帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「地底からの挑戦」

「地底からの挑戦 ー古代怪獣ゴモラ登場ー
ウルトラマンマックス』第21話
2005年11月19日放送(第21話)
脚本 高木登
監督 栃原広昭
特技監督 鈴木健二

 

古代怪獣ゴモラ
身長 58m
体重 6万4千t
学名はゴモラザウルスで、フリドニア共和国の山岳部にのみ存在が確認されている珍獣。バイオテクノロジーの権威であるGSTEの宇野代表によって生物兵器として改造された。
元々は人間と同じ大きさであるが改造に成功した一体は巨大化していた。巨大ゴモラは尻尾で相手を叩きのめし、尻尾を切られても遠隔操作して扱う事が出来る。
山を降りようとしたところをマックスのマクシウムカノンで尻尾を爆散され、続けて放たれたギャラクシーカノンで本体も倒された。
人間大のゴモラもいたが、GSTEの地下施設爆破のあおりを受けて落盤に巻き込まれてしまった。

 

物語
和奈月村の山奥で人間大の怪獣が発見されて騒ぎになった。
ジャーナリストの宮原香波はGSTEがフリドニア共和国から密輸入したゴモラザウルスだと主張する。

 

感想
「伝説の怪獣人気投票」で1位を取ったゴモラが登場。
当初はテレスドンの登場予定で話が進められていたらしい。生物兵器として改造されると言う設定はテレスドン向きだと思うが、人間に翻弄された生物と言う展開はテレスドンよりゴモラ向きだったと思う。
ゴモラ登場回なので当時開催されていた愛知万博を襲撃してほしかったが、やはり今の時代だと色々と問題があるのだろうか。

 

ゴモラザウルスの資料として登場した写真は『初代マン』のもの。『初代マン』と『マックス』のゴモラを並べて形状に若干の違いが認められるが同じゴモラザウルスであるとしたのが上手い。
ゴモラ以外にもウルトラシリーズでは再登場した怪獣のデザインが以前の個体とは変わっている事があるが、それらも多少の違いがあっても大元は同じだとフォローしたように自分は感じた。

 

今回のゴモラは人間大の個体もいた。
人間大の怪獣は迫力が無さそうだが逆に身近に迫って来る恐怖があった。今回は特に冒頭の場面が手持ちカメラの映像によってドキュメンタリータッチになって緊迫した映像になっていた。

 

香波の調査ではGSTEは行方を眩ます直前にフリドニア共和国から5頭のゴモラザウルスを密輸して和奈月村の山奥に潜伏したとなっていた。
香波の父親でGSTEの代表である宇野は現代社会を壊滅させる事が地球の為だと本気で信じていて、生物兵器に改造したゴモラを繁殖させて都市部を襲撃するつもりだった。
宇野は神の怒りを実現させるには自分が神になるしかないと考え、家族を捨ててゴモラザウルスの巨大化実験に邁進すると、やがて自分の怒りは神の怒り地球の怒りであるとして他のGSTEメンバーも見下すようになり、遂には一人で研究を続ける事になる。
罪の意識すら無い宇野のマッドサイエンティスト振りが衝撃。『怪奇大作戦』ならともかく、ウルトラシリーズでここまで狂った人物が出て来るとは思わなかった。
再び行方を眩ませた宇野はゴモラに殺されたのか、それとも全てを破壊する為に山を降りたのか。遺体らしきものも見付かっていないので生きている可能性はあるが……。

 

GSTEは環境保護と称して大企業を脅迫したりビルを爆破したりした犯罪者集団だったが、20年程前に行方を眩ませているのでカイト達はその存在を知らなかった。
しかし、犯罪加害者の家族は20年間苦しみ続けてきた。
名字を変えても住所を変えても遺族の怒りが追いかけてきて、母は世間の非難を一身に浴びて死んでしまった。自分にとって事件は20年間ずっと続いてきた悪夢なのに世間一般には既に忘れ去られた、存在すら知られていない出来事となっていた。
このギャップ、不公平感が今の香波の他人への接し方に繋がっていったのだろう。
犯罪加害者の家族の苦しみにまで踏み込んだ事で物語の重みが増した回であった。

 

今回は隊長不在回。
場面によってコバ隊員が指示を出したりミズキ隊員が指示を出したりしていたが、ヒジカタ隊長がいない時のDASHは誰が指揮を執る事になっているのだろうか?
そう言えばウルトラシリーズの特別チームは殆どに副隊長格がいるのだがDASHには明確な副隊長格が存在していなかった。

 

香波は父を追い求めるが結局は会えず、父の残したゴモラを父と同一視するがヒジカタ隊長に叱責される。
今回は香波がヒジカタ隊長と関わる事で父の呪縛から解き放たれて新たな道を見い出す話なのだが、香波にとってヒジカタ隊長がどのような存在だったのかが少し弱かった。
ヒジカタ隊長には娘がいるので今回は父親の部分を強く押し出して、宇野とは違った父親像を見せると言うのもアリだったと思う。

 

ゴモラの尻尾が切られるのは『初代マン』の「怪獣殿下 後篇」でもあったが、今回はゴモラが遠隔操作したかのように尻尾が動き回ってマックスを苦しめた。これも改造の結果であろうか?

 

戦いが終わり、ゴモラの遺体は所有権を主張してきたフリドニア共和国に引き取られる事になった。
実はゴモラは密輸ではなく、フリドニア共和国から資金援助を受けた研究だったと言う疑いが出たが証拠はGSTE施設と一緒に地底に埋もれてしまった。
GSTEとフリドニア共和国の関係をいつか明らかにすると決意する香波。
ひょっとしてだが、宇野は口封じの為にフリドニア共和国に消されたと言う可能性もあるのかも……。

 

今回の話は高木さんのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。

 

 

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  • メディア: DVD