「ヒエロニムスの下僕」
『ウルトラQ dark fantasy』第5話
2004年5月4日放送(第5話)
脚本 高橋洋
監督 八木毅
物語
ニュース番組のメインキャスターである桑原真奈美を番組開始と同時に消すと言う予告がネットに流れ実際に桑原は消滅してしまう。
桑原の夫で今回の事件を仕組んだ米田は罪の意識に苛まれるが、そこに太田と言う「下僕」の男が現れる。
事件の根幹にあるヒエロニムスマシンとは一体……?
感想
写真と人体の一部さえあれば実際に人間を消し去る事が可能と言う現代の呪いとも言うべきヒエロニムスマシン。
実際のヒエロニムスマシンは害虫駆除や生物の診断治療を行うものらしいがオペレーターの能力によって作動すると言う疑似科学的な要素が独特の怪しさと恐怖を生んでいる。
今回はヒエロニムスマシンと言う疑似科学を使った『怪奇大作戦』チックな話、妻を手にかけてしまった米田の苦悩、「彼」の下僕と称しながら実際はヒエロニムスマシンのサイトを運営していた太田の不気味さ、ネットやTVによって不特定多数が事件に関わる事で首謀者の顔が見えなくなる現代ならではの落とし穴、映像媒体を鍵とした異次元世界への扉、ある日いきなり社会から消されてしまう恐怖、力を得た事で歯止めが利かなくなっていく人間の怖さ等、一つの話の中に色々な要素が込められている。
警察の捜査で太田が捕まって事件解決かと思いきや刑事が人を殺してはいけない理由を述べた後にいきなり太田を窓から突き落とすと地面に叩きつけられた太田はヒエロニムスマシンによって消滅してしまう。
太田が死の直前に自分も下僕の一人だったと明かし、ナレーションが刑事も何かの下僕だったかもしれないと語る等、事件の首謀者である「彼」の存在が再び匂わされたところで物語が終了する。
この解決したと見せかけていきなり視聴者を突き放す展開は『Qdf』の特色の一つとなっていく。
刑事の異物感が強烈な印象を残したクライマックス。
手の甲で机を叩く場面は「第四惑星の悪夢」のロボット警察署長を思い出す。
因みにこの刑事二人の名前は偽装刑事D1&D2との事。思った以上にストレートな名前だった……。
「一度人を殺すと歯止めが利かなくなる。つまり、やってはいけない事が無くなる」。
これが刑事が述べる人を殺してはいけない理由。事件を解く鍵となるのだろうか……?