「李里依とリリー」
『ウルトラQ dark fantasy』第14話
2004年7月6日放送(第14話)
脚本 高木登
監督 鶴田法男
リリー
身長 115cm
体重 38kg
父親のアイソレーション・タンクによる実験で李里依の肉体から現れた精神体。
夜な夜な外に出歩いては自分の気に入った物を集めていた。
父親の精神体と一緒に李里依の肉体を滅ぼして精神を解放しようとするが涼達によって阻止される。その後、施設での治療を受けて次第に人としての形を失っていった。
物語
あるマンションの周辺で白い女の子の幽霊が出没すると言う噂が出る。
調査を始めた涼達は一人の哀しき少女の存在を知る事になる。
感想
『Q』の「悪魔ッ子」のリメイクで舞台や設定が21世紀の街中に設定し直されている。『Q』の頃は誕生していなかった「ジャパニーズホラー」の作風がピッタリとハマっていてウルトラシリーズのリメイクの中でも屈指の完成度を誇っている。
「あやふやな事象を明確な形にして事態を把握させるのが自分達の仕事」と語る剛一。剛一は普通の感覚を持つ人間なので特殊な事件を視聴者に伝えるのに適任であるが、普通故に事件を解決する力が無く今回も李里依を助けようするがリリーに妨害され結局は涼が李里依を助ける事になった。
異端の心理学者と呼ばれた李里依の父親が行っていた実験とは光は見えず音も聞こえないと外界からの刺激が全て遮断されているアイソレーション・タンクに濃度の高い塩水を入れて瞑想すると言うもの。
アイソレーション・タンクは元々はジョン・C・リリーと言う人物が開発した装置で中に入った人間は神秘的な体験をするらしい。李里依の父親はこの実験にのめり込んでいて娘の名前もジョン・C・リリーから取ったと言う設定になっている。
因みにアイソレーション・タンクもジョン・C・リリーも実在するものである。
肉体から解放されて意識の次元に旅立とうとする李里依の父親の実験内容。
李里依の父親は表向きは事故死となっているが実際は精神体の手引きによる自殺だったと考えられる。死んだ父親がどうなったかは不明だが李里依の前に現れて電車に轢かせようとしていたので精神体になる事に成功したと思われる。
今、普通に生きている自分達の周りに李里依の父親みたいな精神体がいると考えると怖いなぁ。
「悪魔ッ子」では父親の赤沼がリリーの事を想っていると言ったように恐怖の中にも人としての温かみがまだあったのだが、今回は父親は娘を実験体にした挙句に殺そうとして、母親は娘を自宅に軟禁するが最後は娘を失って一人寂しくベランダから外で遊ぶ子供達を眺める事になり、御厨の同僚も御厨の異常さと娘の危険に気付きながらも放置し、歪な形で生み出されたもう一人の娘リリーは人として存在する事が認められないと言ったように全体的に人としての温かみが無く、この肌寒さがより恐怖を高めていた。
今回からエンディング曲がブレスの『つぼみ』に変わっている。