「巨鳥ユピカの伝説」
『ウルトラQ倶楽部』第15話
2004年1月18日放送(第15話)
脚本 佐々木守
演出 実相寺昭雄
巨鳥ユピカ
信じられないほど大きな鳥で旅の女性のペットらしい。
願いを受け、機を織る女を乗せて何処かに飛び去っていった。
物語
人里離れた所で機を織る女は友人に頼まれて能楽『羽衣』用の衣装を織っていた。
何も報われない今の生活にやり切れなさを感じていた女の前に旅の女性が今晩泊めてほしいと頼んでくる。
旅の女性が普通の人間ではないと知った女はある事を訴える。
感想
父が死んでから5年。いつまでも機織りで暮らしていけるか不安であるが彼氏と結婚する気も無かった女は友人が幼い頃から習ってきた芝居の総決算に挑む為の能衣装を自分にとっても最後の作品と位置付ける。だが、今後どうするかと問われても「何も無い所に行ってしまいたい」と呟くだけであった。
ここで能楽『羽衣』に絡めて天女の住まう世界である「常世の国」について語られる。佐々木守・実相寺昭雄コンビ作品だと『星の伝説』でも「常世の国」について語られていて、今回の話も単独で考察するより『星の伝説』と絡めて考えた方が理解しやすいところがある。(逆に単独で考えると何も報われない今の生活を捨てたいと訴える機を織る女と、そう言う人を探して自分は旅をしていたのかもしれないと呟く旅の女性の話がやや強引に感じられてしまう)
機を織る女がユピカの背に乗って何処かに消え、やがて機を織る女の家が崩れた時、誰も彼女の噂すらしなくなってしまった。「常世の国」へと旅立った人の話として不思議な余韻を漂わせる結末。
『Q』の「鳥を見た」を思わせる部分もあって、二つの話の共通部分と相違部分を拾い上げていくのも面白いと思う。
ところで、結局、機を織る女は友人に頼まれていた能衣装を完成させたのだろうか……?