「変身」
『ウルトラQ』制作第2話
1966年5月29日放送(第22話)
脚本 北沢杏子(原案 金城哲夫)
監督 梶田興治
特技監督 川上景司
変身人間巨人
身長 20m
体重 500t
蓼科高原でモルフォ蝶の毒に冒された浩二が沼の水を飲んで巨大化した姿。
野生化して人語を失っているが、人間であった頃の記憶が微かに残っているようだ。
一の谷博士が開発した熱原子X線を受けると人間に戻った。
巨蝶モルフォ蝶
身長 80cm
体重 100g
本来はアマゾンに生息する蝶だが何故か蓼科高原に現れた。
毒の鱗粉を出す。
1年後にあや子が再び訪れた時には姿を消していた。
実在するモルフォチョウをモデルにしている。
物語
八ヶ岳で雪男の足跡が発見されたとニュースになる。
スクープを取ろうと意気込む江戸川由利子であったが、友人のあや子が雪男の正体は自分の婚約者だった浩二に違いないと告げる。
感想
前回の「マンモスフラワー」は万城目と戸川一平を中心に据えた話だったが今回は由利子を中心に据えた話になっている。
バランスの崩れが人間そのものに襲いかかった話。
巨人になった浩二は人間社会では生きられない存在となり、婚約者のあや子にすら拒絶されてしまう。
怪獣が現れるのも怖いが自分の体が変異してしまうのはそれよりも怖いと感じる話。
浩二が巨人になったのは沼の水が原因だと考えられる。モルフォ蝶は個体によって大きさがまちまちであったが、沼の水をどれだけ飲んだかによって大きさに差が出たのだろう。
浩二が水を飲んだ沼だが、本来はアマゾンにしか生息しないモルフォ蝶がいた事から異界のような場所だったと考えられる。モルフォ蝶はアマゾンで、浩二は蓼科高原で、それぞれ沼がある異界へと迷い込んでしまった。そして浩二とモルフォ蝶はそのまま異界に潜んでいたが、1年後に浩二だけが現世に迷い出て雪男として騒がれる事となったと言うところであろう。
熱原子X線を受けた浩二が人間に戻った理由は不明。熱原子X線が浩二の中にある沼の水を浄化したのかもしれない。
今回の話のゲストである浩二の名前は『ウルトラQ』のナレーションも務めている石坂浩二さんが由来となっている。
今回の話と次回の「悪魔ッ子」で脚本を担当した北沢杏子さんは現在は性教育や人権問題について活動している。