帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「地球生まれの宇宙怪獣」

「地球生まれの宇宙怪獣 ーザランガ ベビーザランガ登場ー
ウルトラマンコスモス』第27話
2002年1月5日放送(第27話)
脚本 前川淳
監督 市野龍一
特技監督 高野敏幸

 

宇宙怪獣ザランガ
身長 59m
体重 7万4千t
アヤノ隊員曰く、マグロ(本当はサケ)が卵を産む時に何万kmも海を泳いでくるのと同じように元気で丈夫な赤ちゃんを産む為に遠くの星から宇宙を旅してきた宇宙怪獣。出産時期が近付くと体温が急上昇して母子共に死亡する恐れがある為、体を冷やす為に海の惑星である地球を目指す習性がある。
アヤノ隊員曰く、妊娠すると炊き立てご飯の匂いが嫌いになるのと同じように火薬の匂いが嫌いで花火の匂いで目測を誤って海ではなく山岳地帯に落下してしまった。
EYESとコスモスの協力で無事に出産を終え、ベビーザランガと共に宇宙に飛び立っていった。
過去にも何度か地球に来た事があるらしく江戸時代の記録に残っている。

 

物語
宇宙から飛来してきた宇宙怪獣ザランガはなんと妊娠していた! どうする!?

 

感想
『T』を思わせるユニークな設定の怪獣ザランガが登場。地面に埋まったザランガを引き上げたり海に誘導しようとしたりするEYESの作戦もZATを思わせるものだった。
話も全体的にほのぼのとした雰囲気でゆる~くゆる~く物語が展開する。『コスモス』はこういう雰囲気の方が合っている気がするが、平成ウルトラシリーズは第2期や第3期に比べてはみ出したらいけない枠みたいなものがあって、こういうユニークな怪獣は少ない印象がある。

 

友達のお姉さんの赤ちゃんの写真に騒ぐアヤノ隊員に向かって「お姉さんの赤ちゃんと言う事はアヤノおばさんになったんだ」と告げ、宇宙怪獣が飛来して皆が緊迫する中でも妙に嬉しそうに微笑んだりと周りの空気などお構い無しに我が道を驀進する天然ムサシ。ある意味、凄い。

 

地球にやって来たザランガは地面に埋まるとお腹がつっかえて抜けなくなってしまい、EYESの引き上げが失敗するとムサシはヤレヤレと言った感じでコスモスに変身する。こんなに気の抜けた変身もそうそう無い。
ザランガを引き上げるが体勢を崩して押しつぶされ、さらに走って止まれなくなったザランガに突き飛ばされたりと今回のコスモスは散々。
怒るコスモスだったがそこにテックサンダーがやって来る。
シノブ「待ってコスモス! 攻撃しないで!」、
コスモス「What?」、
シノブ「おなかの中に赤ちゃんがいるの!」。
妊娠していると分かった途端にカラータイマーがいきなり超高速で点滅したのに笑うw
ところでシノブリーダーとの会話を見ると、コスモスは怒ってザランガを攻撃するつもりだったのかな? 慈愛のイメージがあるが意外とコスモスはキレやすい……。

 

結構出ているようで意外と登場していないイケヤマ管理官。
ムサシとドイガキ隊員がいるので怪獣の解説役は出番を作るのが難しいのかもしれない。

 

今日もアヤノ隊員は初心者マーク付き。隊長の責務として同乗したヒウラキャップは偉い。
いつもはフブキ隊員が操縦するテックサンダー1号に乗っているからかアヤノ隊員はフブキ隊員と同じサングラスをかけようとするがヒウラキャップに即効で止められてしまう。

 

万が一の場合に備えてザランガの事を周辺の住民に知らせていたのだと思うが立ち入り禁止区域であろう場所にあれだけの野次馬が入れたのは不自然。
無事に出産を終えて宇宙に帰っていくザランガ親子を見送って「チョーカワイイ!」「また来いよー!」と声援を送ったりと悪い人達ではないのだが、記念写真を撮ったりプラカードを掲げたり隊員に群がったり歓迎の花火を上げてザランガの誘導を邪魔してしまったりとかなり迷惑な人達だった。

 

赤く照らされたライトと焼ける草地の映像がザランガの高熱を上手く表現していた。

 

ウルトラシリーズが誕生して『コスモス』で35年。そろそろアイデアも出尽くしてきたかなと思いきやまだまだあると再認識させられた話であった。

 

今回の話は前川淳さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。