帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「悪夢へのプレリュード」

「悪夢へのプレリュード」
ウルトラマンZ』第23話
2020年12月5日放送(第23話)
脚本 吹原幸太
監督 坂本浩一

 

オイル怪獣タッコング
身長 45m
体重 2万3千t
ウルトロイドゼロの存在を恐れてキングゲスラと共に鶴賀湾に出現した。
葛葉山に戦いの場を移した後、ベリアロクのデスシウムファングを受けて戦意を喪失した。

 

海獣キングゲスラ
身長 68m
体重 2万1千t
ウルトロイドゼロの存在を恐れてタッコングと共に鶴賀湾に出現した。
葛葉山に戦いの場を移した後、ベリアロクのデスシウムクローを受けて戦意を喪失した。

 

熔鉄怪獣デマーガ
身長 50m
体重 5万5千t
ウルトロイドゼロの存在を恐れて葛葉山に出現した。
数体がかりでウルトロイドゼロを追い詰めるが最後はD4レイで倒された。

 

古代怪獣ゴメス
身長 50m
体重 4万2千t
葛葉山にウルトロイドゼロが到着したので地底から出現した。
数体がかりでウルトロイドゼロを追い詰めるが最後はD4レイで倒された。

 

地底怪獣パゴス
身長 52m
体重 3万6千t
葛葉山にウルトロイドゼロが到着したので地底から出現した。
数体がかりでウルトロイドゼロを追い詰めるが最後はD4レイで倒された。
2020年の再挑戦」に登場した個体だろうか?

 

物語
ストレイジは解散になって特空機の運用は新設された第1特殊空挺機甲群が担当する事となった。
最強のロボット兵器である人造ウルトラマン「ウルトロイドゼロ」が完成するが、それに呼応するかのように地球の怪獣達が動き始める。

 

感想
いつまでもウルトラマンに頼ってばかりいてはいけないとして地球防衛軍は人造ウルトラマンを完成させる。『Z』の地球が『ダイナ』の地球と同じ道を歩んでいるのが興味深い。
『オリジンサーガ』でアスカと衝突したジャグラーは『Z』の地球が『ダイナ』の地球と同じ道を辿っている事をどう考えているのだろうか……?(そもそもジャグラーはアスカのこれまでの戦いをどこまで知っているのだろうか)

 

セブンガーに乗って戦っていた時に比べて今の警護の仕事は生きている感じがしないと語るハルキ。
ヒーロー作品の主人公は平和を望む人が多く、ウルトラシリーズでも『ティガ』のダイゴ、『ガイア』の我夢、『コスモス』のムサシ、『マックス』のカイト等は戦いが終わった日々を幸せに暮らしていたので、ハルキの「怪獣との戦いの日々を経験してしまったのでそれが無い日々は生きている感じがしなくなった」と言うのはかなり異色。
結果的にハルキは自分の意思でゼットと一緒に宇宙で戦い続ける事を選ぶ事になるので、『A』の北斗星司とエースのような悲壮感が生まれなくて済んだところがある。

 

ヨウコ先輩が腕相撲の勝負をする理由が明らかになる。
田口監督のメイン作品だと『X』のアスナも恋愛にファザーコンプレックス的な要素があったが、殆ど同じ感じの父娘関係をヒロインに設定するのは何か理由があるのかな?

 

セレブロに寄生されたクリヤマ長官はそれまでの気弱で人の良い感じとはまるで違うキャラクターになっていて、さすがは小倉久寛さん!となる演技力。

 

地球防衛軍が作ったウルトロイドゼロは何故かゼロがモチーフになっている。
『Z』の地球だとゼロはほんの少し現れたゼットの仲間くらいの認識だと思うのだが、おそらくウルトロイドゼロの開発にセレブロが関わってゼロをモチーフに選んだのだろう。(セレブロからしたらゼロは光の国を代表する戦士であるがゼットは無名の戦士となる)
因みに作中の事情を無視して考えるとウルトロイドゼロは「ウルトラマンゼロ10周年」なのでゼロモチーフのロボットになったと思われる。ゼロ10周年のトリが偽者登場で良いのか?とツッコみたくなるところはあるが。
因みにこれで特空機は怪獣ボールのセブンガー、カプセル怪獣のウインダム、強敵だったキングジョー、息子のゼロと全てセブン関係で統一される事となった。

 

