帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「滅亡への遊戯」

「滅亡への遊戯」
ウルトラマンZ』第24話
2020年12月12日放送(第24話)
脚本 吹原幸太
監督 田口清隆

 

どくろ怪獣レッドキング
身長 45m
体重 2万t
ウルトロイドゼロから卵を守ろうとするが自身が吸収されてしまう。

 

超合体怪獣ファイブキング
身長 75m
体重 5万5千t
ウルトロイドゼロをジャグラーに奪われない為にセレブロが変身した。
一度はゼッパンドンに敗れるがハルキを人質に取って逆転勝利を収める。

 

合体魔王獣ゼッパンドン
身長 60m
体重 4万5千t
ファイブキングと戦う為にジャグラーが変身した。
一度はファイブキングを倒すがハルキを人質に取られた為に敗れてしまった。

 

殲滅機甲獣デストルドス
身長 80m
体重 6万t
ウルトロイドゼロが怪獣達を吸収して変身した姿。
セレブロの「文明自滅ゲーム」のラスボスで「死と破壊の王」。
ゼットを倒し世界各地で破壊活動を始める。
名前の由来は「死(デス)」と「破壊(デストロイ)」と「王(ロード)」かな。

 

物語
自分の正体がトゲトゲ星人=ジャグラーであった事をハルキに明かしたヘビクラ隊長。
遂にジャグラーセレブロの目的が明かされ、「文明自滅ゲーム」のラスボスであるデストルドスが活動を開始する。

 

感想
ゼットとゼッパンドンジャグラー)とファイブキング(セレブロ)の三つ巴の戦いが面白い!
特に敵同士の戦いは高い実力を持つ者同士が戦う事が多く、又、どちらも主人公ではないのでどちらが勝つのか予想が難しく、結末が予想出来ない高レベルの戦いが繰り広げられるとして盛り上がる事が多い。
ヒーロー作品では敵組織の内紛や複数の組織による対立がある仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズと違ってウルトラシリーズだと敵同士の戦いは少ないので、珍しさもあって今回の話は一体どうなるのかドキドキであった。

 

ジャグラーの目的がセレブロが人類に作らせた最終兵器を横取りする事だと判明する。
横取りした最終兵器で地球を守るのではなくウルトラマン達を見返すつもりだった事からヘビクラ隊長は正義の人ではない事が明らかになった。『ガイア』の石室コマンダーのような謎を秘めた隊長や『ネクサス』の和倉隊長のように裏で何かと通じているのではと疑われた隊長は過去にいるが実際に目的が地球や人類の平和ではなかった隊長はヘビクラが初になるのかな。

 

「昔、大きな木を斬った事があってな。戦争を止める為。自分の正義を貫く為だったんだ。だが、全てを否定されたんだ。だから、その玩具がいるんだ。自分の正義が絶対だと思っている連中にその正義の危うさを味合わせる為にな」。
人それぞれに正義の形は違っているので時には違う形の正義が衝突する事がある。『オリジンサーガ』でのアスカとジャグラーがそうだったのだが、アスカの正義の危うさを証明する為にジャグラーが始めた計画が人造ウルトラマンとは……。ジャグラーは『ダイナ』時代のアスカを知らずに今回の計画を進めたのか、それとも知っていてあえて人造ウルトラマンを用意したのか……。

 

セレブロとの戦いでジャグラーのダークゼットライザーが壊れてしまう。
ウルトラシリーズの世界では巨人や巨大怪獣が闊歩しているので、それらに対抗するにはどうしても巨大な体が必要になる。ジャグラーは色々な力を手に入れるが結局最後は巨大な体を失ってしまう事になる。
ところでジャグラーの魔人態の力はどのようにして誕生したのか明言されていないが、もし戦士の頂が与えた力だとしたら、どうして巨大化能力を与えなかったのだろうか? グルジオに変身した女性達がいるのでウルトラマンでなくても巨大な体を持つ姿を与える事は可能だったはず。もし、ジャグラーの巨人へのコンプレックスを見抜いてあえて巨大な体は与えなかったとしたらさすがにジャグラーが気の毒になる。(でも、あの輪はそういう事しそうなイメージがある)

 

ユカによると地球は一個の大きな生命体でオーバーテクノロジーであるウルトロイドゼロは地球を破壊する可能性があるので地球はそれを拒絶して怪獣達は地球の意志に従って出現しているとの事。この展開は『ガイア』を思い出す。
宇宙人の技術が使われたキングジョーストレイジカスタムも異次元人の技術が使われたウルトロイドゼロも地球の技術ではない事に変わりが無いのにどうして前者はOKで後者はNGなのか疑問だったが、地球自身がジャッジした結果と知って納得出来た。おそらくだが、キングジョーストレイジカスタムによる被害はまだ地球自身がカバー出来るレベルなのだがウルトロイドゼロのD4による破壊は地球がカバー出来るレベルを超えてしまっているのだろう。自身で手に負えないレベルなので地球は異次元の技術を拒絶した。

 

