帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「栄光は誰れのために」

「栄光は誰れのために」
ウルトラセブン』制作第30話
1968年4月28日放送(第30話)
脚本 藤川桂介
監督 鈴木俊継
特殊技術 的場徹

 

プラスチック怪人プラチク星人
身長 2m~40m
体重 50kg~1万5千t
青木の暗躍でマグマライザーを奪う事に成功し、野戦訓練を利用して地球防衛軍を攻撃した。
口から特殊なガスを吐いて相手をプラスチックで固める。
宇宙戦車をエメリウム光線で破壊される。自身もエメリウム光線を受けて炎上するが骨だけになっても立ち上がった。しかし、青木の最後の一撃を受けて遂に倒される。
名前の由来は「プラスチック」から。

 

物語
将来のウルトラ警備隊入りを期待されている青木隊員。
しかし、栄光を追い求める青木は自分勝手な行動を取って……。

 

感想
ウルトラセブン』のダンは温厚なのに『ウルトラマンレオ』のダンは厳しいと言う意見を聞くが、今回のダンは青木に対して怒鳴ったり殴ったりと後のおおとりゲンとの関係を思わせる厳しい一面を見せているので、『ウルトラマンレオ』を見る前に今回の話を見る事をお勧めしたい。

 

高笑いと共に高い所から登場する青木。
実力はあるのだが大変な自信家で自分の力を示す事に執着していると言うウルトラシリーズでは珍しいキャラクターであった。どちらかと言うと東映作品のキャラクターに近いかな?(因みに青木役の山口暁さんは『仮面ライダーV3』でライダーマン・結城丈二を演じている)

 

ダンに対して異常なライバル心を燃やす青木。
ダンがウルトラ警備隊の中で一番の新人だからと言うのもあるが、どこの馬の骨とも分からぬ風来坊だったのも理由かな? 自分の方が由緒正しい経歴を持っているのだと言う自負があるのかもしれない。

 

地球防衛軍のチームワークを固める為に実施された野戦訓練がチームワークを無視した青木の為に無茶苦茶になって多くの犠牲者が出てしまったと言うのが悲しい。

 

プラチク星人に乗っ取られたマグマライザーを奪還しようと小型爆弾を投げるダン。一瞬、カプセル怪獣を使うのかなと思った。

 

何故か巨大化するプラチク星人。出来れば人間大のままマグマライザーの中でウルトラセブンと戦ってほしかった。

 

謝った振りをして騙し討ちするプラチク星人とそれに引っかかってしまうウルトラセブン。「プロジェクト・ブルー」でもバド星人に同じ事をされていたなぁ……。
プラスチックに固められたウルトラセブンが復活出来た理由を説明してほしかった。
今回の戦いでウルトラセブンのビームランプが点滅している。

 

青木が自分の為だけの栄光を追い求めた結果、多くの犠牲が出て青木自身も命を落としてしまった。死んでしまったので、結局、青木は自分の罪を償う事をしなかった。(ダンに対しては償ったが……)
ダンは青木の死を看取った事で青木の罪を背負う事になったのかもしれない。後の『ウルトラマンレオ』でダンがおおとりゲンに厳しく接したのも青木の二の舞になってほしくなかったからとも考えられる。

 

今回登場したプラチク星人は成田亨さんがデザインした最後のウルトラ怪獣となっている。
成田さんは円谷プロを退社するとデザインに関する問題で円谷プロと対立するようになり一時は裁判で著作権を争う事態となった。
その後、成田さんは2002年に亡くなられ、ウルトラシリーズのデザイン原画187点が出身地である青森県の県立美術館に譲渡された。
そして2022年に公開された『シン・ウルトラマン』では成田さんの『真実と正義と美の化身』を元にしたウルトラマンが登場する事となった。