帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「宿命 -サティスファクション-」

Episode23 宿命 -サティスファクション-」
ウルトラマンネクサス』第23話
2005年3月12日放送(第23話)
脚本 長谷川圭一
監督・特技監督 北浦嗣巳

 

フィンディッシュタイプビーストクトゥーラ
身長 55m
体重 4万9千t
「黙示録」の再現を目論む溝呂木の指示によって異形の海と呼ばれる特殊位相から触手を伸ばして人々を襲っていた。
口から闇を吐き、終焉の地でネクサスを倒して磔にする。

 

物語
最終決戦に向けて着々と準備を進める溝呂木。
ナイトレイダーはその挑発にあえて乗って終焉の地へ向かう。
そして姫矢は佐久田を救う為、根来の前でネクサスに変身する。
「俺が戦っているもの。それは……宿命です」。

 

感想
冒頭にあった作業員を助けた直後に現れたネクサスの着地場面は巨大感が出ていて素晴らしかった。このように『ネクサス』は「ウルトラマンは巨人」と言うのを再認識させてくれる場面が多かった。

 

ネクサスとナイトレイダーの共同戦線でクトゥーラの触手を撃退する。
これを見たら最初から共同戦線を展開できていたら姫矢の消耗は今より少なく済んでいただろうなと思え、特別チームの援護の大切さがよく分かる。

 

和倉隊長が孤門に姫矢を探すよう命じたのは二度とTLT上層部に捕らわれないようにする為であろう。姫矢がTLTに捕らえられた事で和倉隊長はこれまでのように職務に忠実ではいられなくなった。それなのに姫矢を助ける為に救急隊を呼ぼうとしてしまう孤門はちょっと考えが足りなさすぎる……。

 

以前はTLT上層部に逆らってでも姫矢を殺すと言っていた西条副隊長が今はTLT上層部に逆らってでも姫矢を逃がそうとする。
自分の目的の為に邁進すると言う点では実は姫矢と西条副隊長は同じであった。

 

どうして戦い続けるのかと言う孤門の問いに姫矢は自分でも分からないと答える。
自分の目的について姫矢の答えはその時々によって違っている。それはおそらく姫矢自身が迷っているからであろう。

 

どうして姫矢を信じたのかと言う西条副隊長の問いに孤門は子供の時に宇宙人に助けられた事を告白する。
この溺れた時の真相は劇中では明かされなかったが関連本では子供の孤門を助けたのは最終回の西条副隊長だと書かれている。ただ、今回の描写と最終回の展開を見比べるといくつか不自然な点があるのが気になる……。

 

かつて宇宙人に助けられた孤門はネクサスを信じ、かつて人型ビーストと遭遇した西条副隊長はネクサスを恨むようになった。
孤門と西条副隊長の辿ってきた道の違いがそのまま『ネクサス』の物語となっている。

 

ファウスト」「メフィスト」「黙示録」と聖書や神話関係の言葉が大好きな溝呂木が用意した最終決戦の舞台「終焉の地」。
新宿中央公園と言う『ULTRAMAN』との繋がりを感じさせる場所が盛り上がる。
終焉の地は『ULTRAMAN』のザ・ワンがイメージされているらしいが、その他にもクトゥルー神話のルルイエもイメージにあると思われる。(クトゥーラの名前の由来もおそらく「クトゥルー」だろう。因みにクトゥーラは当初はタコのビーストの予定だったらしい)

 

根来に「お前は何と戦っている?」と問われた姫矢は「俺が戦っているもの。それは……宿命です」と言って変身する。
この変身シーンの悲壮感と盛り上がりは『ネクサス』でもトップクラス。ここは連続モノとしてのこれまでの積み重ねが活きたと言える。

 

真実を追い求めた根来はビーストの存在、そしてそのビーストと戦う姫矢=ネクサスと言う真実に遂に辿り着くのだった。

 

溝呂木は佐久田に姫矢は宇宙から飛来した光によって巨人となったがその価値を分かっていないと説明する。
次回で溝呂木は「力とは他者を支配し圧する為にある」と言っているので、ここで言った「巨人になった価値」もそれに近いものだと思われる。

 

これまでネクサスの正体については謎だらけであったが、溝呂木の台詞と新宿中央公園が舞台になった事から『ULTRAMAN』に繋がるようになった。
又、今回の話では孤門の「宇宙人に助けられた」と言う発言があるので、孤門を助けた宇宙人=ネクサスと考えられるようにもなっていた。

 

一瞬だけだが夜の都心を飛ぶクロムチェスターがカッコ良い。
この時点での設定を考えるとクロムチェスターが都心を飛ぶシチュエーションはめったに無いが、それだけに希少価値が高くて良かった。