「Episode21 受難 -サクリファイス-」
『ウルトラマンネクサス』第21話
2005年2月26日放送(第21話)
脚本 村井さだゆき
監督 根本実樹
特技監督 菊地雄一
インビジブルタイプビーストゴルゴレム
身長 55m
体重 5万t
ストライクバニッシャーの直撃を受けても倒されない程にパワーアップした。
崩壊を始めたメタフィールドから外の世界に出ようとしたところをセービングビュートで捕らえられ、最後はオーバーレイ・シュトロームで倒された。
物語
苦戦の末にようやくゴルゴレムを倒したネクサスだったが姫矢の姿に戻ったところをホワイトスイーパーに捕らわれてしまう。
松永管理官は姫矢からネクサスのデータを得ようと強硬手段を取るが……。
感想
ナイトレイダーはストライクバニッシャーを命中させるがゴルゴレムを倒す事は出来なかった。進化を続けるビーストに対してストライクバニッシャーでは威力が足りなくなったのだ。その後、ネクサスがフラフラの状態でもオーバーレイ・シュトロームでゴルゴレムを倒した事で松永管理官はビーストを倒せるネクサスの力を手に入れようと行動を開始する。
ここからTLTはチェスターシリーズ=来訪者=イラストレーターの派閥とネクサスの力を手に入れようとする松永管理官の派閥に分かれる事になる。
現状の戦力では満足できなくてネクサスの力を手に入れようと言う松永管理官の考えはビーストや闇の巨人の強大さを恐れているからこその行動と言える。
根来はMPの包囲網を潜り抜けて保呂草が撮った写真を信頼できる新聞社に渡す事に成功する。
MPがどのような手段で潰しにかかるのかと思ったら河童やら恐竜やらのヨタ記事を出してビースト事件もヨタ話にしてしまうと言う発想は驚いた。
思えば今は写真や映像の加工が可能なのでビースト事件のような突飛な事件を新聞やTVを使って世の中に知らしめると言うのは難しくなってきたのかもしれない。
根来から真実の断片を聞いていて、実際にビーストに襲われた経験を持ちながらMPに把握されていない唯一の存在である佐久田だけは根来の記事を信じる事が出来た。
そんな佐久田を「姫矢に顔向け出来ない」と姫矢の名前を出して巧みに巻き込む根来さんは上手いと言うかズルいと言うか……。
側頭葉に電気刺激を与えて記憶をフラッシュバックさせ、それをスキャニングすると言うTLT驚きの超科学。ひょっとしたら地球の言葉を発する事が出来ない来訪者から情報を引き出す為の装置だったりするのかな。吉良沢が来訪者のテレパシーを受け取って絵にしていたらしいけれど、TLTが吉良沢一人に来訪者とのコンタクトを任せ続けるとは思えないし。
ところで、この装置に映し出された映像は姫矢の記憶のはずなのに第三者から姫矢を見た場面がいくつかある。もう少し注意して場面を選んでほしかった。
メタフィールドがネクサスの体を使って構成されていた事が明らかになり、和倉隊長は「ウルトラマンは、いや、姫矢准はまさに自らの体で世界を守っていたんだ」と述べる。
ここで「ウルトラマン」を「姫矢准」と言い直した事で和倉隊長はウルトラマンと言う未知の巨人ではなく姫矢准と言う一人の人間としてネクサス=姫矢を見る事になる。
ところで「黙示録 -アポカリプス-」で孤門が和倉隊長にネクサスの正体が姫矢だとあっさり告げたのにも驚いたが、今回の話で和倉隊長がミーティングで皆にネクサスの正体が姫矢だとあっさり告げたのにも驚いた。
ビースト振動波を照射して姫矢の固有振動波が分かればウルトラマンの破壊光線の波動成分が分析出来る。
ビーストを恐れてネクサスの力を得ようとする松永管理官が結果としてビースト振動波でネクサスを死なせてしまいそうになると言うのは皮肉だなぁ。
姫矢が抵抗せずにTLTの検査を受けているのは自分が得た光の意味を自分自身も知りたいから。
死ぬ覚悟は既に出来ているが、まだ探し続けているものがある。それは命を賭ける価値があるやるべき事。
カメラマンをしていた時からずっと探し続けていたそれが何なのかは明確な答えは劇中では描かれなかったが、この答えを得た事があの最終決戦の中でも姫矢を生き続けさせた力になったと思われる。
「TLTと言う組織で姫矢にしてあげられる事は何か無いのか」と言う孤門の質問に和倉隊長は「姫矢はどんな組織にも囚われる事無く自分の探し求めるものに突き進んでいく人間だ」と答える。
そんな生き方が羨ましいと思うと本音を漏らす和倉隊長。ここは特別チームの隊長と言う組織の中で苦悩する立場にいるだけに説得力がある。
溝呂木、西条、孤門、姫矢と違って和倉隊長は組織から出る事が出来なかったが最後の最後に遂にTLTと言う組織に戦いを挑む事になる。ただし、それはまだ先のお話。