帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「南海の怒り」

「南海の怒り」
ウルトラQ』制作第23話
1966年6月5日放送(第23話)
脚本 金城哲夫
監督 野長瀬三摩地
特技監督 的場徹

 

大ダコスダール
身長 100m
体重 3万t
ミクロネシアにある「死の海」と呼ばれる海域に棲む巨大な蛸。
上陸して人間を襲う一方、外敵の侵入を防ぐ防波堤の役目を果たしていて、守り神としてコンパス島の原住民達に信仰されていた。
万城目達の通報を受けた国連飛行隊の攻撃を受けて負傷したところを雄三や立ち上がった原住民達に止めを刺された。
名前の由来は「酢蛸」から。
フランケンシュタイン対地底怪獣』の大ダコの造形物と『キングコング対ゴジラ』の大ダコの場面を使用している。

 

物語
太平洋のど真ん中で巨大な蛸に襲われて難破した雄三はコンパス島と言う南海の孤島に流れ着く。そこにはアニタと言う女性がいて……。

 

感想
円谷英二監督は『ゴジラ』で恐竜の生き残りではなくて巨大な蛸を出したかったらしく、『ゴジラ』では実現しなかったが、その後の東宝怪獣映画では何度か大ダコを出している。
はっきり言ってしまえば、大ダコはただの蛸なので怪獣としての面白味に欠けるところがあるが、本物を使っているのでかなりの迫力と怖さがある。

 

今回の話は昔の怪獣作品によく見られた南海モノとなっている。
昔からの島の伝統で原住民達はスダールと戦うと言う考えが生まれなかったが、その伝統を知らない雄三や万城目達はスダールと戦うと言う選択肢を原住民達に提示する事が出来た。そして、外敵の侵入を防いでいたスダールが倒された事と余所者である雄三が島に受け入れられた事でこれからのコンパス島は外に開かれるであろう事が示された。
こうして見ると今回の話はハッピーエンドに見えるのだが、その一方で、その地域の伝統や風習を今の日本の価値観で判断して修正してしまうのは「侵略」になるのではないかと言う疑問もある。スダールは原住民達も襲っていたので倒した方が良かったのかもしれないが、外敵の侵入を防ぐ防波堤が無くなった事で今後のコンパス島がどうなるのか気になるところでもある。