帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「要撃戦 -クロスフェーズ・トラップ-」

Episode19 要撃戦 -クロスフェーズ・トラップ-」
ウルトラマンネクサス』第19話
2005年2月12日放送(第19話)
脚本 赤星政尚
監督 阿部雄一
特技監督 菊地雄一

 

インビジブルタイプビーストゴルゴレム
身長 55m
体重 5万t
位相間移動能力を備えている為に姿を認識できても攻撃できない。
光線を放ち、口吻を伸ばして打撃を与える。
クロスフェーズ・トラップで背中に生えているクリスタル状の制御器官を破壊されるが……。
名前の由来は「ゴルゴン」「ゴーレム」と言った土や石に関係する怪物達かな。
肩書きの「インビジブル」は「目に見えない」と言う意味。

 

物語
位相間移動能力を備えるゴルゴレムを迎撃する為にナイトレイダーはクロスフェーズ・トラップによる要撃戦を展開する。
一方、グラビア撮影に来ていた保呂草達は倒れている姫矢を発見する。

 

感想
姫矢をビーストとして敵視する西条副隊長と敵ではないと判断する孤門と和倉隊長。
西条副隊長は過去の人型ビースト、溝呂木、姫矢を最初に人間の姿を見てその後に人外に変身する場面を見ている。つまり「人間だと思ったら化け物になった」と言う流れになっている。なので西条副隊長の中ではこの3人は同じ化け物となっている。
一方、孤門と和倉隊長は最初に巨人を見てその後に姫矢を見ている。つまりこちらは「人外だと思ったら実は人間だった」と言う流れになっている。
そんな孤門と和倉隊長も溝呂木に関しては最初に人間の姿を見てその後に人外に変身する場面を見ているので西条副隊長と同じように「人間から化け物になった」と言う認識で動いている。なので孤門と和倉隊長も溝呂木に向けてディバイトランチャーを構える事には躊躇が無い。

 

「隊長にウルトラマンの事を知られた時、不思議と不安は無かった」。
……隊長にウルトラマンの事を教えたのはあなたじゃなかったっけ?

 

和倉隊長に一緒に戦わないかと誘われた姫矢だったがTLTと言う組織を信用していないとして断る。
今まで色々とあったのに加えて根来からTLTと言う組織の不透明さを聞いていたのも影響しているかもしれない。

 

和倉隊長に「自分達の戦う目的は同じはず」と説得された姫矢は「ならば教えてくれ。俺の目的を」と返す。
以前の溝呂木との会話で姫矢は自分が戦う目的を「自分が得た光の意味を探し続ける」と語っていた。実を言うと姫矢は光の意味についてもある程度の答えが出ていたのだが、それでもこのような問いかけをするところを見るとまだ迷いがあるようだ。
姫矢がそんな迷いを振り切って真の光の意味を見出すのは「英雄 -ヒーロー-」での最終決戦まで待たねばならない。

 

ゴルゴレムは口吻を伸ばしてネクサスがダメージを負った左腕を執拗に攻撃する。
ガルベロスの戦いの情報をゴルゴレムが有していると言う事は表に出ていないだけで今回も裏で溝呂木がゴルゴレムを操っていたのかもしれない。

 

左腕にダメージを負ったままのネクサスを見て西条副隊長は傷が癒えていない事に驚く。
いくら何でも数十分で傷は癒えないと思うが、苦しむネクサスを見て西条副隊長はネクサスも自分達と同じように苦しむ人間であると認識するようになる。

 

左腕のダメージと連戦によるエネルギーの消耗で遂にネクサスはメタフィールドを維持できなくなってしまう。ストーンフリューゲルも動作不良を起こして墜落してしまい、姫矢の傷の回復も遅くなってしまった。
それにしてもガルベロスがネクサスの左腕に負わせた傷は呪いでもかけたのか?と言うほどにネクサスを苦しめ続けた。

 

位相間移動能力を備えるゴルゴレムに対して位相を跨いだ罠・クロスフェーズ・トラップを展開するナイトレイダー。
設備を配置して怪獣を待ち伏せする展開が往年の怪獣作戦を思わせて心躍る。
確実に相手を罠にかける為に進路上にある街に避難勧告を行わなかったので絶対に失敗が許されないと言う『ネクサス』ならではの設定を使って緊迫感が盛り上げられた。
今回は一般人から特別チームの作戦運用を見る構図もあって、その大規模さがより伝わってきた。歴代ウルトラシリーズの対怪獣戦の中でも屈指の出来だったと言える。
CGを使った作戦説明も分かりやすかったが、温泉街に泊まっていた人々を吉良沢がナイトレイダーに秘密で囮にしていたと言うのが分かり難かったのがちょっと残念。

 

スキャニングパルスの放射限界時間はたったの180秒で、その間に成功させなければいけない。
でも、ウルトラマンはいつもこの180秒の間に戦いを終えている。3分と言うのはやはり短いなと感じる。

 

ゴルゴレムに攻撃された時にメガキャノンチェスターがピョーンと真上に飛んだのはあまりの意外さに思わず笑ってしまったw

 

根来が三度の登場。たまたま入ったラーメン店で近くにいた客の何気無い会話からビースト事件に関わるのはややご都合的な感じが否めないが、こういう細かい点でも気になったら首を突っ込んでいかないと真実には辿り着けないのであろう。

 

今までは得体の知れない底の知れない雰囲気をまとっていた松永管理官だが今回はクロスフェーズ・トラップ遂行の為に各機関との交渉に奔走して疲労を隠せなかったり、一部の人を危険にさらす吉良沢の作戦に不快感を示したりと人間らしさが垣間見えた。

 

セラの写真を撮った事で姫矢は目的を失ったが、その写真を見て保呂草は目的を見付ける。
そしてナイトレイダーとゴルゴレムの戦いを目撃した保呂草はかつての姫矢のように追いすがる七夏達を振り切って真実を伝える為に写真を撮り続けるが、その結末は保呂草自身の死であった。
姫矢の時は追いすがったセラが命を落としたが、この時もセラではなくて姫矢が命を落とす可能性があった。セラが死んで姫矢は生き残った。そこに何の意味があるのか、それを姫矢が知るのはまだ先のお話。