帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「そびえ立つ恐怖」

「そびえ立つ恐怖」
ウルトラマンブレーザー』第18話
2023年11月18日放送(第18話)
脚本 継田淳
監督 越知靖

 

汚染獣イルーゴ
身長 測定不能
体重 測定不能
地下から突然現れて有毒なガスを一週間に亘って吐き続けた。
細胞構造が地球上のどの生物とも一致しなかった為に宇宙生物と考えられ、防衛隊の上層部はバザンガやゲバルガに続く「サード・ウェイブ」の可能性を疑っていた。
自身の活性化の為に周囲を汚染していて、逆に空気を清浄化させられると弱体化する。
丸くなるとゲバルガに似た姿に変形する。
チルソナイトソードが発生させたプラズマによってイルーゴガスが中和されると最後はブレーザーとアースガロンによって殲滅させられた。と思いきや……。

 

物語
イルーゴガスによって人々が苦しむ中、SKaRDにイルーゴの調査を中止するよう命令が下る。
エミ隊員は上層部の動きの裏にあるV99に迫る。
一方、ゲント隊長は妻や息子との気持ちのすれ違いが大きくなっていて……。

 

感想
「イルーゴガス」と言う架空のガスの話だが「光化学スモッグに似ている」「ガスを防ぐ為に皆がマスクをする」と現実の災害や病気を連想させる作りになっている。

 

ゲント隊長にインタビューしようとしたアナウンサーは特別総集編「巨大生物の謎の追え」に登場したキヨシマダイラ・レイコと同じTKB所属。
『ガイア』で田端さんや玲子がXIGや藤宮と関わったようにTKBも今回の事件をきっかけにSKaRDやゲント隊長に関わるようになったと言う展開も見てみたかった。

 

今夜も遅くの帰宅となったゲントに「防衛隊が大変なのは分かるけれど施設課ってそんなに忙しいの?」と問いただすサトコ。ここでゲントが「そうだよ」「忙しい」ではなく「ごめん」と答えてしまった事で「ゲントの帰宅が遅いのは施設課だからではない」と言う事をサトコは感づいてしまった。

 

ジュンが学校で作ったブレスレットをプレゼントされていながらずっと家に置きっぱなしだったゲント。家に帰る暇も無いならともかく毎日家に帰ってきているけれどプレゼントを手にしないと言うのは大問題。ぶっちゃけ、ゲントってジュンが不満をあまり表に出さないのでそれに甘えてジュンの優先順位をかなり低くしてしまっている。

 

イルーゴの調査を中止されたゲント隊長は「理由を聞いても良いですか?」と尋ねるがハルノ参謀長は「理由などどうでも良い」と答える。この答えによってイルーゴ案件は正当な理由ではなく上層部の都合によって決められた事が分かる。
SKaRDに不満を募らせたくなければ納得できる理由をでっち上げれば良いのだが、おそらくハルノ参謀長自身も上層部に対して不満があるし、仮に理由をでっち上げてもゲント隊長ならすぐに気付くから意味が無いだろうと考えているのでハルノ参謀長は「イルーゴ案件の理由などどうでも良い」と言う分かりやすい答えを口にしたと思われる。

 

ゲント隊長が息子のブレスレットを手にしているのを見て「頑張れ! お父さん!」と背中を強く叩くエミ隊員。
エミ隊員は研究第一な父親に色々思うところがあったようだが、重大な仕事故に家庭の時間を確保できないゲント隊長を見て「自分の父親もこうだったのかな」と思うようになってきたところがある。
エミ隊員は本作のヒロインであるがゲント隊長との関係は「隊長と部下」であると同時に「父と娘」となっていて、ゲント隊長を通してエミ隊員は仕事での父親の姿を思い描いて自分なりに受け止めていっている。『R/B』のヒロインは妹のアサヒだったし、今はもう「ヒロイン=主人公の恋愛対象」と言うのが絶対ではなくなったのかもしれない。

 

防衛隊が用意した高出力自走レーザー砲は『ガイア』のシーガル・ファントップであった。2023年は『ガイア』25周年であるが、まさか四半世紀経っても残っていたとは驚きである。

 

エミ隊員がV99関係の調査をする場面はこの時点ではまだ怪獣事件と直接の関係が無いからか色々な描写が省かれていて、エミ隊員が三年間行方不明だった西崎を見付けて接触する事については「おかげ様々です」の一言で済ませられている。本当はかなりの労力を要したはずなのに映像を見る限りはエミ隊員はあまり苦労せずサクサク調査を進められているようになってしまったのは勿体なかった。

 

イルーゴガスを清浄化するアースガロン。
他の作品だとウルトラマンがイルーゴガスを中和できそうなのだがブレーザーにはそういう特殊能力的なものがあまり無いのでそこはSKaRDとアースガロンが担う事が多い。今回は最終的にはブレーザーがチルソナイトソードを使って空気を浄化する事になったがそれもアーくんとSKaRDの発案となっている。
「『ブレーザー』はアースガロンの活躍が少ない」と言われる事があるが撃破の回数こそ殆ど無いものの活躍はしていると言える。基本的にウルトラシリーズは「怪獣の特殊能力を攻略した後でトドメを刺す」と言う展開になっているが、これを『ブレーザー』では前半の「怪獣の特殊能力の攻略」をアースガロンが、後半の「怪獣にトドメを刺す」をブレーザーが担う事が多いので、怪獣にトドメを刺しているブレーザーは活躍していて、怪獣を倒せていないアースガロンは活躍していないように見えてしまうところがある。

 

今回はアースガロンの怪獣初撃破だからか、いきなり『IGNITION』と言う激盛り上がるヒーローソングが流れて驚いた。

 

ゲントが前線で活動していた事を知ってそれまでの不満が解消されるサトコとジュン。二人がゲントに不満を抱いていたのは「防衛隊の施設課で働いていると言うのは嘘かもしれない」と言う不安と疑念からであったので、それが解消された事で不満も解消されたのだと思われる。

 

今回のイルーゴは蛇のようなデザインで『ネクサス』の「魔人 -ファウスト-」のバグバズンを思い出す。あちらは本体のバグバズンを通常の怪獣と同じ大きさにしたので触手は数メートルの大きさで人間と直接戦う事になったが、今回のイルーゴは通常の怪獣と同じ大きさでウルトラマンと直接戦って本体のブルードゲバルガは超巨大となっている。