帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「英雄 -ヒーロー-」

Episode24 英雄 -ヒーロー-」
ウルトラマンネクサス』第24話
2005年3月19日放送(第24話)
脚本 長谷川圭一
監督・特技監督 北浦嗣巳

 

ダークメフィスト
身長 50m
体重 5万t
闇の波動の蔦でネクサスの光を終焉の地に解き放ち、その光を手にして無敵の超人となって世界を思いのままに動かそうとした。
特殊振動波が終焉の地から現実世界にまで影響を及ぼす程となったが、西条副隊長への執着からナイトレイダーを倒し切れず、最後は目的を見い出した姫矢に敗れた。
ウルティメイトバニッシャーの直撃にも耐えたがオーバーレイ・シュトロームとダークレイ・シュトロームの激突によって生じた爆発の中で溜めていたエネルギーをネクサスの拳によって粉砕され、ネクサスと共に姿を消した。

 

フィンディッシュタイプビーストクトゥーラ
身長 55m
体重 4万9千t
触手でクロムチェスターを捕らえるが溝呂木の動揺によって逃げられると最後はウルティメイトバニッシャーで倒された。

 

物語
終焉の地での最終決戦。
ナイトレイダーと溝呂木の戦いが繰り広げられる中、セラの魂と出会った姫矢は遂に目的を見い出す。
姫矢准最後の戦い! 勝つのはネクサスかメフィストか!!

 

感想
クトゥーラの触手でクロムチェスター全機も捕らえて勝利は確実かと思いきやクトゥーラが西条副隊長を殺そうとしたのを見た溝呂木は慌てて止めてしまい、結果、西条副隊長に孤門のクロムチェスターδを捕らえていた触手を切断され、そのままハイパーストライクチェスターに合体されてウルティメイトバニッシャーでクトゥーラを倒されてしまう。
「人間を捨てた」とか「人間を超えた」とか言っていた溝呂木だったが西条副隊長への執着と言う極めて人間臭い感情が敗北に繋がってしまう。

 

かつてネクサスを異常に敵視していた西条副隊長がウルティメイトバニッシャーと言うネクサスの力でビーストを倒すようになったのが面白い。

 

溝呂木との戦いで皆が倒される中、一人残って溝呂木と対峙出来た西条副隊長はさすが。
仲間になる気は無いかと言われた西条副隊長は「ビーストに成り果てた男の仲間になるくらいなら死んだ方がまし」と死を恐れてメフィストと同化した溝呂木に向かって言い放つ。
因みにこの戦いでは最初に倒されたナイトレイダーの中で孤門が一番早くに回復して反撃している。成長したなぁ。

 

セラの魂と出会った姫矢は自分は人の生きる意味を写真に撮りたかったが実際に自分が撮ったのは人の死の写真だったと吐露し、セラの魂に導かれて得たネクサスの光を自分に対する罰だと捉えて誰かを救う為にボロボロになるまで戦って独り孤独に死ぬ事がせめてもの罪滅ぼしだと考えていた事を明かす。それに対してセラはウルトラマンの光は罰ではなくて永い時をかけて多くの人に継承されていったものだと語る。
セラの話は『ネクサス』における過去のデュナミストの事を指しているのだが、『ネクサス』と言う作品を超えてウルトラシリーズの歴代ウルトラマン達の事も指しているように聞こえる。
自分にその資格があるのかと悩む姫矢にセラは姫矢が自分の死の瞬間だけでなく生きていた証も写真に撮ってくれた事を告げる。
この場面は「迷路 -ラビリンス-」で孤門がリコの生きていた証をしっかりと認識した事で前に向かって踏み出せた展開と似ている。この時点では孤門を導くような立場だった姫矢だが、こうして見ると実は孤門の方が先に前に向かって踏み出していた事が分かる。
セラの魂との会話で自分の目的を見い出した姫矢は今度こそ誰かを守る事を誓って最後の変身をする。

 

メフィストの攻撃を受けて出力が下がるハイパーストライクチェスターだったが孤門は「絶対に諦めるかぁ!!」と叫ぶ。
子供の時から何度も「諦めるな!」と言われていた事を考えると感慨深い。

 

磔にされた状態から復活するネクサス。
ウルトラシリーズではウルトラマンが磔にされる場面が何度かあるが自力で脱出するのは意外と珍しい。

 

吉良沢からオーバーレイ・シュトロームのデータから作られたウルティメイトバニッシャーはデータを修正すれば純粋なエネルギーとしてネクサスを回復させられると説明された和倉隊長はその役目を信頼する孤門に託す。
西条副隊長からも「出来るわね?」と言われた孤門はリコの生きていた証であるガンバルクイナ君を見て「大丈夫です」と答える。
そして今までネクサス=姫矢に助けられてきた孤門が今度はネクサスを助けるのであった。

 

エナジーコアにウルティメイトバニッシャーを受けて壮大に吹き飛ぶネクサス。
ここまで来て失敗する事は普通はあり得ないが『ネクサス』だと十分にあり得るのでちょっとドキドキしてしまったw

 

人間によってウルトラマンがエネルギーを回復させるのは『セブン』から続くウルトラシリーズの伝統。特に『ネクサス』は他の作品に登場する特別チームと違ってナイトレイダーがネクサスと協力関係になるまで紆余曲折があったので色々と感慨深いものがあった。

 

「力とは他者を支配し圧する為にある。それに気付けぬ貴様が俺に勝てるはずがない!」と叫ぶ溝呂木に対して姫矢は「この力は決して希望を捨てない人々の為にある。それに気付けぬお前が勝てるはずがない!」と返すとメフィストが放ったメフィストショットの闇をスピルレイ・ジェネレードで光に変換して撃ち返す。
今までファウストのダークフィールドのように闇が光を塗り潰す展開が多かったので今回の闇を光に変えて反撃する展開はカタルシスがあった。

 

ネクサスとメフィストの空中戦はCGを駆使して画面狭しと縦横無尽にスピーディーに動き回るものとなった。
質感がおかしかった部分はあるが、板野サーカスによるこれまでに無かった戦闘シーンはウルトラ新世紀を感じさせるものだった。

 

戦いの末の大爆発の後、孤門の眼前に眩い光が現れると姫矢からのメッセージが伝えられる。
「光は……絆だ。誰かへ受け継がれ、再び輝く」。
そして、姫矢は笑顔で去っていった……。

 

女性視点の歌なのだが今回の姫矢の物語とエンディング曲『飛び立てない私にあなたが翼をくれた』の歌詞がところどころシンクロしていたように思えた。
色々なものに縛られていた姫矢は遂にそれらから解き放たれて笑顔で飛び立ったのだった。