帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「黙示録 -アポカリプス-」

Episode18 黙示録 -アポカリプス-」
ウルトラマンネクサス』第18話
2005年2月5日放送(第18話)
脚本 長谷川圭一
監督・特技監督 八木毅

 

ダークメフィスト
身長 50m
体重 5万t
一年前に人間を殺してビーストヒューマンとして操っていた。
溝呂木の前に姿を現すと「お前の影」「お前の望む真の姿」と語って溝呂木と同化する。

 

フィンディッシュタイプビーストガルベロス
身長 52m
体重 3万9千t
溝呂木に召喚されてダークフィールドに現れた。
両肩から生えた頭の眼から赤い光を発して前回の戦いで傷付けたネクサスの左腕にダメージを与える。
溝呂木が展開するバリアーに守られていたが、溝呂木が西条副隊長に倒されてバリアーが消えたところを孤門と和倉隊長からの攻撃を受けて最後はネクサスのオーバーレイ・シュトロームで倒された。

 

インセクティボラタイプビーストラクネア
身長 2m~13m
体重 300kg~7500t
一年前にナイトレイダーによって殲滅されたビースト。
名前の由来はギリシア神話に登場する蜘蛛に変えられた女性「アラクネ」かな。
肩書きの「インセクティボラ」は「昆虫を食べる生き物」と言う意味。
『ネオス』のザム星人、『コスモス』のヤマワラワ、アルケラ、カオスダークネスの着ぐるみを合わせて改造している。

 

アンフィビアタイプビーストフログロス
体長 10m
体重 8千t
一年前にナイトレイダーによって殲滅されたビースト。
体内の油を気化させた火球を放つ。
名前の由来は「フロッグ(蛙)」かな。
肩書きの「アンフィビア」は「両生類」と言う意味。
『ガイア』のボクラグと『コスモス』のタブリスの着ぐるみを合わせて改造している。

 

物語
溝呂木との決着を付けるべく動き出す西条副隊長とそれを連れ戻しに向かう孤門と和倉隊長。
西条副隊長と和倉隊長は溝呂木との出来事を振り返りながら一年前に溝呂木と道が別れる事になった場所へと辿り着く。

 

感想
闇と向き合う為に溝呂木に会いに向かった西条副隊長。その真意を察した和倉隊長も自分の闇と向き合う為に西条副隊長を連れ戻しに行く。しかし、それは上の命令に逆らうと言うかつて闇を覗き込んでしまったが故に犯してしまった行為の再現でもあった。
ところが松永管理官は孤門に和倉隊長に同行するようにと命令を下した。命令違反を犯そうとした和倉隊長を新たな命令で縛ると言うのが面白い。(そして松永管理官が命令を下したと言う状況になったおかげで孤門と和倉隊長はチェスターを使用する事が出来た)

 

あれっだけ色々ありながら西条副隊長の事を「闇の力に屈しそうになった自分を救ってくれた恩人」と言える孤門は何か凄い。

 

蚊帳の外に置かれた石堀隊員と平木隊員。
マニキュアを見せる平木隊員とそれに対して反応がイマイチな石堀隊員のやりとりがリアル。この時は一般人代表みたいな感じがあった。
興味深いのはやはりアナザーユニットの話であろう。当初は『てれびくん』の誌面企画と連動して「レッドトルーパー」と言う赤を基調としたチームが登場する予定だったらしい。主人公以外のチームが登場するのは珍しいので是非とも出してほしかった。

 

過去編では溝呂木に対して「はい!」と返す西条副隊長の声が可愛い。そして似合わないw

 

西条副隊長が入隊してしばらくの間は溝呂木は和倉隊長にバックアップを頼んだりと意外とチームプレーが出来ていた。それが独断専行するようになったのはいつ頃からなのだろうか……?

