帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「マンモスフラワー」

「マンモスフラワー」
ウルトラQ』制作第1話
1966年1月23日放送(第4話)
脚本 金城哲夫・梶田興治
監督 梶田興治
特技監督 川上景司

 

巨大植物ジュラン
身長 100m
体重 3千t
有史以前の植物が巨大になって繁殖した。
丸の内のビル街に現れ、根で獲物の生き血を吸い、花から毒花粉を撒く。
地上からの火炎放射器と上空からの炭酸ガス固定剤の二面攻撃を受けて枯れた。
ジュラ紀の蘭」で「ジュラン」。劇中では「マンモスフラワー」と呼ばれた。

 

物語
皇居の堀や丸の内のビル街に巨大な根が突然現れた。
政府はマンモスフラワー対策本部を設置するが、源田博士は研究の為に攻撃を延期してほしいと訴える。
しかし、その間にもマンモスフラワーは成長を続けて遂に花を咲かすのであった。

 

感想
記念すべきウルトラシリーズの第1話。
要領を得た脚本に丁寧且つ大胆な特撮と名作の幕開けに相応しい話。

 

ウルトラQ』は自然界の生命のバランスが崩れた時の恐ろしさを見せる作品で、制作第1話である今回はそのテーマをストレートに描いている。
その一方で最後は科学兵器が事態を解決する展開に「どのような異変が起きようとも最後は人類と科学が勝利を収める事が出来る」と言う科学万能の考えも見える。

 

人間が大地の上にビルを建て、そのビル街の上にマンモスフラワーが花を咲かせ、さらにその上空から人間が飛行機を使ってマンモスフラワーを退治すると今回の話は「相手よりさらに上に行く事が出来た存在が勝つ」と言う展開になっている。

 

特撮作品では主人公は超常現象に対して肯定的な立場を取る事が多いのだが、SF作家である万城目淳は現実とフィクションは違う事をよく知っているのか超常現象に対して懐疑的な立場を取っている。
今回はマンモスフラワーについて懐疑的だった万城目とマンモスフラワーの恐ろしさを過小評価していた源田博士が途中で考えを改め、最後は二人でセスナから炭酸ガス固定剤を撒いて事態を解決する事となった。

 

今回の話は東宝本多猪四郎監督のチーフ助監督を務めた梶田興治さんが本編監督を、円谷英二監督の一番弟子で東宝と松竹で活躍した川上景司さんが特技監督を務めた。脚本は関沢新一さんの弟子で円谷プロの企画文芸部室長であった金城哲夫さんと梶田監督の連名となっている。