「未知なる友人」
『ウルトラマンX』第11話
2015年9月29日放送(『新列伝』第117話)
脚本 小林雄次
監督 冨田卓
宇宙ロボットキングジョー
身長 55m
体重 4万8千t
ペダニウム合金で作られたペダン星人の合体ロボットでグルマン博士によると既に七つの惑星の文明を滅ぼしているらしい。
四機の宇宙艇で地球に侵入して、キングジョーへの合体と宇宙艇への分離を駆使してXioやエックスを追い詰めた。
最後はサイバーゴモラのサイバー超振動波とエックスのギャラクシーカノンを受けて破壊された。
内部に生命反応が無かったので無人機だった可能性が高い。
電脳怪獣サイバーゴモラ
身長 40m
体重 2万t
サイバーゴモラのスパークドールズを大地のエクスデバイザーにロードする事でリアライズ(実体化)した。
エックスと協力してキングジョーを倒した。
物語
大地はサイバーゴモラとのシンクロ実験を続けるが上手くいかず遂に倒れてしまう。
大地が焦る中、宇宙から四機の宇宙艇が地球に侵入する。
感想
第1話から続けられていたサイバー怪獣の実体化が遂に成功。
怪獣を実体化してコントロールすると言うのは『メビウス』のマケット怪獣に近く、人間と怪獣が繋がっていると言うのは大怪獣バトルシリーズのレイオニクスに近い。サイバー怪獣とのシンクロに関する技術を突き詰めていけば、ひょっとしたらバトルナイザーの技術に近付いていったりするのだろうか?
大地はゴモラとは幼い頃からずっと一緒にいて誰よりも知っていると訴えるが神木隊長は「身近な存在だから何でも知っているとは限らない。たとえ家族の間柄でも知らない事はたくさんある」と告げる。神木隊長の言葉の真意は「戦士の背中」で明かされる事になる。
「可能性のかたまり」でも言及されているが、サイバー怪獣と脳波で繋がれば人間の体に多大な負荷がかかってしまう。
大地が無理をして実験を続けるのはスパークドールズの研究が父の悲願であった為。そんな大地を橘副隊長は「執着」と表現する。
大地はエックスとのユナイトでも体にダメージを受けていた。
これは「エックスとして怪獣と戦う中で攻撃を受けた事でダメージを負った」なのか「エックスとのユナイトそのものがダメージになっている」なのか。人間とサイバー怪獣のシンクロ、エックスとサイバー怪獣の合体、大地とエックスのユナイトが同じように語られているので、おそらく後者であろう。
そうなると、エックスが普段は大地の肉体ではなくてエクスデバイザーの中にいるのは大地への負担を少しでも減らす為と考える事が出来る。
「私はね。この戦いの日々が早く終われば良いと思っている。早く世界が平和になって、普通に家族を作って、普通に生きていきたい」。
「夜を呼ぶ歌」でアスナは「女の子が普通でいられない世界なんて間違っている」と言っていたが、今回の話で「怪獣や宇宙人が暴れて戦いが続く世界は間違っている」と考えている事が分かる。そんなアスナにとって大地が進めている怪獣のスパークドールズ化や人間とサイバー怪獣のシンクロの実験は「普通でいられない間違っている世界」を終わらせる可能性を示していると言える。
ペダン星人の合体ロボット・キングジョーが登場。
神木隊長役の神尾佑さんを見ると『ウルトラゾーン』の「最後の攻撃命令」を思い出す。
キングジョーに苦戦するエックスをアスナが援護し、キングジョーの反撃からアスナを守る為にエックスが身を挺する。そんな中、ゴモラの意思と繋がった大地はゴモラが自分の事を心配していた事に気付く。
大地「ありがとう。けど、俺なら大丈夫だ。俺がやらなきゃもっと多くの命が失われる。お願いだ。力を貸してくれ……!」。
そして大地は現れたサイバーゴモラのスパークドールズをエクスデバイザーでロードしてリアライズ(実体化)させる!
大地がスパークドールズの研究を進めていたのは15年前に消失した父の悲願を達成する為であったが、サイバー怪獣の実体化を成功させるのに必要な鍵はアスナやゴモラと言った現在の仲間達であった。
エックスとサイバーゴモラの動きがところどころ同じだったのはどちらも大地が関わっているからなのかな。
キングジョーはペダン星人の合体ロボットと説明されているが今回はペダン星人の登場は無かった。キングジョーの内部には生命反応が無かったので、今回のキングジョーはペダン星人の手を離れて勝手に暴れていた可能性がある。
今回は大地とゴモラが絆を繋ぐ展開だったので、それとの対比でペダン星人との繋がりが切れた状態のキングジョーを出したのかもしれない。
マックスのサイバーカードをロードするとなんとマックスギャラクシーのコピーを使えるようになる。本来の持ち主であるゼノンさんはまだ一度もちゃんと使えていないと言うのに……。
戦いが終わり、アスナはゴモラのスパークドールズに向かって「これからもよろしくね」と言い、大地、アスナ、ハヤト、ワタル、マモル、ルイの皆でゴモラのスパークドールズに手を重ねるのであった。
「サイバーゴモラはXioの新たな仲間に加わった。サイバー怪獣を動かすのは卓越したテクノロジーではない。人間の脳波でもない。未知なる友人を理解しようとする心。すなわち、繋がる心である」。
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