帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ヴィジター99」

「ヴィジター99」
ウルトラマンブレーザー』第23話
2023年12月23日放送(第23話)
脚本 小柳啓伍
監督 中川和博

 

月光怪獣デルタンダル
身長 45m
体重 1万4千t
小笠原諸島上空に二匹現れたがブレーザーによって倒された。
SKaRDの話によると今月だけでも5体現れたらしい。

 

甲虫怪獣タガヌラー
身長 60m
体重 5万t
世界中のティーテリウムが貯蔵されている場所に一斉に現れた。
その殆どが15mから20m級だったが茨城県アメリカに出現した個体は60m級だった。
エネルギー融合で外敵を攻撃する習性を持っていて、過去に現れた個体はゲバルガを攻撃していた。今回も月軌道付近に現れたサード・ウェイブを攻撃するがビームを跳ね返されて倒された。

 

宇宙爆弾怪獣ヴァラロン(第1形態)
身長 55m
体重 6万6千t
バザンガやゲバルガと同じ軌道を通って地球に迫ってきた「サード・ウェイブ」。
タガヌラーの攻撃を受けて月に落下する。

 

物語
地球怪獣の出現頻度が高くなっていく中、エミ隊員はアマチュア天文家からの情報でV99や地球怪獣の目的を知る。
一方、体調を崩したゲント隊長は医者から命に関わるレベルになっている事を告げられる。

 

感想
いよいよ『ブレーザー』もクライマックスに突入。

 

ゲント隊長を休ませる為にブレーザーはゲント隊長の右手を動かしてゲント隊長の顔を殴る。
ウルトラマンと一体化した人間に疲労が蓄積されてウルトラマンにも心配されるようになる展開はこれまでにもあったがここまでストレートに一体化した人間を休ませたウルトラマンは他にはいない。

 

診察した医者によると今のゲント隊長の体の状態は命に関わるレベルらしい。
これまでも特別チーム隊員とウルトラマンと言う二足のわらじの為に過労で倒れる人はいたが、ゲント隊長は新人隊員ではなく色々な責務を抱える隊長な上に家庭では年頃の子供を持つ父親であると歴代主人公の中でも特にハードな状況になっている。

 

特別チームは隊員それぞれに役割があって仕事が割り振られているのだがSKaRDはゲントが隊長として上層部とやりあったり自ら作戦を考えたり部下が提案した作戦を了承したりしている上に自ら現場に出てアースガロンにも搭乗しているのでウルトラシリーズ歴代隊員の中でも特に仕事量が多くなっている。しかも、ハルノ参謀長が謹慎になった事でこれまでハルノ参謀長が壁となって防いでくれたアレコレもゲント隊長に直接ぶつけられるようになってしまう等、ぶっちゃけ、ウルトラマンに関係無く過労で倒れてもおかしくない状況になっていた。

 

そんな状況でありながらもゲント隊長は診察の途中で帰ったりテルアキ副隊長に診断内容を告げなかったりしている。
ゲント隊長はいかなる状況でも上手い解決方法を捻り出す事が出来る人物ではあるが自分自身の問題になるとそれが全然出来なくて、結局は妻のサトコや息子のジュンや部下のSKaRD隊員達に迷惑をかけてしまい、彼らがゲント隊長に理解を示して色々な負担を分担したり不満を述べないようにしてくれた事で何とかなった。

 

いきなり現れたアマチュア天文家のみっちー。一応、「スカードノクターン」でアマチュア天文家の話はあったのだがみっちー自身の登場は今回が初めて。サード・ウェイブを発見したりタガヌラーの真意を解明したりすると言う重要人物でありながら唐突な登場に思えた。

 

今回のエミ隊員は情報収集の為にアマチュア天文関係に潜入したではなくSKaRDの制服を着て自分の所属を明かしてみっちーをモッピーの中に入れている。
ドバシの妨害が考えられる中でSKaRD所属である事を明かして民間人から情報を得るのはかなりリスキーな行動だと思う。場合によってはみっちーがドバシの指示で消息不明になる恐れもあった。

 

タガヌラーの初登場回であった「その名はアースガロン」ではアースガロンが作戦空域に入るのに一悶着があったが今回は源川司令官の判断で揉める事無く戦闘に加わる事が出来た。防衛隊も少しずつ変わってきている事を感じる。

 

ウルトラマンは長距離移動はテレポーテーションを使うイメージがあったので、今回の大気圏外を通って昼の日本から夜のアメリカに向かう場面は新鮮だった。

 

その名はアースガロン」でタガヌラーが最後に宇宙に向けて放った光線は実はゲバルガに向けて放たれていたと言うどんでん返しは驚いた。
地球そのものの生態系を変える外敵を地球怪獣が迎撃する展開は『ガイア』や『コスモス』でもあったが、そちらでは地球怪獣が立ち上がった時に人類は早めにその意思を理解して協力する事が出来たのに対して残念ながら『ブレーザー』の世界では人類と地球怪獣でそのような意思の伝達が出来る状態にはまだ至っていなかった。

 

テルアキ「全兵装発射準備! 目標は!」、
アーくん「接近中のサーモバリック弾」、
テルアキ「全兵装攻撃開始!」。
ここでテルアキ副隊長が言葉にする前に自分で防衛隊の兵器を攻撃目標にする事を判断できる程にアーくんのAIが進化した事が分かる。

 

源川「結果的に良かったとは言えSKaRDの取った行動は我々の作戦行動を妨害していた。司令官としては見過ごせん」、
ハルノ「全ての責任は私にあります!」。
「結果的に良かった」「司令官としては」と言う言葉から源川司令官もSKaRDの判断が正しかった事は理解している事が分かる。しかし、それでも勝手な行動を取ったチームがいれば誰かが責任を取らなければいけない。月にサード・ウェイブがいる状態なのでアースガロンを有しているSKaRDを活動停止させるわけにはいかないとなると今回はハルノ参謀長が全責任を負うしかなかった。今回の話を見るとウルトラシリーズで特別チームが作戦中に何かに気付いて独自の行動を取る事があるが実はその時も裏で誰かが責任を取っていたりするのかなと思った。
予算やスケジュールの関係でニュージェネレーションシリーズは平成三部作のような規模の大きい組織の話が作りにくいと言う事を聞くが今回の源川司令官とハルノ参謀長のやりとりは組織には色々な役割を持った人がいるとして組織の大きさを上手く伝えていたと思う。

 

ブレーザー』は『ティガ』『ダイナ』の影響が強かった『トリガー』『デッカー』と違って『ガイア』との直接の関係は設定されていないが2023年が『ガイア』放送開始25周年なので『ガイア』を連想させる要素が色々あって今回の話でも「星空が歪む」「宇宙からの脅威に対して地球怪獣が立ち上がる」と言った展開が見られた。
『トリガー』『デッカー』は『ティガ』『ダイナ』の要素を組み込むのに苦労していそうなところがあったので「ニュージェネ○○」と謳ってガッツリと過去の作品と関係させるより『ブレーザー』のように過去の作品を連想させる要素がちょっと出てくるくらいの方が自由度があって作りやすいのかなと感じた。(自分は『トリガー』と『ティガ』の関係はどうなっているのかなとアレコレ考えるのも楽しかったが)