは既に解決されているらしい。やはり、進化の究極の姿は地球人でもザム星人でもメンシュハイトでもなくてウルトラマンなのかもしれない。

 

カグラ隊員を治したザム星人の少年にナナ隊員は名前を尋ねる。
ザム星は地球のような個々の名前は無く、それぞれの役割で呼ばれていて、少年の名前は地球の言葉で「期待する」と言う意味の「エスラー」であった。
それを聞いたナナ隊員は皆から期待されているエスラーの事を「希望」とも言えると語る。
ウルトラマンも初代マンは名前なんか無くて、セブンの名前は340号となっていたが、ひょっとしたら、ウルトラマン達の名前も地球よりよりザム星に近いものなのかもしれない。

 

グラールとの戦いで瀕死の重傷を負ったカグラだったが、エスラーから命のエネルギーを与えられて助かる。
『平成セブン』だとここでカグラは純粋な地球人ではなくなり、地球人とザム星人両方の命のエネルギーを持つ新しい生命体になっていそうだ。ネオスとの融合状態も地球人とウルトラマン両方の命のエネルギーを持っている状態と考える事も出来るし。

 

ナナ隊員は前の戦いで疑問に思ったカグラがネオスなのかを尋ねようとするが、カグラは既に寝ていて結局は聞けずじまい。
翌朝、カグラはナナ隊員とエスラーを逃がす為に単身で内閣情報局に立ち向かう。
「大丈夫。俺がミラクルを超えたウルトラマンだって事を忘れないでくれよ」。

 

自分達を取り囲む内閣情報局に対しエスラーは光線を撃とうとするが、ナナ隊員に「その力は命を生む為のもので人を傷付けるものではない」と説得される。
そこにウエマツ副隊長とヒノ隊員がやって来てHEARTと内閣情報局の全面対決か?と思われたが、内閣情報局の現場責任者はあっさり武装解除して撤退してしまった。彼らも疑問を抱きながら命令に従っていたのだろうか……。

 

脅しに屈しないカグラを見たメンシュハイトは真の姿、人類が憎み嫌っていた悪魔のイメージそのものとなる。
それを見たキサラギは書物や映像で散々描かれてきた悪魔のイメージは過去の人間の想像ではなかったのかと驚き、ミナト隊長は悪魔に魂を売った人類の末路はどうなる?と問いかける。
いきなり神やら悪魔やらが出てきたのには違和感を覚えたが、実は第1話の「ネオス誕生」でナナ隊員が「宇宙の果てで会ったのは宇宙人か神様か」とカグラに尋ねている場面がある。

 

そこにセブン21がやって来てメンシュハイトと戦うが苦戦を強いられる。
HEARTが援護するが苦戦は続き、遂にカグラは変身を決意するが、そこにエスラーがやって来る。
エスラー「最後の命のエネルギーを使うとあなたは死んでしまう。何故そんな嬉しそうな顔をしているの?」、
カグラ「俺が今戦おうとしているのは宇宙の未来の為だ。君も俺も宇宙の一部だ。決して俺達は死ぬ事は無い。この宇宙の未来になるんだ」。
そしてカグラはネオスに変身するのであった。
カグラが言った「宇宙の一部」とか「死ぬのではなく宇宙の未来になる」は話としては分かるが、今まであまり触れられていなかった話で唐突に出た感じがする。

 

ダメージを受けたセブン21はカラータイマーが無い代わりに額のビームランプが点滅する。ただ、カラータイマーと違って赤く点滅する事は無く青いまま点滅している。

 

翼を生やしたメンシュハイトは宙に浮いて攻撃を行う。
ウルトラシリーズで空中の敵と地上のウルトラマンが戦う構図は意外と無くて新鮮。どちらかと言うと昔のゲームで使われていた構図かな。

 

ネオスとセブン21のタッグでさえメンシュハイトには勝てず、それを見たエスラーはナナ隊員に10億人の仲間の命が入っているシードレコーダーを託す。
ナナ「待って!」、
エスラー「僕の名前は「希望」なんだろう?」、
ナナ「だから駄目よ! 死んじゃ!」、
エスラー「死ぬんじゃない。未来に生きる為にこの力を使うんだ。僕の……、僕の最後の力を受け取って!」。
そしてエスラーはザム星人の姿になって命のエネルギーをネオスとセブン21に与えて消滅。復活したネオスとセブン21は連続光線でメンシュハイトの力の源たる角を折り、ネオマグニウム光線とレジア・ショットの同時攻撃でメンシュハイトを倒すのだった。
カグラやエスラーの台詞は特攻や死を肯定して美化している雰囲気があって正直言うと自分はあまり好きではない。
ウルトラシリーズは「SF」と分類される事があるが、宇宙人等の設定で「SF」になる事はあってもテーマや思想は「SF」ではなく「ヒーローもの」に重きを置いている。しかし、『平成セブン』や『ネオス』の今回の話ではテーマや思想を「ヒーローもの」ではなく「SF」にしているので、他のウルトラシリーズと比べると違和感を覚えるところがある。

 

今回の話はHEARTが活躍しそうで実はあまり活躍していなかった。
『平成セブン』もだったが、最終決戦は特別な存在だけが参加して特別チームのような普通の人間は蚊帳の外になってしまうのは残念。
『平成セブン』は特にそうだったが、地球人全体の意識が変わるかどうかと言う話なら最後まで地球人も話に関わらせてほしいなと思う。

 

戦いが終わるがカグラは行方不明に……。
ナナ隊員はエスラーから託されたシードレコーダーを手に「カグラ君は自分の使命を見付けたって……。あのザム星人の少年もカグラ君も宇宙の未来を守る為に……」と呟く。
しかし、そこにいつもの「おーーい!」と言う呑気な声と共にカグラが帰って来て、第1話と同じように皆に手荒い祝福をされるのであった。
ミナト「尊い犠牲だったな」、
カグラ「いえ。あいつはきっと一足先に未来に行ったんですよ」、
ミナト「ダークマター満ちるアンバランス・ゾーンから太陽系はもうすぐ抜け出すだろう。我々HEARTの怪獣との戦いは終わったが大事な使命が残ったな」、
カグラ「ええ、10億人の仲間達が今は俺達の手の中だけど人類の科学力で蘇らせる。いつか、きっと……!」。
その地球人の決意を聞いたかネオスとセブン21は地球を離れる。
最後に他種族との共存の模索を提示するのは『ガイア』辺りから見られる展開。ただ戦い続けるのではなく、そこから新たな道を示すのは非常に評価できる。

 

ところで最後に一つ気になった事を……。
命のエネルギーを持ってくると言って1日過ぎても来てくれず、何の役にも立たなかった人……。(この人が早く来ていたらエスラーが死ぬ事は無かった)
一体何していたんだ? ゾフィー!!

 

 

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