帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「影 -アンノウンハンド-」

Episode32 影 -アンノウンハンド-」
ウルトラマンネクサス』第32話
2005年5月21日放送(第32話)
脚本 長谷川圭一
監督 小原直樹
特技監督 菊地雄一

 

ダークメフィストツヴァイ
身長 50m
体重 5万t
ダークエボルバーを手にした三沢が変身した黒い悪魔。溝呂木に代わって世界を闇に塗り込めようとする。興奮すると目が赤く光る。
ネクサスを追い詰めるも溝呂木が光で変身したメフィストに抑え込まれたところをネクサスのアローレイ・シュトロームを受けて倒された。

 

ダークメフィスト
身長 50m
体重 5万t
溝呂木が自らの光で変身した姿。
ネクサスを助け、メフィストツヴァイと共に倒される。

 

物語
記憶を取り戻した溝呂木は瑞生を人質に取ってフォートレスフリーダムを脱走する。
孤門と西条副隊長が追うが、それとは別にアンノウンハンドからダークエボルバーを授けられたある男も溝呂木を追っていた。
溝呂木の贖罪の戦いが始まる!

 

感想
おそらくこの話から放送期間短縮に向けてシリーズ構成が見直されたと思われる。
わずか1話で溝呂木に決着を付けた展開はさすがに駆け足すぎる印象を受けるが描くべきものをちゃんと描いているので消化不良感は少ない。

 

「既にあなたのゲームは終わった」と告げる松永管理官に向かって「俺にはまだやるべき事がある」と返す溝呂木。
意識してかしないでか、姫矢を思わせる言葉である。

 

逃亡するところをTLTの隊員に撃たれて負傷する溝呂木。
かつては真後ろから西条副隊長にディバイトランチャーで撃ち抜かれても生きていたのだが今の溝呂木は力を失って普通の人間に戻っていた。

 

「もし私が倒れたら、あなたが溝呂木を討ちなさい」と孤門に告げる西条副隊長。
自分以外の人間に溝呂木打倒を託す事で西条副隊長の変化が分かる。

 

溝呂木が瑞生を人質に取って逃亡した理由は理子に会う為であった。
溝呂木にとって理子の存在は姫矢にとってのセラみたいな存在なのかもしれない。
因みに瑞生が記憶処理した人の為に祈るようになった理由も理子にあった。
理子を介して溝呂木と瑞生を繋げたのが上手かった。

 

溝呂木の前に立ちはだかる孤門と西条副隊長。
この時、溝呂木は瑞生を突き飛ばして西条副隊長が攻撃できないようにするが、その間に孤門に銃を撃ち落とされてしまう。
この流れを見ると溝呂木は西条副隊長ではなくて孤門に討たれるつもりだったようだ。おそらくはリコを殺した償いだったのだろう。しかし、孤門は溝呂木を殺してもリコは帰らないと憎しみを抑え込む。
一方の西条副隊長は「投降しなければ撃ち殺す」と発言する等、まだ憎しみが残っている。だが、そんな西条副隊長も瑞生を守らせる為に孤門を先に逃がす等、変化の兆しは確かに見えている。

 

今回からアンノウンハンドはダークフィールドGを張らなくなり、ネクサスにもメタフィールドを張らせないように色々と妨害してくるようになる。

 

CGを使った空中戦は両者の動きが速い上にカメラアングルがグルグル動くと短い時間ではあるが実に密度の濃い戦いであった。

 

同じメフィストでも別人が変身しているので三沢の戦い方は溝呂木とはもっと変えても良かったかなと思ったが、三沢がどんな人物なのかあまり描かれていなかったので三沢ならではの戦い方を作り出すのは難しかったかな。

 

「貴様の命はじきに燃え尽きる」と憐の未来について言及するメフィストツヴァイ。
これは三沢の発言と言うより三沢を通してのアンノウンハンドの発言と思われる。

 

ファウストメフィストメフィストツヴァイを通してネクサスの光を得ていったアンノウンハンド。そして最終回で石堀隊員は西条副隊長が得た光を闇に変換してザギとして復活する。
光が闇のエネルギーとして使われる一方で、「詩織 -ロストメモリーズ-」でのナックレイジェネレードや今回の溝呂木の変身のように闇を光に変換する事も可能で、光と闇は元は同一のエネルギーだった事を匂わせている。

 

溝呂木の変身はこれまでと同じく人間の殻を破った形になっているがそこに光が付け加えられた事で溝呂木の中から光が飛び出すようになっているのが良い!
メフィストのテーマ曲がヒーローとしてカッコ良く聴ける日が来るとは誰が予想したであろうか! と言うか、あの溝呂木がこんなにカッコ良く頼れるヒーローとして変身するとは夢にも思わなかった!!
『ネクサス』前半の鬱で暗い展開を作った張本人が後半でウルトラシリーズ屈指の燃え展開を作った今回の話を見て「『ネクサス』を見てきて本当に良かった!」と思わずガッツポーズをした。

 

メフィストメフィストツヴァイを抑え込むと「俺に構わず撃て!」と叫び、躊躇するネクサスに向かって「それが光を得たお前の役目だ!」と説得する。
溝呂木は憐とは会っていないので「姫矢の光を継いだ新たなデュナミスト」として接している。ここで憐は自分の前にデュナミストだった人間の事を聞き、同じく巨人に変身する溝呂木と言う人間と対面し、その意志を受ける事になる。
因みに憐が西条副隊長の姿を見たのも今回が初めて。溝呂木の意志を受けて、その溝呂木を討った憐。その憐から西条副隊長へと光は受け継がれる事になる。

 

放送期間の短縮で急遽作られた話だからか、自分はメフィストツヴァイに変身した三沢役の竹内義人さんのインタビューを読んだ事が無い。闇の巨人とは言えウルトラマンに変身した人物を演じているのにインタビューが無いのは寂しい。メフィストツヴァイを演じる事になった諸々の経緯を是非聞きたかった。(竹内さんが石堀隊員のオーディションを受けていたのが理由の一つらしいが)

 

今回はいよいよアンノウンハンドが本格的に動き出した話なのでかなりのヒントが散りばめられている。
まず溝呂木が西条副隊長に告げた言葉からアンノウンハンドはTLT関係者である事が判明。さらにリコを殺害した溝呂木の背後に立っていたアンノウンハンドと思われる人物は男性だった。なので、TLT関係者から女性を除くと孤門、和倉隊長、石堀隊員、松永管理官、吉良沢、東郷となる。
そして三沢はアンノウンハンドに向かって「お前は!?」と言って驚いているので三沢より目上の人物を除くと孤門と石堀隊員の二人となる。吉良沢は役職は上かもしれないが年齢を考えると三沢が「お前」と呼ぶ可能性は残っているかな。
最後に主人公である孤門と既に内面や経歴が色々語られている吉良沢を外したらアンノウンハンドの候補は石堀隊員だけとなる。