『ウルトラマントリガー エピソードZ』
2022年3月18日配信・公開
脚本 根元歳三
監督 武居正能
ウルトラマンゼット
オリジナル時 身長 2m~52m 体重 120kg~3万3千t
アルファエッジ時 身長 52m 体重 3万5千t
ベータスマッシュ時 身長 52m 体重 4万2千t
ガンマフューチャー時 身長 52m 体重 3万2千t
デルタライズクロー時 身長 52m 体重 3万7千t
脱走したセレブロを追って再び『トリガー』の地球にやって来た。
ハルキがセレブロに寄生された事で左目が赤くなる「レッドダメージ」となってトリガーと戦うが、ケンゴの説得を受けたハルキがセレブロを追い出した事で元に戻る事が出来た。
トリガーとトリガーダークと力を合わせてセレブロとザビルを倒した後はヒマリが捕獲したセレブロを連れて元の宇宙に帰った。
地底怪獣パゴス
身長 52m
体重 3万6千t
メガロゾーアとの戦いから2年後に横浜に現れた。
トキオカ隊長率いるGUTS-SELECTに撃退されて地底に逃げる。
その後、ライラーによって再び出現させられると次元を超えて現れたゼットと戦ってアルファエッジのゼスティウム光線で倒された。
「闇の支配者」でエタニティコアの暴走で避難を始めたパゴスがいたが同じ個体だったのかな?
変形怪獣ガゾート
身長 59m
体重 5万t
セレブロに寄生されたイブラをGUTS-SELECTが追跡するところに現れた。
スカイタイプのGUTSハイパーキーを飲み込んでいたがトリガーによって吐き出され、最後はスカイタイプの力を取り戻したトリガーに空中戦の末にサークルアームズのスカイアローで倒された。
破壊暴竜デスドラゴ
身長 66m
体重 6万t
ゲネガーグと共にガゾートを倒したトリガーの前に現れた。
ゲネガーグとタッグを組んでトリガー・パワータイプとゼット・ベータスマッシュのタッグと戦うが最後はデラシウム光流とゼスティウム光線を受けて倒された。
ゲネガーグ・デストルドス・セレブロを『Z』の宇宙から来た怪獣と考えるとデスドラゴは『トリガー』の地球の「始まりと終わりの怪獣」となる。
凶暴宇宙鮫ゲネガーグ
身長 67m
体重 6万t
デスドラゴと共にガゾートを倒したトリガーの前に現れた。
デスドラゴとタッグを組んでトリガー・パワータイプとゼット・ベータスマッシュのタッグと戦うが最後はデラシウム光流とゼスティウム光線を受けて倒された。
『ティガ』の「地の鮫」のゲオザークに当たる怪獣だったのかな?
殲滅機甲獣デストルドス
身長 80m
体重 6万t
再びライラーのイブラに寄生したセレブロが持ち出した怪獣。
特殊なカプセルの中に収められたデストルドスの怪獣メダルを使ってセレブロが変身した。
D4レイは使わないがゼットとトリガーダークを寄せ付けない強さを発揮する。
グリッタートリガーエタニティのグリッターブレードで斬られた後にGUTS-SELECTの攻撃を受け、最後はゼット・デルタライズクローのデスシウムスラッシュとトリガーダークのダークゼペリオン光線を受けて倒された。
寄生生物セレブロ
身長 1m
体重 12kg
宇宙の寄生生物で色んな星の人類に寄生して恐怖を植え付け次々と兵器を作らせ自滅させる「文明自滅ゲーム」と言う嫌なゲームをする奴。
ストレイジに捕まって生態調査されていたが逃げてライラーのイブラに寄生する。
実はライラーとは協力関係にあってハルキに寄生する事でゼットの肉体を手に入れる。
ケンゴの説得を受けたハルキの肉体から追い出されると再びイブラに寄生して怪獣メダルを使ってデストルドスに変身するが最後はウルトラマン達とGUTS-SELECTの前に敗れ、ヒマリに捕獲されてハルキに引き渡された。
イーヴィルトリガー
身長 54m
体重 4万4千t
超古代の地球星警護団の科学者ザビルがトリガーのGUTSハイパーキーの光を注入した超古代のスパークレンスで変身した姿。
元々は光の巨人であったが闇が強くなっていき暴走していく。
トリガーの光を吸収してさらに巨大化していくが最後はグリッタートリガーエタニティのグリッターゼペリオン光線、ゼット・デルタライズクローのゼスティウム光線、トリガーダークのダークゼペリオン光線を受けて倒された。
戦いの後、元に戻ったザビルはケンゴとユナとGUTS-SELECTの仲間達を見てかつての自分の仲間達を思い出しながら消滅した。
