帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「悪魔ッ子」

「悪魔ッ子」
ウルトラQ』制作第3話
1966年6月19日放送(第25話)
脚本 北沢杏子(原案 熊谷健
監督 梶田興治
特技監督 川上景司

 

悪魔ッ子リリー
身長 120cm
体重 不明
催眠術でシナップスを破壊された事で出現したリリーの精神。
無邪気に笑いながら周辺を徘徊する。自分が欲しい物を手に入れようとして次々と事件を引き起こす。
最後は肉体のリリーを蒸気機関車で轢き殺そうとしたが、超短波ジアテルミーによってリリーの肉体に戻された。

 

物語
東洋大魔術団では空中を歩く少女リリーが人気を博していた。
一方、周辺では夜な夜な不可解な事件や事故が起きていた。
実はリリーは催眠術によって幽体離脱をしていたのだった。

 

感想
劇中で「シナップスが破壊される事で肉体と精神が分離する」と説明されている通り、悪魔ッ子のリリーは「幽体離脱」の一種と考えられる。
又、肉体のリリーが無表情なのに対して悪魔ッ子のリリーは無邪気に笑って動き回っているので「乖離性同一障害(多重人格障害)」の要素も含まれていそうだ。

 

悪魔ッ子のリリーは本体の願いを叶えていく。最後は本体を殺そうとしたと言われているが、それも本体の願いであった「ママに会いたい」を叶える為だったのかもしれない。

 

父親の赤沼はリリーは生まれつき催眠術が要る体質と弁解していたが「リリーの母親が山にいる」と嘘を吐いていたところを見るにこれも本当かどうか疑わしい。
最初は母親の事を誤魔化す為に催眠術を使い、やがて幽体離脱をショーに使えると考えて催眠術を多用するようになったのかもしれない。もしそうなら悪魔ッ子のリリーは赤沼が生み出したと言える。
最後の場面ではリリーは幽体離脱を使ったショーをやっておらず、代わりに赤沼がピエロに扮していた。おそらく赤沼は催眠術を使ってリリーを自分の都合で動かす事をやめたのだろう。

 

自分は杉本カメラマンは準レギュラーのような存在だと思っていたので今回の話で死んでしまったのには驚いた。

 

エンディングナレーションが初回放送時と再放送時の2バージョンある。
初回放送では「リリーは悪魔ッ子ではなかったのです。もし悪魔がいたとすれば、それはリリーの中にではなくて、それを取り巻く世界が歪んでいたからなのです」と悪魔ッ子を生み出した周囲の大人達の事を、再放送では「一体、子供が犯罪を犯すものでしょうか。それも天使のように純真な子供が……。しかし、子供がその環境によって脳組織のバランスを破壊された時、完全な犯罪者となり得るのです」と純真な子供の中に眠る悪魔ッ子の事を語っている。どちらも的を射た内容なので甲乙付け難い。

 

今回の話は「座敷童子」が元になっている。
ウルトラQ』の制作進行である熊谷健さんが原案を担当した。

 

ウルトラQ dark fantasy』の「李里依とリリー」は今回の話のリメイクとなっている。