 

和倉隊長が感じた溝呂木と西条副隊長と孤門に共通している点だが、溝呂木はビーストと戦う理由を死ぬのが怖いから自分が倒される前にビーストを倒すと説明していて、西条副隊長は大切な人を殺したビーストに復讐する為にビーストと戦っていると説明している。そして孤門もビーストに恐怖心を抱いたり復讐心で戦ったりしていた時期があったので、「恐怖」や「復讐」と言った負の感情が闇に付け入れられるところだと考えられる。

 

死ぬのが怖いと吐露したりとメフィストと同化する前の溝呂木はれっきとした人間であった。今回も西条副隊長に付きまとう中で人間らしい弱さを垣間見せる時があった。それでは孤門を狙っていた時の非人道的な部分は一体どこから出てきたのだろうか?
ひょっとしたらメフィストが指摘した「溝呂木はビーストを殺す事を楽しんでいる」を暴走させた結果、全ての生物を殺すのを楽しむようになってしまったのかもしれない。
それとも他人の死を司る事で自分は死をも支配できる存在だと認識して死の恐怖を忘却しようとしていたのだろうか……?
憐編での闇の力を失った溝呂木を見ると、メフォストとの同化で心の中の闇を暴走させてしまったが、本当の溝呂木は弱くてその弱さ故に虚勢を張るれっきとした人間だった事が分かる。

 

「ビーストを殺すのを楽しんでいる」「強き者が生き残る」「力こそ真実」と溝呂木の前に姿を現したメフィストは溝呂木の声で溝呂木に向かって語りかける。ここは無言であったネクサスと対照的であった。
この時のメフィストの言葉はメフィスト自身のものだったのか、それとも溝呂木の心の声が闇に映されたものだったのか……。溝呂木が「砕け散れ」の言葉と共にディバイトランチャーを撃ってもメフィストは溝呂木の前に在り続けた。
溝呂木はかつて姫矢が見たのと同じ遺跡の夢を見ていた。これはネクサスが溝呂木と同化しようとしていたのをメフィストが妨害したのか、それともメフィストもネクサスと同じような遺跡の夢を持っていたのか……。

 

メフィストを受け入れた溝呂木は既に死んでいるビーストヒューマンではあるが人間に向けてディバイトランチャーの引き金を躊躇無く引く。「あばよ、人間ども」と言う言葉は溝呂木が脆弱でやがて淘汰されてしまう卑しい存在と決別した証であった。
そして現在、溝呂木はディバイトランチャーで撃たれてもバリアーを展開して生身で防ぎ、ダークフィールドを展開して指先一つでビーストを召喚できる程の人間離れした存在となった。
この溝呂木を止める事が出来るのはネクサスの光を持つ姫矢だけであった。

 

姫矢の存在を訝しがる和倉隊長に向かって孤門があっさりとネクサスの正体だと教えたのには驚いてしまった。和倉隊長なら信頼できると思ったのだろうが、もう少し考えて発言しなさいよとツッコみたくなる。

 

人間状態のままでダークフィールドを展開する溝呂木がカッコ良くて密かに気に入っている場面。

 

油断していた溝呂木を真後ろからディバイトランチャーで撃ち抜く西条副隊長。
溝呂木「凪、何故お前が?」、
西条「何故? 決まっているでしょう。ビーストは全て私の敵だからよ」。
溝呂木の目的は「生き残る事」だったので西条副隊長を仲間にして一緒に生き残りたかったのだろうが、西条副隊長の目的はあくまで「ビーストを倒す事」だったので人間を捨ててビーストと同じとなった溝呂木は既に倒すべき敵であった。
この西条副隊長のブレない強さは溝呂木にとっては憧れだったのかもしれず、溝呂木は「最高だぜ、凪」と言う言葉と共に姿を消すのであった。
西条副隊長の目的はビーストを倒す事なので、自分達の味方かどうかよりビーストである事が大事なので、もはや敵ではないと分かっているネクサス=姫矢に向かってもディバイトランチャーを構えるのだった。
正直言うと最初に見た時は西条副隊長の強烈なキャラクターはあまり好きではなかったが、ここまでブレずにそれを貫き通すと好き嫌いを超えた感動すら覚えた。