「クモ男爵」
『ウルトラQ』制作第13話
1966年2月27日放送(第9話)
脚本 金城哲夫
監督 円谷一
特技監督 小泉一
大ぐもタランチュラ
身長 250cm
体重 120kg
謎の館とその近くの灯台に現れた巨大な蜘蛛。2匹いて、クモ男爵とその娘の変身した姿とも考えられるが真相は不明。
口から糸を吐いて獲物を襲う。
1匹は万城目によってナイフで刺し殺され、もう1匹も車に轢かれて殺され、2匹が死ぬと館も跡形も無く崩れ落ちていった。
名前の由来は毒蜘蛛の「タランチュラ」かな。劇中では「タランテラ」と呼ばれた。
物語
パーティーの帰りに道に迷ってしまった万城目達は蜘蛛の巣だらけの館に辿り着く。
クモ男爵の話を思い出した万城目は皆にその話を語り始める。
感想
ゴシック・ホラーな話。エドガー・アラン・ポオの『アッシャー家の崩壊』の影響が指摘されていて、劇中でもポーの作った詩が使われている。
今回の話は若い男女がパーティーに興じながら謎の館に迷い込んで怪物に襲われると言うホラー作品によく見られる展開になっている。万城目達がレギュラーキャラクターでなければメンバーの大半がタランチュラに殺されていそうな雰囲気であった。
万城目達は窓に明かりが点いているのを見て館に入ったのだが、それは灯台の光が窓に当たったものであった。冒頭にタランチュラが灯台を襲う場面があるので、タランチュラは館の窓に灯台の光が当たるようにする事で館そのものを巨大な蜘蛛の巣に変えて獲物を待ち構えていたのかもしれない。
万城目の話によるとクモ男爵の話は今から90年前の事らしい。今回の話が作られたのが1960年代なので、クモ男爵の話は1870年代の明治維新によって文明開化が始まった頃となる。
エンディングナレーションでは「蜘蛛が人を襲うのは人間に返りたい一心だったのかもしれない」と語られている。万城目達が何度も襲われたのに命を落とさなかったのはタランチュラは人間に返りたいだけで他の人間の命を狙っていたわけではなかったからなのかもしれない。(万城目の他に灯台の職員が襲われているが……。ひょっとしたら気絶していただけで死んではいなかったのかもしれない)
劇中ではタランチュラの事を「タランテラ」と言っているが、ヨーロッパには毒蜘蛛のタランチュラに噛まれた時に踊る「タランテラ」と言うものがあるらしい。
今回の話は小泉監督のウルトラシリーズ監督最終作となっている。