「星座泥棒 ー星獣ケプルス登場ー」
『ウルトラマンマックス』第37話
2006年3月11日放送(第37話)
脚本 小林雄次
監督 八木毅
特技監督 鈴木健二
サトン星人
「星空の創造主」とも言うべき一族で、地球人に星空の美しさを啓蒙する為に天球界を建造したが、地球人が森を切り拓いて街を作り地上に光を蔓延させた事で美しい星空が奪い去られた事に怒りと憐れみを抱き、ケプルスを召還した。
サトン星人の末裔であるミズキ隊員を招いて星空の扉を通じて故郷の星へ帰ろうとしたが、ミズキ隊員の説得を受け、未来で地球人と再会する事を願って帰って行った。
劇中では成宮和也と言う地球人の姿で現れているが、絵本の「星座泥棒」ではサトン星人の姿が描かれている。
星獣ケプルス
身長 58m
体重 0
成宮和也の描いた絵本「星座泥棒」に登場する怪獣。
天球界の創造と終焉を司る星空の守護獣で、美しい星空を取り戻す為に地上の悪しき光を消し去ろうとした。
夜空の星が集まって実体化したもので物理攻撃が通じず、マクシウムカノンを受けて爆発しても星が集まって復活する。
最後は未来で地球人と再会する事を願ったサトン星人と一緒に故郷の星に帰った。
『ネクサス』のフログロスの着ぐるみを改造している。
物語
夜空の星が集まって星獣ケプルスが現れた。
かつて読んだ絵本「星座泥棒」でケプルスの存在を知っていたミズキ隊員は幼き頃の記憶を甦らせる。
「これは、星空を愛するすべての人と、そうでもないすべての人に贈る、星空誕生の物語」。
感想
人が星空に魅入られるのは人が宇宙から来た異星人の末裔だから。
星空を見て懐かしい気分になるのは体の中に異星人の遺伝子が眠っているから。
星が輝いているのは故郷を忘れない為のメッセージだった。
ミズキ隊員は異星人の末裔なのか純粋な地球人なのかと言うのが今回の話の一つの柱になっている。『セブン』の頃から主人公が異星人(またはそれに近い存在)で、ヒロインが純粋な地球人と言う構図が殆どだったが、それをひっくり返したのが面白い。
今回の構図に近い話としては『A』がある。『A』では主人公の北斗星司が(エースと一体化しているが)純粋な地球人で、ヒロインの南夕子が異星人であった。
地上の光を「悪しき光」として消し去ろうとする成宮だが、どうにも想いが伝わってこない。見返してみると、実は今回の話は成宮が断罪する悪しき光である地上の光の場面が少ない事に気付く。
ミズキ隊員の過去と繋げる為か一昔前を思わせる下町を舞台にしているが、結果として、光が殆ど無い夜の下町を舞台に成宮が地上の光を消し去るんだと訴えるチグハグな内容になってしまった。成宮の主張を考えたら、不夜城の如く光を発し続ける街中を舞台にした方が良かったと思う。
やたらと人類を否定する存在が多かった『マックス』だが、ミズキ隊員が言ったようにマックスだけは最初から人類の味方だった。
「ウルトラマンマックスもきっと光に溢れるこの星を信じて救いの手を差し伸べてくれた。私はそう信じています。だって、光は希望の証だから」。
ラストエピソード直前なので今回はカイトとミズキ隊員の関係が前面に押し出されている。他にも星空を美しいと感じるエリーをコバ隊員が人間に近付いたと評する等、『マックス』が9ヶ月間かけて積み上げてきた人間関係のまとめに入っている。
今回はミズキ隊員の少女時代が描かれ、星空への憧れからパイロットになった事が語られている。
DASH隊員のバックグラウンドが描かれる事は珍しく、実はカイトとミズキ隊員しか描かれていない。ヒジカタ隊長の家族とかショーン隊員の発明仲間とかコバ隊員の友人とかエリーやココの開発者とか色々見てみたかったなぁ。
宇宙がテーマでもサイエンス・フィクションではなくて今回のようなファンタジックな話も出来るのが実にウルトラらしいなと思う。