物語
ケンゴによってエタニティコアの暴走は鎮められて怪獣の出現も収まったが謎の集団「ライラー」の出現と前後して再び怪獣が出現するようになった。
捕らえたライラーによってケンゴが消滅の危機にある事を知ったトキオカ隊長率いるGUTS-SELECTはエタニティコアからケンゴを救出する事を決める。
感想
『セブンガーファイト』『ナースデッセイ開発秘話』等と同じ「TSUBURAYA IMAGINATION」のオリジナルコンテンツ。
当初は配信企画だったが劇場公開が決定してツブイマ配信と劇場公開が同時に行われる事となった。
時代設定がTVシリーズの2年後なのは『ティガ』の『THE FINAL ODYSSEY』がTVシリーズの2年後だった事を踏まえていると思われる。
パゴスが現れた場所は横浜との事。
ウルトラシリーズで横浜と言えばティガが再登場した『超ウルトラ8兄弟』がある。
パゴスを撃退するGUTS-SELECT。
アキトの能力がチートで、さらに宇宙人達から技術を供与されているだけあって、ウルトラマン不在でも怪獣を撃退出来るようになった。
トキオカ隊長が扱う大型のランチャーでGUTS-SELECTの装備がさらに強化された事が分かる。
タツミ隊長が情報局に異動になり、超古代文明のエキスパートで超古代のスパークレンスを発見した科学者トキオカがGUTS-SELECTの新たな隊長となった。
隊長が情報局に異動になるのは『ティガ』『ダイナ』と同じだが、『ダイナ』では警務局出身のヒビキが新しい隊長になったのに対し、『トリガー』は学者のトキオカが隊長となった。
トキオカ隊長はアキトの先生でシズマ会長の右腕との事。
闇の巨人との戦いを経てシズマ会長の権力がさらに増した事が分かる。
組織があまりにも大きくなると色々と不安が出てくるがシズマ会長が優秀で立派な人物なので『トリガー』ではそのような心配は無い。(ただ、シズマ会長個人の力が強すぎるので彼がいなくなった後のシズマ財団やTPUがどうなるかはちょっと怖いが)
世界各国の超古代の遺跡に「ライラー」と名乗る侵入者が現れる。
ライラーは超古代文明を崇拝して、その力を利用して世界を自分達の理想郷に作り変えようとしているとの事。
『ティガ』では意外と超古代に関わる人物は少なく、今回のライラーも『ティガ』より『パワード』の「闇からの使者」に登場した「太陽の民」に近いところがあった。
ライラーは「笑顔の為に」に登場した怪獣を誘導する装置によく似た信号を発するもので怪獣を出現させていた。と言う事は、やはり超古代人は怪獣を扱っていたと言う事なのかな。(『ティガ』の「影を継ぐもの」のガーディーを思い出すが、機械を使って怪獣を操ると言う事はガーディーの時のような怪獣との信頼関係は無さそう)
タツミ隊長はGUTS-SELECTと言うTV出演もする表の組織より今回のような秘密裏に動く影のチームの方が合っている感じがした。
ケンゴもユナも力が弱まって普通の人間として暮らせる日が来るのかもしれないと言う話題が出る。その後もトキオカ隊長がケンゴにトリガーに変身出来なくなったらこれから一人の人間としてどうやって生きていくつもりなのかと尋ねているが結局のところそれらの話は実現しなかった。『ガイア』から『マックス』までの一つの作品で全ての物語が完結していた頃ならあり得た話だったのかな。
捕らえられたライラーの一人はこのままではトリガーはエタニティコアと同化して永遠に失われてしまうとして、光を増幅する超古代のスパークレンスを使ってトリガーに力を与えなければいけないと訴える。
ライラーのような「ウルトラマンを崇める集団」と言うのは今までありそうで意外と無かった。でも、あのような全てを解決出来る巨人が存在したらこのような集団が現れてもおかしくはない。
GUTSファルコンを「ファルコンちゃん」と呼ぶヒマリは人工衛星ソウルの事を「ソウルくん」と呼ぶ。GUTSファルコンだけでなく機械全般を人間のように扱う人だったのかな。因みに後の『ブレーザー』でもヤスノブが機械に「アーくん」「モッピー」「クルル」と言う愛称を付けて呼んでいる。
