帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「悪魔と天使の間に…」

「悪魔と天使の間に… ー囮怪獣プルーマ登場ー
帰ってきたウルトラマン』制作第31話
1971年11月5日放送(第31話)
脚本 市川森一
監督 真船禎
特殊技術 高野宏一

 

宇宙怪人ゼラン星人
身長 165cm
体重 45kg
言葉が不自由な少年・輝男に変身して周囲を欺き、郷にだけテレパシーで真実を明かして周囲から孤立させる。
目から発する光で人間を消し去る事が出来る。
プルーマを操り、謎の装置でウルトラブレスレットも操る。
最後は真相に気付いた伊吹隊長に射殺された。

 

囮怪獣プルーマ
身長 47m
体重 3万t
ゼラン星人に操られる怪獣で学校や病院の地下から出現した。
囮怪獣でウルトラマンに倒される事が前提になっているが、口からの赤い光線はなかなか強力で、至近距離からのスペシウム光線にも耐える強豪であった。
ウルトラブレスレットで首を切り落とされて泡となって消えた。
ゼラン星人は「プルーマー」と呼んでいた。

 

物語
伊吹隊長の娘である美奈子が連れて来た言葉が不自由な少年・輝男の正体はゼラン星人だった。
輝男(ゼラン星人)は郷にだけテレパシーで話しかける。

 

感想
帰ってきたウルトラマン』で11月に放送された第31話から第34話までの4本は「11月の傑作群」と呼ばれている。
しかし、傑作はこの時期以外にもあるし、元々「11月の傑作群」は「『帰ってきたウルトラマン』自体は認めないが、この4本は例外的に認める」と言うやや否定的な見方から始まっているので、『帰ってきたウルトラマン』を語る上で重要なのは確かだが、「11月の傑作群」を特別扱いしすぎると見えなくなってしまうのもあると思う。

 

帰ってきたウルトラマン』で初めて宇宙人が登場する話。
地球怪獣より強い宇宙怪獣、その宇宙怪獣をも支配下に置く宇宙人、と敵がどんどん強くなっていく。バトルものを長く続けていく中で敵のパワーアップは必要不可欠な要素で、この流れは次の『ウルトラマンA』や『ウルトラマンT』でも続けられる事となった。

 

ゼラン星人の策略で孤立してしまった郷。
いきなり子供を殺そうとしたら取り押さえられるのは当然なので、まずは信じてもらえるだけの証拠を集めるべきだった。ただ闇雲に「信じてください!」と言ってもそう簡単には人には信じてもらえない。

 

娘には甘い伊吹隊長。親バカと思われるかもしれないが親とはこう言うものだと思う。大抵の親は子供にとって良き親でありたいと思うものだ。
ただし、伊吹隊長の場合、MATの隊長としての判断を鈍らせてしまったのは問題だったと言える。たとえ郷の言う事を信じられなかったとしても輝男の身辺の調査ぐらいはするべきだった。

 

伊吹隊長の「私はあの子を何かの偏見で他人を騙したり疑ったり差別したりするような人間には育てたくないんだ」は素晴らしい台詞なのだが、残念ながら今回の伊吹隊長は偏見で人間を差別していた。
伊吹隊長は輝男を少しも疑わなかった。娘の友達なのも関係しているが、おそらく子供や障害者は純粋で他人を騙したり傷付けたりはしないと思っていたのだろう。しかし、子供や障害者だって嘘を吐いたり人を傷付けたりする事もある。子供だから障害者だから純粋だと決めつけてしまうのもある意味で差別だと言える。
事件が解決した後、伊吹隊長は「人間の子は人間さ。天使を夢見させちゃいかんよ」と言って娘に真実を伝えに行く。子供だから障害者だから天使と言うわけではない。子供も障害者も我々と同じ人間なのだ。

 

ウルトラブレスレットがゼラン星人にコントロールされてウルトラマンに襲いかかると言うアイデアが見事。ある意味、ウルトラマンにとって最大の危機だったと言える。
ところで今回のウルトラブレスレットは明らかにいつもより威力があった。今までウルトラマンは能力を抑えた状態で戦っていたのかな。

 

輝男がテレパシーで郷に話しかける場面、光と闇に隔てられた地下室、プルーマが死ぬ墓場、霊安室でのゼラン星人の最期等、暗示的な場面が多くあって、物語だけでなく映像的にも見所の多い話だった。

 

伊吹隊長は今回の件で郷がウルトラマンだと言う確証を得たのではないだろうか。

 

今回の話は市川さんと高野監督の『帰ってきたウルトラマン』最終作となっている。

 

 

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