帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「パズルの女」

「パズルの女」
ウルトラQ dark fantasy』第4話
2004年4月27日放送(第4話)
脚本 広田光毅
監督 北浦嗣巳

 

パズルの女
両親を早くに亡くして天涯孤独となり自身も長い入院生活を送っていたある女性が死後にパズルに姿を変えた存在。生前に自分を見付けてくれた男達のもとに向かう。
恐怖に負けてパズル作りを止めた男達を彼女が殺害したかは不明。涼は男達の死は単なる不幸な事故と考えた。
望月がパズルを完成させると光と共にパズルの中から現れた。その後、剛一が見たパズルには綺麗な青空だけで彼女の姿は残っていなかったが彼女と望月はある綺麗な青空の下を幸せそうに歩いていた。

 

物語
望月が差出人不明の封筒に入れられていたパズルを組み立てると一人の女性が出来上がっていき、それと同時に何者かが迫って来る感覚に襲われるようになる。
果たしてパズルを差し出した者の真意とは?

 

感想
パズルと共に少しずつ出来上がっていく女性がかなり怖い恐怖作品。
女性の息遣いや足音と言った「音」となかなか全身を現さない「溜め」と言うジャパニーズホラーの基本を押さえた演出はやはり怖い。
と思いきや、パズルの女の真意が明らかになっていくに従って全てが恐怖から愛おしさに逆転していくのが見事。
どうして死んだ彼女がパズルの女となれたのかは謎だがそれを指摘するのは野暮と言うもの。

 

涼がこの1年以内に自殺した男達の情報を持って来るが自殺以外に共通点が見当たらず、年間3万人近くいる自殺者の中からどうしてこの男達を取り上げたのか不自然だった。

 

途中まで暗闇、夜、雨と淋しげな場面ばかりだったのでラストの綺麗な青空の下の花畑で微笑む彼女の姿がより眩しいものになっている。
しかし、ナレーションでは彼女が望月に行った行為を「向こうの世界に引きずり込む」としている。
確かに、ようやく自分を見付けてくれる人と出会えた彼女と彼女の真意に気付いて救おうとした望月の視点で見ればハッピーエンドであるが、周りの人から見れば望月はある日突然消失してしまった事に変わりは無い。当事者の二人と周りの人間とでは今回の事件の印象がまるで違ってしまっていると言うのが面白い。

 

今回のゲストの名前は「望月」。前回にも山崎を取り囲む一人として「望月」と言う男性が登場しているが当然無関係。「通りすがりA」ならまだしも物語に深く関わる人物の名前が2話続けて全く同じになってしまうのはシリーズ構成のミス。もう少し気を使ってほしかった。

 

後に『レスキューファイアー』の脚本を手掛ける広田光毅さんはウルトラシリーズは今回のみの登板となっている。