ヘビクラ隊長がジャグラー魔人態に変身する映像を見せてクリヤマ長官は宇宙人がストレイジの隊長に成り代わっていたので他の隊員も本当は宇宙人が成り代わっている可能性があると告げる。
ウルトラシリーズでは『初代マン』の頃から宇宙人が地球人に変身して防衛組織に侵入して大きな被害を与える話があるのでクリヤマ長官の話を聞いたユウキ・マイが元ストレイジ隊員を宇宙人と考えて攻撃対象としてしまったのも無理は無い。

 

「いよいよだぁ。これまで色々な星で楽しんできたが、この瞬間はいつも興奮するよ。最高の景色だぞ。自分達で作り上げた兵器で滅んでいく愚かな者達の阿鼻叫喚は……」、
「文明を持つ星に恐怖を植え付け、防衛の為に次々と兵器を作らせる。そして最後は自らが作った最終兵器で文明そのものを滅亡させる。それを私はこう呼んでいる。「文明自滅ゲーム」」。
敵の目的がゲームだったと言うのはかなり昔からある展開だが今回はそれをウルトラシリーズで昔からある「血を吐きながら続けるマラソン」と合わせて「地球の武力を強化していくゲーム」としたのは上手いアレンジだと思った。

 

因みにクリヤマ長官の出番はここまで。出来れば最終回に正気に戻った元気な姿を見せてほしかった。
ツブイマで配信されている小説『擲命のデシジョン・ハイト ーストレイジ創設物語ー』に退役後の天下り先の話が出てくるが、ひょっとして、セレブロに寄生された時のアレコレで防衛軍に居づらくなって急いで天下り先を探さなくてはいけない状況になってしまったとかじゃないよな……。クリヤマ長官本人は良い人なのでなんとか幸せになってほしい。

 

セブンガーからウルトロイドゼロまで特空機はロボットとしてドンドン進化していったがセレブロに寄生されたヨウコ先輩が操縦しているウルトロイドゼロは機械的な動きが無くなってかなり生物っぽくなった。とは言え、普通の生物とは違う化け物じみた動きだが……。

 

個人的にセレブロに寄生されて狂気状態のヨウコ先輩がかなり好き。

 

ウルトロイドゼロは世界各地で休眠状態の怪獣を吸収していく。
吸収された怪獣はクレッセント、ダンカン、アーストロン、バードン、サタンビートル、マジャバとなっている。『G』のマジャバと言う中々マイナーな怪獣が出てきて驚く。
因みにこの後に吸収されるレッドキングを『初代マン』、ヤプールの技術が使われているD4を『A』とすると、ダンカンが『セブン』で、アーストロンが『帰マン』、バードンが『T』、サタンビートルが『レオ』、クレッセントが『80』、マジャバが『G』と『初代マン』から『G』までの実写作品から一体ずつ怪獣が選ばれている事になる。

 

ウルトロイドゼロが深間市のレッドキングを狙っている事を知ったハルキはゼットに変身する。この時のバコさんの「……そうか。行ってこい!」と見送る場面が良い。
ウルトラシリーズでは隊長が主人公の正体に気付く事が多いが『Z』では隊長がジャグラーなので代わりにバコさんが隊長の役割を担当した感じになるのかな。
隊長と隊員だと上司と部下の関係になるがバコさんはハルキの直接の上司ではないのでここでの二人のやりとりはこれまでの作品にあった隊長への正体バレとはちょっと違った雰囲気になっている。
物語を作る上で色々大変かもしれないが今回のバコさんのように特別チームのメンバー以外の人に正体がバレる展開がもう少し増えても面白いかなと思う。

 

デストルドスは様々な怪獣が合体していたり通り名が「死と破壊の王」だったりとゲーム大好きセレブロ厨二病感が溢れ出ていて実に良い。それぞれの怪獣を無造作にくっつけた生物の尊厳を気にしていなさそうなところも全てをゲームとして見ているセレブロらしさが出ている。
こうして見るとハルキやゼットが最初は子供っぽい印象があったが色々な事件を経て大人になったのに対し、セレブロは最後まで子供のままだったところがある。(そしてその間に立つジャグラー=ヘビクラ隊長はいつまでも昔の事を根に持って失敗を認められない子供の部分がジャグラーにあって、一方で組織の中で部下達の命を守る為に懸命に動く大人の部分がヘビクラ隊長にあった)

 

それにしても「守るべきもの」のレッドキングを再登場させて無残に死なせるスタッフはセレブロ以上に恐ろしい存在だと思う。

 

 

 

 

「ここから始まる」
ウルトラマンゼット&ウルトラマンゼロ ボイスドラマ』最終回
脚本 足木淳一郎
CG 渋谷怜央加
編集 坂口俊昭

 

いよいよボイスドラマも最終回。
ゼロのまさかの発言に自分もゼットと同じく「嘘でしょ!?」と声が出た。まぁ、本編との整合性を考えたらああならなければいけないんだけれど……。

 

最後のオープニング曲に乗せての振り返りが感動する。短い時間の作品であったが半年にわたってしっかりと物語を紡いできた事が分かる。
ウルトラシリーズはバトル作品の要素があるので戦いの無い回は作りにくいところがあったのでボイスドラマと言うヒーロー達の日常を描ける舞台を手に入れられたのはキャラクターを描くのに大きいと思う。

 

 

因みにゼットとゼロの組み手は『Z』の放送開始前のPVで見られる。まさか最後にここに繋がるとはなぁ。お見事でした。


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