「決断の時 －バゾブ登場－」
『ウルトラマンダイナ』第34話
1998年5月2日放送（第34話）
脚本 吉田伸
監督 小中和哉
特技監督 佐川和夫
宇宙スパーク大怪獣バゾブ
身長 65.5m
体重 7万2400t
電気エネルギーを求めて宇宙発電所ヘリオを飲み込んでTPC本部を目指した。
額の触角から電磁波を放射して半径3kmの電気システムを全てダウンさせてしまう。
触角から電流を放射してTPCの防衛ラインを突破した。
グライダーに乗ったコウダに触角を破壊され、その一瞬に飲み込んだヘリオに電気エネルギーを逆流させされ、最後はガッツイーグルのトルネードサンダーのエネルギーを利用したダイナ・ミラクルタイプの突撃を受けて倒された。
顔はメノーファのNGデザインらしい。
物語
ヒビキ隊長が向かった宇宙発電所へリオが怪獣に飲み込まれてしまった。
怪獣がTPC本部に迫り、隊長代理として指揮を任されたコウダに決断の時が迫る。
感想
「まだ副隊長じゃなかったの？」と驚いたコウダが副隊長になるまでのお話。
今回の話でコウダは正式にスーパーGUTSの副隊長になった。今までも十分に副隊長していたのだが、スーパーGUTSの外に出る時に「副隊長」と言う肩書きがあると無いとでは大きく違う。
コウダは隊員養成学校の1期生で、ムナカタに憧れてGUTS入隊を希望していたらしい。
ヒビキ隊長が言ったようにムナカタはウルトラシリーズの中でも副隊長として最高の働きをした人物だった。そのムナカタは現在はTPC西アジア支部で新人の育成をしているらしい。
かつてムナカタはコウダの質問に対して「どんな時でも隊長を信じて命令に従う事こそ副隊長の使命だ」と答えていた。
宇宙発電所へリオは膨大な太陽エネルギーをソーラーパネルに吸収して太陽系各基地に送る画期的な施設で、完成すればネオフロンティアも飛躍的に発展するらしい。
しかし、バゾブに襲われた時、平和利用の施設だから武器は無いとしてあっさり飲み込まれてしまった。やはり自衛の為の武器は必要なのだろうか？
バゾブが発する電磁波によってコンピューターを搭載した武器は全て使用出来なくなり、アスカはなんと手榴弾で戦う事に。
『ティガ』の時代からこの手の事件は何度も起きているのだから、いいかげん何とかしてほしい。TPC本部近くの防衛ラインは確保されたのだが使えなければ意味は無い。
ヘリオごとバゾブに飲み込まれたヒビキ隊長はヘリオがSOS信号を発している事を知るとスーパーGUTSが攻撃を躊躇わないように信号を切ってしまう。この時の無言で銃を撃つ場面が静かに格好良い。こういう緊急時のヒビキ隊長の判断は凄く早い。そうでなければ地球防衛は出来ないのだろう。
ヒビキ隊長がヘリオのSOS信号を切った理由を察したコウダは様々な策を講じるが全て失敗に終わり、遂に怪獣用に試作されたファイナル・メガランチャーの使用を考える。怪獣の半径500mが消滅してTPC本部も30％が損傷してしまうが地球防衛の中枢を守る為に犠牲もやむを得ない事態に。
だが、ヒビキ隊長を犠牲に出来ないコウダは自身がグライダーでバゾブに接近して触角を破壊する事で電磁波を止める事に成功する。が、今度はコウダがバゾブに捕まり窮地に陥ってしまう。
コウダは「俺に構わず撃て！」とリョウ達に命令するがヒビキ隊長にそれを言われて出来なかったのはコウダ自身。結局、ダイナがトルネードサンダーと一体化してバゾブを倒すと同時にヒビキ隊長達とコウダを救出したが、ダイナがいなければ確実に死人が出ていた。
ヒビキ隊長がいない間、TPC本部を守り、指揮官としての本当の辛さ苦しみを知ったとしてコウダは正式にスーパーGUTSの副隊長に任命されるが、見る限り、TPC本部を守れたのはダイナのおかげなので、コウダを副隊長に昇格させるのは少し無理がある。
確かにコウダは作戦を立てて皆を動かすのは上手いが、ヒビキ隊長やムナカタに比べて決断力に欠けている事が今回の事件で露呈してしまった。
劇場版とTVシリーズで設定にズレが生じない為にコウダが副隊長になる話が劇場版公開後になったらしいが、コウダは今までも副隊長の立場だったし、実際に皆から副隊長と呼ばれるようになるのは今回の話よりも少し後になっているので、あまり意味が無かった感じがする。
アスカ、コウダ、ヒビキの無茶する熱血三人組の今回の言動を見ると、新人のアスカはまだ責任が薄くて自分の信念に基づいて突っ走るところがある。コウダは責任ある位置を与えられて自分の信念と責任の間に揺れ動く事になる。そしてヒビキ隊長は既に責任ある立場にいて次の世代の育成を始めているとなっている。こうして見ると、アスカの成長した姿がコウダ、そしてヒビキ隊長に見えてくる。
