帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「歌う探査ロボット」

「歌う探査ロボット ーサタンラブモス登場ー」
ウルトラマンダイナ』第32話
1998年4月18日放送(第32話)
脚本 右田昌万
監督・特技監督 原田昌樹

 

モンスターマシンサタンラブモス
全長 73m
体重 8万3千t
土星で新たに発見された衛星ソルビーノの地質調査の為にTPCが送り込んだ探査ロボットTM-39(通称・ラブモス)は謎の像が奏でる歌を聴いて凶暴化し、ソルビーノ着陸船を破壊してしまう。
TPC本部に移送されたラブモスはTPCのメインコンピューターを監視下に置き、コンピューター制御されている全てのメカを使ってサタンラブモスを構築し、組み込んだメカの武器を使ってダイナを苦しめる。
マイの愛の歌で元に戻ったラブモスはダイナに自分を破壊するよう訴えるが、ダイナは首を横に振って断った。

 

迷子珍獣ハネジロー
身長 33cm
体重 5kg
今日も司令室にいる。ダイナの登場に「だいなー!」と叫ぶ。像の音を判断出来るらしい。
最後にソルビーノの映像を意味ありげに見つめていたが何か知っているのだろうか?

 

物語
TPCが生んだ史上最高のアイドルロボット・ラブモスは世界中の人気者。
しかし、ソルビーノ着陸船が何物かに破壊され、ラブモスも全ての機能が停止した状態で発見された。
ソルビーノで一体何があったのか……?

 

感想
ラブモスはなんか万博にいそうなキャラクター。TPCの開発部には可愛い物好きな人がいるのだろうか?
ラブモスはグッズが売れまくって活躍が毎日中継されるほどの人気。TPCの収入源の一つになっていそう。
プラモデルにまで話しかけるマイはらしいけれどさすがに感情移入しすぎ。
実はラブモスグッズを持っていたリョウ。車もそうだったが意外とリョウは可愛い物好き。
ラブモス中継は編集されたものではなくて生中継っぽい。土星の衛星の映像が生中継されるとはさすがはネオフロンティア時代。

 

今回のテーマはロボットと人間について
ラブモスは高性能の知覚機能を有していて自分で物事を認識して判断している。それは心を持つ人間と同じと言えるのではないか?
ロボットには人間みたいな感情は一切無いと言い切るナカジマに対し、人間だってあまりに恐ろしい体験をすると脳神経がパニックになって一時的に記憶喪失になると返すマイ。ロボットにだって人間と同じように心があると言うマイの言葉をナカジマは馬鹿馬鹿しいと切り捨てる。
ラブモスを高性能のロボットと考えるか人間と同じ心を持った存在と考えるか。この線引きは非常に難しい。

 

夢の世界でのマイとラブモスのデートはさすがに見ていてちょっと恥ずかしい。
「私のキスは、ラブモス、ずっとあなたの為にとってあったの」と告白するマイだが、ヒムロや治親にも似た言葉を言っていそう……。
マイにキスを迫られてうろたえるラブモスが可愛い。
ラブモスがマイのプロフィールを述べる場面でマイが愛知県出身である事が分かる。これはマイを演じる山田まりやさんの出身地。

 

暴走したラブモスがソルビーノ着陸船をビーム一発で破壊したのには驚いた。強いぞ、ラブモス……。

 

機械は何でもお見通しと言う事でミラクルタイプの高速移動もサタンラブモスに読まれていた。
デスフェイサー戦もだったが、ダイナはロボット相手に苦戦が多い気がする。ガラオンにも意外と苦戦してたし。まぁ、『ダイナ』に限らず、ウルトラシリーズのロボット怪獣は何故か強敵が多い。

 

マイに「ラブモスのICを開いたのはパスワードなんかじゃない。お前の愛がラブモスに届いたんだ! 恐れるな! 愛で一杯になるんだ!」と訴えるコウダ。
これを真顔で恥ずかしげも無く語れるコウダが凄い。
ただ、ラブモスが目覚めたのがパスワードではなくマイの心だったのは事実であろう。
ロボットが心を持つ時代がやって来たのならロボットの心のケアも必要となってくる。

 

マイの「ラブモスは皆の太陽なんだから!」に対して「太陽は一つで十分だ」とほえるヒビキ隊長。
最初はラブモスの事でマイと対立していたが、ラブモスのICを開いてしまった為にTPCのメインコンピューターを乗っ取られてしまったと落ち込むマイに向かって「それは前進だ」と諭した場面はさすが。
今回のヒビキ隊長は「行き詰まったら犯行現場に戻れだ」と刑事みたいな台詞を吐き、ガッツウイング1号を手動で操縦すると聞いて「血が騒ぐ」「TPC荒鷲と異名をとった」「操縦管との一体感がたまらない」と一人盛り上がる等、名(迷)場面連発であった。

 

光の星の戦士たち』が公開され、TVシリーズの方でも『ティガ』との繋がりが強められてきた。
今回は『ティガ』のメカであるガッツウイング1号が久々に登場。他にもサタンラブモスの構築に使われたメカの中にアートデッセイ号がある。又、マイがTPCのメインコンピューターがラブモスの監視下に置かれた事を調べたのに使ったはマサキ・ケイゴのサイテック社の衛星回線であった。

 

ソルビーノにあった謎の像。その背後には謎の遺跡もあった。ソルビーノの先住民の物らしいが詳細は不明。『ダイナ』でここまで謎だらけで終わってしまうのも珍しい。暴走したラブモスが発した「機械文明よ! 滅びるがいい! 自らの手で自らを殺すのだ!」と言う言葉が謎を解く鍵だと思われるが……。
像の音は人間の耳には聞こえないがラブモスやダイナやハネジローには聞こえるらしい。どういう作りになっているだろうか?
尚、断言はされていないが、小説『ウルティメイトフォースゼロ ~Side Story~』のジャンナイト編「電脳の夢」にはソルビーノにあった像が発したと思われる「歌」が再登場していて、「歌」を聞いた機械がどのような考えを持つのかが明かされている。