『ウルトラマン超闘士激伝』
1996年9月25日発売
脚本 瑳川竜
監督 アミノテツロー
原作・瑳川竜、漫画・栗原仁によって『コミックボンボン』で1993年から連載されていた漫画をオリジナルビデオアニメ化した作品。漫画のゴーデス編とエンペラ星人編のミッシングリングを埋める内容となっている。
『超闘士激伝』はバンダイの「カードダス」の一つとして企画が始まり、その後、漫画、ガシャポン、ゲーム、そして今回のOVAと様々な商品展開が行われた。
デフォルメされたウルトラシリーズのキャラクターが『ドラゴンボール』のような熱いバトルを繰り広げると言う内容で闘士が装備している鎧が『聖闘士聖矢』ぽかったりと色々な作品を思い出す作りになっている。
正直言って「色々な作品のオイシイところを集めているなぁ」と思うが、それでも見たら手に汗握って熱中してしまう。『ドラゴンボール』を初めとする80年代から90年代の少年向けバトル作品が好きな人は見て損は無い作品である。
今回の話は地球で銀河連邦生誕記念としてウルトラマンとメフィラス大魔王の模範試合が行われ、一方でタロウ達は地球への軌道を通る怪彗星ツイフォンの対処に向かう。しかし、彗星の中から現れた彗星戦神ツイフォンはタロウ達を倒すと地球に襲来。エネルギーを吸収して無限にパワーアップを続けるツイフォンは地球を第二の怪彗星にしようとし、ウルトラマンやメフィラス大魔王は月でツイフォンとの決戦に挑む!と言う内容になっている。
やはりバトルが大迫力で面白い。月は壊滅寸前になるわ地球は天変地異が起こるわと「ドラゴンボール無しで、この後どうやって月や地球を復興するのだろう……」と思わず心配してしまうほどの破壊っぷりであった。
そして台詞がかなりカッコイイ! 特にメフィラス大魔王は全てが名台詞と言っても過言ではない。
「その通り! 俺はお祭りに来たんじゃない。お前をブチのめしに来た!!!!」、
「フン! お前を助けたわけじゃない!!」、
「ウルトラマン!! 何をしている、こんな時に……!! だらしねぇぞ!!!!」、
「フフフ……。今度は俺を選んでくれたようだな。……嬉しいぜ!」、
「つまらん奴だぜ……。貴様を殴っても何も感じねぇ……!! この拳に返ってくるものが何も無ぇ!!!! 貴様の様な奴にウルトラマンがやられたかと思うと腹が立つぜ!! 貴様は俺が倒す!!!!!!」、
「この俺が……!! それが……俺の使命だ!!!! お前に倒されたあいつの為……、いや! お前には分かるまい!! あいつとの戦いで……!! あいつとの戦いで俺に生まれたものがなんなのか!!!! 戦う男の誇りってやつだよぉぉ!!!!!!」、「やったぜ……、ウルトラマン……」、
「よせ……、無駄だ……。俺はお前みたいに不死身じゃない……。俺なりに頑張ってみたが、お前みたいにカッコ良くはいかなかったぜ……」。
特に最後の死んでしまう場面は『ドラゴンボール』のピッコロやベジータの死に匹敵する名場面で見ていて号泣してしまった。
『ドラゴンボール』のブロリー並みに「どうやったらコイツを倒せるんだ?」と思わせるツイフォン。
ウルトラマンに「何故こんな殺戮を続けるのか?」と問われた時に「俺は俺だ。全宇宙を駆け巡り、その行き先にあるものは全て破壊する。それが俺だ。「何故?」は無い。それが俺だ。もう何万年もの間、繰り返してきた。そしてこれからもだ」と何の迷いも無く答えた場面が印象的だった。
敵キャラに悲しき過去を用意せずに戦いを善悪とは別の次元に話を持っていったのが上手かった。
超闘士になるもツイフォンにカラータイマーを破壊されてしまったウルトラマン。しかし、人々の願いを、メフィラス大魔王の想いを受けて、宇宙伝説の永遠の命デルタ・スターとなってツイフォンを撃破する!
それまでツイフォンの強さを徹底的に描いていただけにここでのツイフォンを全く寄せ付けなかった強さはカタルシス満点であった。
「それが私だからだ……! お前の永い旅もここで終わらせる!! スペシウム・超・光・波ぁぁー!!!!!!」。
わずか40分とは思えない実に濃い作品であった。
オープニング曲は前田達也さんの『超闘士ウルトラマン』、エンディング曲は須藤ひとみさんの『do do la do』となっている。
漫画の原作と今回の脚本を担当した瑳川竜は三条陸さんのペンネーム。
三条さんは週刊少年ジャンプで『ダイの大冒険』の原作を担当し、その後も『ゲゲゲの鬼太郎』『仮面ライダーW』『獣電戦隊キョウリュウジャー』と多くのアニメや特撮作品の脚本を担当している。
監督のアミノテツローさんはウルトラシリーズは今回のみの参加となっている。
漫画の連載は1997年に一度終了しているがガシャポンは『ウルトラマン超闘士鎧伝』としてエンペラ星人編の後半とダークベンゼン編が展開され、2014年からはガシャポンのサイトで『ウルトラマン超闘士激伝 新章』として漫画連載が再開して最初の連載では実現しなかったエンペラ星人との決着が描かれた。