「笑顔を信じるものたちへ」ではエタニティコアに消えたケンゴはいつか帰ってくると言う感じだったが今回の話だとケンゴはあのままではエタニティコアと同化して消える可能性があったし、ケンゴ単独でエタニティコアから脱出するのも難しい感じであった。そうなると「笑顔を信じるものたちへ」での別れの場面はこれが永遠の別れになる事をケンゴはどこか感じていた可能性がある。この辺りは『ティガ』と言うより『ダイナ』の最終回に近いかな。
アキトはケンゴが帰ってくるまで「ウザいと言わない」と言う願掛けをしていたらしい。
知識や科学を重視しているアキトが「願掛け」をしていたと言う微笑ましいエピソードであるが、アキトの知識と科学を持ってしてもケンゴをエタニティコアから助け出す方法が見付けられなくて願掛けと言う精神的なものに縋るしかなかったとも考えられる。
トキオカ隊長との話でケンゴは「僕の中には光もあって、闇もあって……。ただの人間だって気付いたんです。だから、人間として出来る事をやろうって」と語る。
『ティガ』の「影を継ぐもの」でもダイゴが「僕は特別な人間なんかじゃない……。だけど、僕は自分の出来る事をする」とマサキ・ケイゴに語る場面がある。
ケンゴもダイゴも「ただの人間」「特別な人間じゃない」と言っているが、ケンゴが光の化身から光と闇を持つただの人間になったのに対してダイゴは特別な人間じゃなかった男がウルトラマンの力を得たとなっていて、ケンゴの「ただの人間」がゴールであるのに対してダイゴの「特別な人間なんかじゃない」はスタートであると言う大きな違いがある。
光の化身だったケンゴが闇も持つ人間になったと言うのは面白いのだが劇中でケンゴの闇の部分が描かれていたかとなると弱かったと思う。
『トリガー』で光の巨人トリガーと闇の巨人トリガーダークと分けたのは光と闇を描く上で分かりやすかったが結果としてケンゴは光のイメージが強くなってしまって闇も持っていると言う部分をあまり描けなかった感じがする。
『Z』の「遙かに輝く戦士たち」でストレイジに捕らえられたセレブロが逃げてしまう。ジャグラーは「コンテニューは無しだ」と言っていたが、『Z』の地球の文明はセレブロがコントロールして引き上げていたものなので、ジャグラーとゼットがいない状態でセレブロを捕らえ続けるのは難しかったようだ。
ケンゴがまだ特別チームの隊員としての戦闘経験が少なくて頼りない一方でハルキはさすがの頼もしさ。何だかんだ言ってどの主人公も次の作品になると頼りがいが出てくる。
お化け屋敷でお化けにビビるアキトに笑う。そしてユナが意外と何とも無いのもおかしい。
ユナに「奥を見てきて」と言われた時のアキトの「何で?」が他の話では絶対に聞けないトーンでツボにハマった。
トリガーは第1話の時点でタイプチェンジが出来ていたのでどのような相手が出ても対応出来たのだが、今回は最初はタイプチェンジが出来なかったのでガゾート相手にはスピードで、ゲネガーグ相手にはパワーで苦戦を強いられた。
トリガー・パワータイプ&ゼット・ベータスマッシュVSゲネガーグ&デスドラゴはテロップまで付けたプロレス演出となった。ここまで徹底するのなら決着もプロレスの技にしてほしかったところ。(まぁ、プロレスラーには炎や雷を扱える人もいるけれど)
今回のセレブロの目的はハルキに寄生する事でウルトラマンであるゼットの力を扱えるようになる事。
前回の文明自滅ゲームはウルトラマンの存在によって失敗に終わったところがあるので今回はウルトラマンの力を得ようとするのは分かる。だが、これはセレブロのゲームの内容である「その星の人間を自滅に追い込む」とは違うので、この選択をした時点でセレブロはゲーマーとしては敗北していると言える。
映画なので仕方が無いところはあるが「トキオカ隊長が死んだ!?」から3分くらいで「トキオカ隊長は生きていた!?」になるのはさすがにもう少し溜めと言うものを……とツッコみたくなる。
トキオカ隊長の正体は超古代でユザレと共に戦っていた地球星警護団の科学者ザビルであった。
ここから話はザビルを中心にしたものとなり、今回のタイトルである『エピソードZ』が「ゼットのエピソード」ではなく「ザビルのエピソード」と言う意味であった事が分かる。
ザビルは闇に対抗する為に神器を使って光を手に入れようとしたが間に合わなくてユザレを消滅させてしまった。しかも、地球星警護団では勝つ事が出来なかった闇の巨人達を光になったトリガーは簡単に封印してしまった。この事からザビルが出した結論は「我々自身が光となれば良い」であった。