タッコングとキングゲスラが一緒に海から出てくる場面は「タッコングと緑色の怪獣」と言う事で『帰マン』の「怪獣総進撃」を思い出す。

 

ゼットとタッコング&キングゲスラの戦いの舞台は海となった。
一昔前だと海はセットを組むのが大変なので難しいと言われていたので、定期的に水を使ったセットが出てくる事でウルトラシリーズの制作状況が良くなった事を感じる。
ぶっちゃけると『ジード』の「秘密基地へようこそ」を初めて見た時は水のある所で戦う意味がドラマ上無いのなら無理にやらなくても良いのではないかと思ったが、あそこでやったからこそ後に海が舞台となる話でちゃんと水を使ったセットが用意出来るようになったと考えると、やっぱりあれは大きな意味があったと言う事が分かった。

 

最初は敦賀湾と葛葉山で戦いが繰り広げられていたが最終的にゼットとウルトロイドゼロと怪獣達が葛葉山に集結する事になる。
キャラクター7体が一ヶ所で戦うのは実写のTVシリーズでは中々見られない。

 

戦意を喪失したタッコングとキングゲスラに追い打ちをしなかったゼットとハルキ。
守るべきもの」以降のハルキとゼットは地球に生息する怪獣の命は出来るだけ奪わないようにしている。

 

ウルトロイドゼロを恐れた地球怪獣達は恐怖から暴走状態になって普段以上の破壊力を発揮するようになっていた。
そう言えば昭和のウルトラシリーズも超獣が登場した『A』の次作である『T』で以前より強い怪獣が現れるようになったが、それも今回のように本来は地球にいるはずがない超獣が『A』で出てしまった為に『T』では地球怪獣達の破壊力が上がってしまったのかもしれない。

 

第1話の頃のセブンガーを思うと怪獣数体相手に戦えるウルトロイドゼロの戦闘力の高さに驚く。D4レイによる周辺への被害も抑えられるようになっているし。
パイロットが危険に陥る問題はまだ解決されていないが、『ゴジラ×メカゴジラ』の3式機龍のように遠隔操縦できるようになったら、もう人類はウルトラマンの手助けが無くても怪獣や宇宙人達と互角以上に戦えそうだ。

 

D4レイで怪獣達を倒したウルトロイドゼロだったが活動不能に陥ってしまう。パイロットのヨウコ先輩を助け出したゼットとハルキだったがそこにヘビクラ隊長が現れて……。

 

 

 

 

「採用試験②」
ウルトラマンゼット&ウルトラマンゼロ ボイスドラマ』第23回
脚本 足木淳一郎
CG 渋谷怜央加
編集 坂口俊昭

 

メビウスの説明で実技の採用試験の審査官は隊長格が務めるとしてゾフィ、メロス支部隊長、アウラ支部隊長の名前が挙がる。
ここで挙げられているアウラとは内山まもるさんの漫画『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス ジャッカル軍団大逆襲!!』に登場した女性のウルトラ戦士である。
アウラが挙げられているのでその前のメロスも『メロス』の方ではなくて内山まもるさんの『ザ・ウルトラマン』の方のメロスだと思われる。まさかの漫画キャラの登場に思わず声が出てしまった。
今回メビウスが登場しているが、アウラが『メビウス』の外伝漫画に登場している他、メビウスもゼットもアウラも「ウルトラ戦士の弟子」と言う共通点がある。こうして見るとウルトラの世界は少しずつ時代が進んで世代交代が行われていっている事を感じる。

 

ゼットの実技試験の試験官が実はゼロで「ゼット。お前に関しては宇宙警備隊の入隊試験だと思うな。お前が俺の弟子として相応しいか俺自身が見極める為の場だと思え」と告げるところはわずか数分のボイスドラマとは思えないほどの盛り上がりがあった。この辺りの描写の積み重ねはかなり上手かったと思う。

 

これまでのボイスドラマでのゼロは「ちょっと抜けているところがあるが気の良い頼れる兄ちゃん」と言う感じだったがさすがに決める時はバッチリ決めてくれる。
あの道から外れたような存在だったゼロが立派に試験官を務めるようになったのを見ると感慨深いものがある。2019年から2020年は「ウルトラマンゼロ10周年」であったが、10年の時間をかけたからこそ描ける成長を見る事が出来たと思う。

 

最終回へつづく