今回の話はイーヴィル登場編なので『ティガ』の「影を継ぐもの」に通じる部分が多々あるが、マサキ・ケイゴが滅びの闇を回避すると言う「未来」を見ての人間のウルトラマン化計画だったのに対し、ザビルは超古代で人間の力では闇の勢力に対抗出来なかったと言う「過去」を見ての人間のウルトラマン化計画となっている。
ザビルは現代の人間トキオカとしてシズマ会長に近付き、復活したトリガーに闇の巨人を倒させてエタニティコアを安定させた後に光を奪う計画を立てる。
ザビルの話を聞くとシズマ会長が作ったシズマ財団やTPUが無かったら計画を進めるのが難しかった感じ。3000万年前から存在しているのなら地球を裏から動かすほどの権力を手にしててもおかしくないのだが、ライラーがそれほど大きい規模の組織ではなかった事を考えると一度文明が滅びた事でザビル達の勢力はかなり弱いものになった可能性がある。
シズマ会長は『ティガ』での戦いで、ザビルは超古代の戦いで、トリガーと言う光の巨人の凄さを目の当たりにしているのだが、そこからシズマ会長はトリガーに世界の命運を託そうとして、ザビルはトリガーから世界の命運を自分達の手に取り戻そうとしてと真逆の考えを持つに至った。
ザビルの「君では駄目なんだよ、マナカ・ケンゴォ!! どれだけ人間の振りをしても所詮君は光の化身、人間ではない! 人間が光となり、自らの力でこの星を守れるようにならなければ意味が無いのだ!!」はウルトラシリーズで度々取り上げられる話。
トリガーの光を得て変身したザビルはイーヴィルトリガーとなる。
『ティガ』のイーヴィルティガは実はティガとは無関係の存在なのだがイーヴィルトリガーはちゃんと「悪になったトリガー」であった。
『ティガ』と『トリガー』はあえて違ったり逆の展開になっている事が多い。
全体の流れをざっとまとめると、
『ティガ』…イーヴィル誕生→ギジェラの花が咲く→ルルイエ発見→邪神復活→皆で記念写真→闇の巨人復活→主人公が火星で植物を育てる
『トリガー』…主人公が火星で植物を育てる→闇の巨人復活→皆で記念写真→邪神誕生→ルルイエの花が咲く→イーヴィル誕生
となっている。
イーヴィルトリガーとトリガーダークの戦い。
イグニスが変身するトリガーダークはトリガーの闇の部分から誕生したのだが光側の存在となり、ザビルが変身するイーヴィルトリガーはトリガーの光から誕生したのに闇側の存在となった。
ナースデッセイ号を捕まえて振り回して地面に叩き付けるイーヴィルトリガー。
GUTS-SELECTはナースデッセイ号を拠点にしていたのでこれもウルトラシリーズ恒例のクライマックスでの基地の危機になる。
ライラーのバリアーを乗り越えてGUTSスパークレンスを取り戻すケンゴとアキト。
ユザレを守る為にトリガーに変身しようとGUTSスパークレンスを作ったが変身出来なかったアキトと超古代でスパークレンスを作るもユザレが消滅して変身の機会を失ってしまったザビルは似た者同士と言える。もし初期のアキトがユナを失ったらザビルと同じようにケンゴから光を手に入れようとしていた可能性はある。そう考えるとザビルはアキトのIFの姿と言える。
こうして見るとザビルが変身するイーヴィルトリガーは「人間が巨人になった」「光の巨人から闇の巨人になった」がケンゴの「闇の巨人から光の巨人になった」「巨人から人間になった」と対になっていて、「ユザレを守れる力を欲し、トリガーと敵対して、自ら巨人になった」がアキトの「ユナを守れる力を欲したがトリガーとは敵対せず自ら巨人になる事も無かった」と対になっていて、「人々を守る為に巨人の力を欲したが結果的に街を破壊する存在になった」がイグニスの「憎い奴を殺す為に巨人の力を欲したが結果的に街を守る存在になった」と対になっていて、ケンゴ、アキト、イグニスの影である事が分かる。
ナースデッセイ号を失ったGUTS-SELECTが武器を持って自ら戦いに向かうのは『ダイナ』の『光の星の戦士たち』を思い出す。
『トリガー』は『ティガ』だけでなく『ダイナ』の要素もかなりあって今回のザビルの考えも『ティガ』のマサキ・ケイゴの他に『ダイナ』のゴンドウ参謀に通じるところがある。
今回協力したザビルとセレブロ。
ザビルはトリガー、セレブロはゼットとそれぞれウルトラマンの力を狙っていたわけだが、その他にもザビルは3000万年前に、セレブロはデストルドスの時に、一度ゲームオーバーとなっているのに本人だけは諦められなくてコンテニューをしたと言う共通点がある。
セレブロに寄生されたハルキをケンゴが説得し、仲間の事を思ってハルキはセレブロを自分の体から追い出す事に成功する。
『Z』の「遙かに輝く戦士たち」でもハルキとヨウコ先輩の心の中のやりとりの後でセレブロがヨウコ先輩の体から出ていく場面があるが今回はよりストレートに「人間の心がセレブロの寄生能力を打ち破る」を描いている。
トリガーに変身するも苦戦を強いられるケンゴをGUTS-SELECTが援護する。
アキト「お前が皆を笑顔にしたいと言うなら、俺は、俺達がお前を笑顔にしてやる!」。
GUTS-SELECTの仲間達の援護を受けたケンゴは立ち上がってザビルに告げる。
ケンゴ「何故トリガーは僕を人の形で生み出したのか。どんな強い光も一人では輝けないんだ! 誰かがそばにいてくれないと。だから、僕は人間として生まれた! ウルトラマンになれるだけのただの人間なんだ!」。
「ウルトラマンは光」だが「ウルトラマン一人では輝けない」として「人間がそばにいるからウルトラマンは光り輝ける」だから「ウルトラマンは人間と共にいる事を選んだ」はこれまであったウルトラマンと人間の関係をかなり明確にシンプルに説明したものであった。
そしてユナから送られたエタニティコアの力を得てケンゴは再びグリッタートリガーエタニティとなる。
イーヴィルトリガーに変身したザビルはやたらと「光よぉ!!」と叫んでいたが、その言葉とは裏腹に闇がどんどん強くなっていった。
ザビルにも地球星警護団やライラーと言った仲間はいたし、GUTS-SELECTとも良好な関係を築いていたし、セレブロと言う協力者も得ていたのだが、残念ながら彼の光は輝く事は無かった。
回想シーンでは地球星警護団の仲間と良い関係だったようだしGUTS-SELECTの仲間からの信頼も厚かったので、ザビルがもう少し仲間の方に目を向けていたら、ひょっとしたらケンゴのようにそばにいる人達によって彼の光が強く輝いていたかもしれない。
戦いが終わった後、ヒマリはいち早く動いてセレブロを見事確保する。
同じゲーム好きとしてセレブロの思考を先読み出来たのかな。
セレブロを確保したハルキと戦いを終えたイグニスは地球を去る事に。
ゼットが去る時の「Z」の文字を手伝ってくれるところにイグニスの人の良さが見える。
今回の話ではTVシリーズよりヒマリとテッシンが目立って活躍していたところがある。
おそらくだがGUTS-SELECTは「ケンゴの秘密を知って隠し事が無くなったところから本当の意味での仲間になる」となっていたのだと思われる。なのでTVシリーズの序盤でアキト、中盤でユナ、終盤でタツミ隊長、今回の話でヒマリとテッシンとマルゥルがケンゴと本当の意味での仲間となったと言える。
シズマ「人は誰でも光になれる。だが、一人では輝けないのかもしれないなぁ……。人と人とを結ぶ心。これが、光だ」。
思えば『ティガ』のサナダ・リョウスケやマサキ・ケイゴや『ダイナ』のグランスフィア等、人と人とを結ぶ心が弱いものは光ではなく闇になる感じがする。
ケンゴは第1話の時点では火星の研究所で周りに人がたくさんいるのに一人で花に向かって喋り続けると言う孤独なキャラクターだったが色々な戦いを経てGUTS-SELECTと言う仲間を得て、それと共にウルトラマンとしての光も強くなっていった。
初めて変身した時からケンゴは「皆の笑顔の為に」と言って自分は笑顔を失う人物だった。途中、リブットにその辺りを指摘された事もあったが、結局は皆の笑顔の為にエタニティコアに消えてTVシリーズのラストシーンでは皆の笑顔を願ったケンゴ自身は笑顔ではなくなっていた。
なので、今回の話で皆を笑顔にするケンゴをGUTS-SELECTが笑顔にすると言う展開は良かった。今回の話でTVシリーズの第1話でケンゴに感じた不穏なものがようやく払拭された感じがする。
「僕はマナカ・ケンゴ。僕は光で闇。ウルトラマンで人間。これからもここで生きていく。僕を笑顔にしてくれる皆と一緒に!」。
今回の主題歌はTVシリーズの後期エンディング『明日見る者たち』を歌ったケンゴ役の寺坂頼我さん、ユナ役の豊田ルナさん、アキト役の金子隼也さんによる『Believer』。明るく前向きな雰囲気が今回のエンディングに合っていた。